訪問看護と介護 23巻5号 (2018年5月)

特集 管理栄養士との連携が、在宅ケアを充実させます!

田中 弥生
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本企画では、在宅ケアを充実させる一手として、「管理栄養士との連携」を考えます。

訪問 看護・介護の現場では、医療処置や排泄・清潔の援助などが優先され、食事・栄養の部分まで細やかな目が入らないところもあるのではないでしょうか。

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 在宅療養者の生活の質を維持するうえで、栄養状態の維持・改善の視点は不可欠です。とくに高齢者においては、低栄養状態により、在宅での生活が難しくなるケースも少なくありません。

 これが入院・施設入所している人であれば、常に医療・介護専門職種と接する機会があるので大事に至ることは少ないのかもしれません。体重の減りが大きい、食事の量が急に少なくなった、水分の摂取量が少なくなったなどといったことが判明すれば、即座に体重測定がなされ、食事摂取カロリーや摂取水分量をチェックして……と、ケアがなされていくことでしょう。

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『在宅療養高齢者の「食事」「栄養」に課題あり!』(p.306)で述べられたとおり、とくに在宅療養中の高齢者にとっては、栄養・食事という切り口での支援は欠かせません。ただ、在宅療養者のもとへ、必要に応じて出向く管理栄養士とどのようにすれば連携することができるのか。いや、それ以前に、管理栄養士の在宅訪問にはどんな保険上の評価があって、どのような方がその対象になるのか。そういった連携するために知っておきたい前提知識を、地域をフィールドに活動する管理栄養士・中村育子さんに答えていただきました(編集室)。

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「在宅療養者のもとに管理栄養士が訪問し、食に関するサポートを行なう」。

その有用性はなんとなく理解できるけれど、実際に何をしているのかイメージが湧かない……!

そんなわけで今回、在宅訪問管理栄養士・塩野﨑淳子さんに活動を覗かせていただいたのでレポートいたします。

「食事」「栄養」を切り口に、在宅での暮らしを豊かにする専門職の姿がそこにありました。

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 株式会社ラピオン山の上ナースステーション(以下、当ステーション)では、2017年9月より管理栄養士を配置し、法人内のサービスを利用されている療養者の方や、地域の方への栄養に関する支援を開始しました。高齢化が進むなか、個々の高齢者が健康に生活していくためには、フレイル予防がとても大切であり、私たちが関わる在宅療養者の多くは栄養面で何らかの問題を抱えています。

 訪問看護ステーションからの管理栄養士の訪問は、現時点では診療報酬に結びつかないサービスですが、訪問看護師と一緒に管理栄養士が活動することでどんな効果があるのか、どんなことができるのかを検討している段階です。今回はその取り組みについて報告します。

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 当事業所がある世田谷区は人口90万人、65歳以上は18万人、高齢化率は21.5%で(2018年1月現在)、こどもの数は毎年わずかながら増えているエリアです。

 当訪問看護ステーションは世田谷区が設置した社会福祉法人で、1995年高齢者施設運営とともに2か所の訪問看護ステーション(区の訪問指導事業からの移管)でスタートしました。現在は訪問看護事業所のほかに訪問介護、居宅介護支援、地域包括支援センター、通所介護、特養、母子生活支援施設を運営し、職員数は800人あまりです。当法人訪問看護ステーションは区内5か所(1サテライト含む)に増えています。なお、同じ区内に当法人以外の訪問看護事業所が70か所あります。ここ数年急増しており、今後も増えていく兆しがあります。

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 青葉区医師会訪問看護ステーションは、横浜市の北部に位置した青葉区医師会立の訪問看護ステーションで、小児から高齢者まで幅広い年齢層とあらゆる疾患に対応しています。看護師20人、理学療法士6人、作業療法士2人の大規模ステーションで、利用者数は月に約280人前後、訪問延べ回数は1800件程度です。訪問対象地域は、青葉区全域を中心に事業所から片道30分圏内です。訪問の効率化を図る目的でサテライト事業所を2012年度に開設し、青葉区北側の訪問をサテライト事業所で担っています。

 訪問看護ステーション以外にも、医療依存度の高い障害児者から介護保険対象者まで利用できる通所介護(療養通所介護事業所)と訪問介護ステーション、居宅介護支援事業所と青葉区在宅医療連携拠点事業所を併設しています。職員は総勢70人の大所帯です。

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 最近では、テレビ番組からも「口腔機能の低下」「長寿の鍵は口」などという言葉が聞かれるようになってきました。われわれ臨床家は、しばしば、テレビや雑誌などで流れた健康情報の真偽について、またはさらに詳しい情報について、患者さんやご家族から尋ねられることがあります。「オーラルフレイルって、結局何なの?」。患者さんやご家族からこのように質問されたら、皆さんはきちんと説明ができますか?

