精神看護 23巻4号 (2020年7月)

緊急特集 新型コロナでどうなりましたか?

  • 文献概要を表示

[この特集は……]

こんな世界になるなんて、誰が予想したでしょうか。

人と人との交流、接触、対面での会話が「避けるべきもの」に変わり、数か月。

特に医療、看護、介護、福祉、心理といった、「身体」的な近さを前提にしてきた仕事では、自分たちのあり方自体が揺るがされる事態となりました。

この状態が一時のことなのかどうかはまだわかりません。

ですが、この未曽有の混乱期を記録しておく意味で、この特集では、6人の著者に問わせていただきました。

「新型コロナで、あなたはどうなりましたか?」と。

  • 文献概要を表示

これは手探りで進んだ現場の記録です

 「世界中が新型コロナウイルス(COVID-19)に揺れている」。そんなニュースに触れたのは、2月上旬だったように記憶しています。その後、皆さんもご承知の通り、日本国内においても感染拡大の勢いはやってきました。

 私は精神科訪問看護の事業に携わる身として、訪問看護サービスを継続するための方策を、社内の管理者たちと毎日オンラインミーティングを重ね、展開していきました。

  • 文献概要を表示

極私的混乱記

 「1日は果てしなく長いが1年はあっという間に過ぎる」

 これは引きこもりの経験を持つ男性がカウンセリングの場で語った言葉だ。

  • 文献概要を表示

 「コロナ後」の世界がどうなっていくのか、さまざまな見通しが語られている。社会生活や経済活動への制約が長引いている状況で、仮にパンデミックが一段落したとしても、かつてと同じ日常に戻ることはないのかもしれない。暮らしの中でも人との物理的な距離をとることが求められ、オンラインでのコミュニケーションやリモートワークが増えていくのだろう。

 こうした変化をポジティブに捉えていこうという向きもある。だが、少なくとも現段階での医療や介護の現場では、他者との身体的な接触を避けられない。また、身体接触はなくとも、近距離での対面や空間の共有を必然的に伴う仕事もたくさんある。

  • 文献概要を表示

ウイルスによる死だけは避けたい

 長生きしているお年寄りは、今、生きていることがすでに不思議なのです。だから、些細なことをきっかけに死にます。ちょっとした転倒、風邪、誤飲。自分の唾でですら肺炎になります。よって、新型コロナウイルスも1つのきっかけでしかありません。けれど、26名が暮らす小さな特別養護老人ホーム(特養)で感染が広がり、あっというまに多くの人が亡くなるとしたら。良いことも、悪いことも共に分かち合ってきた人たち。想像しただけで耐え難い。そのような悲しみを避けるためにウイルスと向き合っています。

  • 文献概要を表示

仕事も居場所もピンチに!

 「仲間と苦労を語り合い 病気でひともうけ」—これは私たち就労継続支援B型BaseCampで、いつも歌っている替え歌の一節である。

 BaseCampは、精神障害をかかえるメンバーと共に、浦河べてるの家で生まれた当事者研究を軸に活動している。病気などの経験を活かしたイベントを開催したり、デイケアなどで「出張当事者研究」を行うことが主な仕事内容である。仲間と共に過ごす“居場所”、病気でひともうけという“仕事”、特に活動を“発信”することを大事にしてきた。

「Zoom飲み」考 木田 塔子
  • 文献概要を表示

 今、インスタグラムを眺めると「Zoom飲み」の楽しげなスクリーンショットが並ぶ。「人とのつながり」という点でも非常事態をもたらしている新型コロナ時代にあって、暇で仕方がないうえに、引きこもるストレスと寂しさで押しつぶされている大学生の貴重な遊びなのだ。

 Zoomの活用方法はさまざまだ。お酒を片手にお喋りするいわゆる「Zoom飲み」から、一緒にご飯を食べたり筋トレをしたり学校の課題をしたりという「日常の共有」、それからオンラインゲームや動画鑑賞を一緒にする「エンタメの共有」まである。極限状態にある時の人間は、こうまでしてもつながりの手段を構築するのだ、と感心する。

  • 文献概要を表示

GAFって何?

