連載 大牟田市がインスパイアする[ケア×暮らし×人間]・2
—「わたしの役柄」が表現すること—哲学者・國分功一郎さんとの対話から
山内 泰
1,2,3
,
國分 功一郎
4
1ポニポニ(大牟田未来共創センター)
2ドネルモ
3株式会社ふくしごと
4東京大学大学院総合文化研究科
pp.352-356
発行日 2020年7月15日
Published Date 2020/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200774
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國分さんとの対話が実現した理由
ポニポニは、法人の理念である「パーソンセンタード」という人間観★1を深めるべく、有識者と対話する「ポニポニ文化会議」を実施している★2。國分功一郎さん(東京大学准教授・哲学者)との対話もその一環として行われた★3。國分さんとお話したいと思ったのは、とくに『中動態の世界』*での議論に感銘を受けたからである。厚生労働省による地域共生社会のポンチ絵でも「支え手・受け手の関係を超えて」という表現があるように、「能動でも受動でもない何か」が大事だというのは、介護やケアのみならずビジネスモデルやサービスデザイン等、さまざまに指摘されている。ただ「能動でも受動でもない」という言い方では、そこから先に進むことができない。具体的なアプローチを考えるうえでは、具体に即した言葉が求められるからだ。その点、國分さんの著書では、中動態が積極的な言い方で表現され、具体的な言葉で議論が展開されている。
そこで國分さんに、ポニポニの実践で起きていることを一緒に考えてもらいたくて、ポニポニ文化会議への出演をラブコールしたのだ。
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