感染と抗菌薬 22巻1号 (2019年3月)

特集 血流感染症の抗菌薬選択―救命のためのターニングポイント

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 血液培養検査は,敗血症,感染性心内膜炎などの診断において欠かすことができない検査である。敗血症性ショックでは抗菌薬投与開始までの時間が遅れると生存率が低下するため,速やかに血液培養を行い,治療を開始することが望まれる。血液培養の適切な採取時期,血液培養陽性時に原因菌と汚染菌の判別は患者への適切な治療に繋がる。抗菌薬の選択を実践するために必須の検査である血液培養検査に加えて,敗血症マーカーも発熱性疾患との鑑別に有用である。また,近年では遺伝子検査も急速に広まりつつあり,今後利用できる情報が増えていくものと思われる。

◉血流感染症治療における抗菌薬選択のターニングポイント―感性・耐性から考える

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 ブドウ球菌属(Staphylococcus属)は,36菌種19亜種に分類される。コアグラーゼ産生能により,コアグラーゼを産生する黄色ブドウ球菌とコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)に分類される。これらは,メチシリン耐性化が進み,MRSAやMRCNSの分離が一定数に認められる。ブドウ球菌菌血症が疑われる状態では,血液培養検体を2セット以上採取した後,1時間以内の直ちに,抗菌薬を投与することが必要である。ブドウ球菌に対する抗菌薬の選択では,MRSAリスクを評価し,抗MRSA薬を用いるかどうかを決定する。抗MRSA薬として,本邦ではテイコプラニン,バンコマイシン,リネゾリド,ダプトマイシン,アルベカシンが承認されており,これらの有効かつ適正な使用が期待される。

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 ESBL産生菌による血流感染症には,リスク因子を意識して早期にESBL産生菌による血流感染症を認知することが重要である。治療はカルバペネム系薬が第1選択薬であることは議論の余地はない。適正使用の観点から,他の治療選択肢となり得るセファマイシン系薬,オキサセフェム系薬,タゾバクタム/ピペラシリンなどの代替レジメの特徴を知っておく必要がある。セファマイシン系薬,オキサセフェム系薬であれば十分量を使用すること,タゾバクタム/ピペラシリンはMIC≦4の場合に使用することがポイントである。

◉症例解析から見る救命のポイント1 患者背景別の敗血症

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 外科患者の敗血症は患者背景と発症時期に応じて様々であり,手術手技に関連するものだけではなく,周術期管理中に発症するものも想定する必要がある。広域抗菌薬の選択には各患者の耐性菌リスクが重要であり,地域・病院のアンチバイオグラム把握が有用である。

 外科患者の敗血症治療においては,empiric therapyとして各手術部位での常在菌を漏れなくカバーするとともに,遅滞なく外科的介入を行い,感染巣コントロールを行うことが必要である。

②固形がん患者 藤田 崇宏
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 固形腫瘍患者の免疫不全の程度は非常にばらつきが大きく,患者ごとに個別化したリスク因子の把握が必要である。特にバリア破綻による血流感染や,管腔臓器の閉塞に伴う膿瘍形成を念頭に診療する。膿瘍性疾患では嫌気性菌に活性を持つ抗菌薬を使用する。血流感染症の発症を疑う場合は血液培養2セットの採取が必須である。抗MRSA薬を使用する際には薬剤師と協力して投与設計をするのが望ましい。発熱性好中球減少症において,近年では抗菌薬投与期間の短縮が試みられている。

③小児患者 明神 翔太 , 笠井 正志
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 小児における敗血症は死亡率が高く,早期の認知と介入が必要となる病態である。なかでも新生児の敗血症は診断基準に明確なコンセンサスがなく,救命のためには患児の細やかな観察と評価,適切な介入が重要である。今回は新生児のB群溶血性連鎖球菌性敗血症の症例をもとに小児の敗血症に関して解説する。

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 慢性腎臓病および透析患者は免疫能低下や易感染性から敗血症の発症リスクが高い。外来透析患者の敗血症は市中発症医療関連敗血症に分類され,多剤耐性菌,特にMRSAが原因菌として頻度が高い。血管アクセス感染,肺炎,重症下肢虚血の創傷感染などが透析患者の敗血症として代表的である。透析患者の敗血症に対する抗菌薬のEmpiric therapyとしては,抗MRSA薬と抗緑膿菌作用のあるβ-ラクタム系抗菌薬の併用が推奨される。

◉症例解析から見る救命のポイント2 重症の血流感染症

①カンジダ血症 佐野 彰彦
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 カンジダ血症は臨床的にしばしば遭遇する疾患であるが,死亡率が高いことでも知られており,近年中ではCandida albicans以外の菌種(non-albicans)の頻度が増加傾向である。これらはフルコナゾール(FLCZ)やキャンディン系抗真菌薬に抵抗性の菌種もあるので,重篤な病態に陥った症例でフォーカスの見極めと初期治療に何を選択すべきかによって,患者の生死が変わってくるといっても過言ではない。

②感染性心内膜炎 平井 由児
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 感染性心内膜炎(IE)は内科的緊急疾患である。起因菌の把握は予後に関与し,3セット以上の血液培養は必須である。IEは多彩な初期症状を呈し,典型的な身体所見を認めないこともある。背景,身体所見の評価と鑑別診断の基本的な対応と維持が必要といえる。IEの診療は ‘Endocarditis-TEAM’ で行うことが推奨され,複数の診療科・部門が専門性を活かした情報共有を行うことは重要な治療行為のひとつである。予後不良な血液培養陰性IE最大の原因は「かぜ」などへの不要な抗菌薬投与であり,医療がこれらを生み出さない努力が必要である。

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 敗血症は感染によって臓器障害を呈した状態である。敗血症の診断後は早期の抗菌薬投与が求められるが,一方で耐性菌の増加も問題となっており,適切な抗菌薬治療は敗血症診療の要である。そのために,敗血症診療では感染巣を評価し,原因となりうる起炎菌を想定しempiric therapyとして適切な広域抗菌薬を選択する必要がある。また,抗菌薬は投与可能最大量を投与し,起炎菌が判明した場合には速やかにde-escalationすることも重要である。

連載 口腔咽頭カンジダ症治療の新たな選択肢

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感染と抗菌薬
22巻1号 (2019年3月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1344-0969 ヴァン メディカル

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