 2020年4月の診療報酬改定*1において、表1の内容が新設されました。

 これを受けて現場では「GAFって何?」「どうやって点数をつけるの?」「初めて点数をつけるけど、これで合っているの?」など、さまざまな疑問が湧いてきたのではないかと思います。本稿では、その疑問が少しでも解消できるようGAFについて解説していきます。

連載 斎藤環氏による読書会『開かれた対話と未来』 専門職はオープンダイアローグにどうかかわったらよいか・2

  • 文献概要を表示

読書会の内容をお届けする連載第2回目です。

参加者に4人で一組のグループを作ってもらい、「課題図書」や「これまでの講義」への感想を含めた対話を20分ほど行ってもらいました。

その後に、各グループから質問を募り、斎藤環氏が自身の考えをもとに答えました。

連載第2回目はその質疑応答を再現します。

  • 文献概要を表示

 濱田庄司は、益子に窯を構えた明治生まれの陶芸家である。河井寛次郎と釉薬の研究を行ったほか、柳宗悦やバーナード・リーチとも親しく民芸運動に参加した。

 したがって上記の一文は、陶器などの民芸品を念頭に置いたものである。それにしても過激だ。無地をねらった無地は模様である、なんて。

  • 文献概要を表示

認定看護師として「やるなら今でしょ!」

 2020年4月、連日新型コロナウイルスの情報が飛び交っていました。自分自身は各人・各施設が行っている「新型コロナへの感染対策」を共有する場がないことを問題に感じていました。共有する場があれば、医療従事者たちの不安が少なくなり、前を向くことができるのではないか。意見を出し合えば、そこから新たな対策が生まれるのではないか、と感じていました。

 日本人が一時期【絆】という言葉を発信していましたが、その言葉を言うだけで満足せず、困っている今だからこそ、施設の垣根を超えたつながりを持ち、協働を示して有事を乗り越えていくべきではないか。【絆】を示すのは「今」なのではないか。そう考えて、LINE上にプラットホームを立ち上げることを考えました。

連載 精神科に入職して初めて働く時に、やったほうがいいこと、やらないほうがいいこと・8

私が患者さんから学んだ「精神科仕事術」

  • 文献概要を表示

■この状況で看護をする今、大事にしたいこと

▷不安が高まっている今、自分がどう貢献できるかを考えましょう

 今、自分や人の命が脅かされる毎日になって、改めてここに私が存在していること、そして同じように人が存在していることがどれほど尊いことであるかを感じずにはいられません。これからも看護は、命の尊さを通してあることを忘れずに続けたいものです。特に精神科看護は社会全体の不安が高まれば、そのニーズが高まります。これまでと同じように働けることに感謝して、病院の中だけではなく、社会の中でどう貢献できるかも考え、動くことが大切だと思います。

連載 大牟田市がインスパイアする[ケア×暮らし×人間]・2

  • 文献概要を表示

國分さんとの対話が実現した理由

 ポニポニは、法人の理念である「パーソンセンタード」という人間観★1を深めるべく、有識者と対話する「ポニポニ文化会議」を実施している★2。國分功一郎さん(東京大学准教授・哲学者)との対話もその一環として行われた★3。國分さんとお話したいと思ったのは、とくに『中動態の世界』での議論に感銘を受けたからである。厚生労働省による地域共生社会のポンチ絵でも「支え手・受け手の関係を超えて」という表現があるように、「能動でも受動でもない何か」が大事だというのは、介護やケアのみならずビジネスモデルやサービスデザイン等、さまざまに指摘されている。ただ「能動でも受動でもない」という言い方では、そこから先に進むことができない。具体的なアプローチを考えるうえでは、具体に即した言葉が求められるからだ。その点、國分さんの著書では、中動態が積極的な言い方で表現され、具体的な言葉で議論が展開されている。