 私の仕事の一部で、コミュニティカフェ運営があります。先日、私がおしゃべりした男性(80代後半、老人会会長)との会話をご紹介します。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・104

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 まだ訪問看護が診療報酬上に位置づけられていない1991年2月。夫を看取った後、気分の沈み込みで引きこもりがちになったTさん(83歳)の訪問看護が始まりました。制度がないころですが、「ライフケアシステム」という会員制・互酬制を取り入れたしくみを使っています。訪問看護師が3か月に1度、健康相談や自立度の確認を行ない、必要があれば保健指導するという、自立支援そのもののアプローチです。

 なお、1990年時点の平均寿命は、男性75.92歳、女性81.90歳。Tさんはこのころすでに「長生き」の範疇に入った方だったとわかります。

連載 認知症の人とその家族から学んだこと—「……かもしれない」という、かかわりの歳月のなかで・第13回

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 人の顔と名前が一致せず、それとなくわかっているふりをする時間稼ぎ作戦が通用しなくなってきた。数日して、その人との出会いの場での会話などを思い出したときは、自分の記憶の衰えにがっくりする。「保存」されている記憶を引き出す時間が長くなってきているのだ。

 池谷氏によると、記憶は適度なゆるさと曖昧さがないと他人の顔すら認識できないのだという*1。加えて「保留」という記憶の要素、たとえば「これはAさんのようだ」と保留し、また別の角度から見た顔も「これこそがAさんだったのか」と、ゆっくりと曖昧さを保持しつつ時間をかけて認知していかなければ、「使える記憶」は形成されないという。老いゆく者にとっては、物をつぶさに丹念にまさぐり、それと身を交わして使える記憶にしていく過程も、ゆっくりとしか流れないのだろう。

連載 訪問看護実践と成果のつながりを可視化するために—日本語版オマハシステムの開発に向けて・第21回【最終回】

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 これまで、計8つの事例により、オマハシステムの使い方を解説してきました。ただ、この連載の第1回(2016年4月号)にも書いたように、読者の皆さんのなかには、オマハシステムなど「標準言語・項目を用いたアセスメントツール」の利用を面倒だと感じる人も多くいらっしゃると思います。

 そこで今回は、「どうやったらできるだけ負担なく、オマハシステムを日々の業務に活用することができるか」という観点からポイントを解説したいと思います。

連載 どう読む!? 在宅医療・看護・介護政策・第29回

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 厚生労働省の「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」(座長:樋口範雄・武蔵野大学法学部教授)は3月29日、報告書をまとめた。人生の最終段階における医療・ケアを自ら選択し、本人と家族が納得したうえで、その人らしい人生の最終段階を迎えることができるようにするため、ACPの考え方を紹介するとともに、国や自治体、医療機関・介護施設が取り組むべき方策を盛り込んだ。また、報告書をまとめる過程で2007年に策定された「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を在宅医療や介護の現場で活用できるように改訂した。

連載 シンソツきらきら・第17回

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 今回は、他ステーションに先駆けて新卒訪問看護師育成に取り組まれてきた「セコム医療システム株式会社」で働く田中さんに、新卒1年目で経験した看取りのエピソードをふり返ってもらいました。末期がんのある方への訪問看護や緊急対応の経験から、どのようなことを感じて現場に立っているのでしょうか。(小瀬)

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 日本の高齢者比率は世界1位であるが、タイの60歳以上の高齢者割合は1980年の3.7%から2005年には7.7%、2015年には10.5%に上がり、日本を凌ぐスピードで高齢化を迎えている*1。タイの高齢化は経済発展を遂げる前に進んでいるため、高齢者の貧困や介護問題が深刻になりつつある。

 日本では、2000年に介護保険法が施行され、家族介護から社会全体で介護をしていく方向に転換した。一方、タイの社会保障は、15歳以上60歳未満の民間被用者を強制加入とし、農民や自営業者は任意加入である。年金は、公務員や軍人、民間被用者を対象とする老齢給付、企業年金などがあるが、農民や自営業者、無業者への公的年金制度はなく、年齢に応じて老齢福祉手当が支給されている。また、公的な介護保険のしくみは存在せず、高齢者は十分な介護を受けることが困難な状態である*2

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目次

今月の5冊

Information 学会・研究会情報

バックナンバーのご案内

次号予告・編集後記 小池 , 栗原
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「食べることと排泄、この2つが“暮らし”の鍵だ」。印象に残ったある訪問看護師さんの言葉です。以降、そこには関心を向けており、今回もそれが表出したような特集となりました。管理栄養士さんとの連携が図れているところはまだ少ないようですが、取り組んでいる方々には確かな手応えがあるよう。どうすればさらに広がるか。もう何段階か、考えることがありそうです。●今回、初めて管理栄養士さんの訪問に同行させていただきました。志ある訪問看護師・ケアマネジャーの方々の視点はまったく一緒。相手の「暮らし」を中心に、サポートの方法を考えていらっしゃいました(詳しくは記事を!)。…小池

今年で15歳になる猫を飼っています。5年前にリンパ腫と診断されて以来、外来で抗がん剤治療中ですが、この春ごはんが食べられなくなってしまいました。どうやら感染性胃腸炎だったらしいのですが、「まだ体力もあるしがんばれる」というかかりつけの獣医師の判断で、経鼻胃管が入り流動食に。猫缶をミキサーにかけては日に4回注入を続け、1か月ほどで通常のカリカリごはんが食べられるようになりました。気がつけば桜も終わっていて、1歳半の子どもは猫の名前を呼べるようになっていました。めんどくさそうな顔でしっぽを振って返事をしている姿に、ほっと安堵の溜息です。口から食べられるってすばらしいですね。…栗原

基本情報

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訪問看護と介護
23巻5号 (2018年5月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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