 そこで國分さんに、ポニポニの実践で起きていることを一緒に考えてもらいたくて、ポニポニ文化会議への出演をラブコールしたのだ。

連載 患者さんが「怒った」事例をアセスメントして今日からの精神科看護に活かしたい・6【最終回】

上手に怒るAさん 田辺 有理子
  • 文献概要を表示

Aさんを怒らせてしまった

 これは20年以上も前のできごとです。当時は院内の通信端末が普及しておらず、病棟から医師に連絡を取りたい時は、外来や医局へ電話して、診察などですぐに出られないときはコールバックと言って折り返し電話をかけてもらうように依頼していました。その間、電話の前で待っていたりして、ちょっとした指示受けや確認にも今より手間がかかりました。

 Aさんは50代の男性で、大手企業の中間管理職です。うつ病のため休職と復職を繰り返し、この時は休養目的で何度目かの入院でした。この病棟はチームナーシングで私はAさんとは別のチームで、名前と顔は一致するものの治療の詳細はよくわかっていませんでした。今回は、私がこのAさんを怒らせてしまった話です。

連載 うんこあるある・8

  • 文献概要を表示

突然のセンナ切り

 ある日、センナ系下剤を使用していた患者さんの処方が変更となりました。カルテには「センナ系下剤を漸減し、中止の予定」と書いてありましたが、バッツリと中止され、マクロゴールに変更されていました。患者さんは「そんな変更、聞いてない」とびっくり。

 その日の夜勤入りはちょうど私。「いや〜困ったなぁ……」と思いました。

  • 文献概要を表示

再入院となってしまった患者さんを見て

 今から16年前、私は単科精神科病院の急性期病棟で看護師をしていました。当時の病棟看護の目標は「退院」でした。そして退院後自宅でも症状が安定して生活できるような支援を入院中から行う、という意識は強くありませんでした。

 そんな時、以前の受け持ち患者さんが再入院して来られました。彼女の入院がわかった時、「ええっ!? もう? あんなに頑張って看護したのにー」と内心がっかりしたのを覚えています。(ここで、“いやいや、再発を予防する看護を入院中にしていなかったからじゃないか!”と感じた方、ご指摘はごもっともですが、今はちょっと脇に置かせてもらいます)。

連載

  • 文献概要を表示

ケアとは弱さの共有である

●ヘルスケアにおける2つの立場

 ケアにおけるナラティヴ・アプローチの意義とは何か。著者は、迷いつつ自問自答しながら思索を進めていくかのようだ。冒頭ではアリストテレスからバフチンに至る物語論の歴史が概観され、ケアを考える際の基本的な対立軸として、「実在論」と「構築論」が導入される。

 前者は物事が人間の認識とは独立して存在すると考える立場であり、エビデンスなどに基づいて対応を考える。後者は物事が人間の認識によって存在するという考え方であり、これは言語とコミュニケーションが現実を構成するとする、いわゆる「社会構成主義」である。ヘルスケアは、このいずれかの立場に二分される。標準化された公平なケアという正解を目指す実在論的なものと、患者のナラティヴに注目し、公正性に基づいて、個別化されたケアを提供する構築論的なものと。

  • 文献概要を表示

 白熱灯の優しい明かりに包まれた本屋さんで行われた対談。そこで手渡された本が『誤作動する脳』だった。「書評をお願いするかもしれません。改めてご連絡いたします」。医学書院編集者の白石さんはニコニコしながらそう言った。

 気軽に引き受けたものの、後で不安が募ってきた。著者の樋口さんは当事者。僕は支援する立場。支援者として、ちゃんと当事者を理解していたかが問われるように感じた。僕は落第かもしれない。

--------------------

目次

バックナンバーのご案内

次号予告・編集後記

基本情報

13432761.23.4.jpg
精神看護
23巻4号 (2020年7月)
電子版ISSN:1347-8370 印刷版ISSN:1343-2761 医学書院

文献閲覧数ランキング(
6月22日~6月28日
)