訪問看護と介護 18巻5号 (2013年5月)

特集 制度の枠も飛び越えて “夢”を叶える起業・経営

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在宅医療・ケアの需要が高まるにつれ、訪問看護ステーション数・訪問看護師数の増加、新たな訪問看護事業の起業への期待が高まっています。

しかし、それが伸び悩んでいる背景として、ステーション経営の課題が指摘されているところです。

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 国の医療政策は、在宅医療への移行を促進するため、在宅療養支援診療所や訪問看護ステーション(以下、ステーション)の報酬の整備を拡充する方向で進んでいます。

 その結果、在宅医療・介護サービスの利用者さんの居宅療養を支援する仕組みは整いつつあり、同時にステーションの事業所数は増加傾向にあります。しかし、その数はまったく十分ではありません。

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 「おはようございます。朝のカンファレンスを行ないます」

 毎朝9時から30分間のカンファレンスには、看護師・理学療法士・作業療法士はもちろん、ケアマネジャー、事務員も含めた全員が参加しています。当日の訪問先をはじめ、利用者さんについての情報共有、道路情報など、限られた時間で可能なかぎり多くの情報を共有する貴重な時間です。全職員が一堂にそろう数少ない時間であり、緊急時や非常時に全メンバーでフォローし合える環境づくりの基礎となるため、1日の業務のなかでもこの時間を大切にしています。実際、「家庭の事情で休みがほしい」「大雪や台風で訪問できない」などスタッフの急な交代が発生しても、スムーズに業務の引き継ぎを行なうことができています。

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 2010年に起業して以来、当ステーションは、職員14名(看護師常勤6名・非常勤5名、理学療法士常勤4名・非常勤1名、作業療法士常勤1名、事務員1名)、利用者84名、訪問件数1253件/月の少し大きなステーションとなりました(4月現在)。さらに、この8月に作業療法士が1名入職するため、一段と充実した訪問看護を利用者さんに提供できそうです。

 自宅でのリハビリテーションを楽しみにしている方から、小児・神経難病、がん末期のターミナルケア、在宅腹膜透析が必要な方まで、さまざまな利用者さんに24時間対応の訪問看護を行なっています。地域の在宅療養支援を目的に、われわれが訪問看護に先進的に取り組んでいくことで、自宅で過ごしたいと思っている方々へ貢献できればと思っています。

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 2008年に創業以来、当社は「慣れ親しんだ自宅で最期を過ごしたい・過ごさせてあげたい」という患者さん・ご家族の“思い”の具現化に注力し、“保険外の訪問看護”を提供し続けてきました。当社の利用者は、余命3か月の宣告を受けた人(のご家族)が8割を占めています。そうした方々は、提供されるサービスが保険内か保険外かではなく、自分の抱えている痛みや不安を聞いてもらい、それらを払拭してもらいたいのです。それに対し、「悔いのない看取りを実現する」というのが当社の理念です。ありがたいことに、多くの患者さん・ご家族から感謝の言葉をいだだき、今日に至っています。

 本稿では、当社のサービスの概要、なぜ保険外サービスに取り組むことになったのかについて、経営的な視点も交えて紹介します。

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 当法人では、買い物や旅行など楽しみのサポートから、病院や施設からの外出・一時帰宅の支援、ターミナルの方の夜間見守り、認知症の方の長時間の付き添いまで、1人ひとり異なる要望に柔軟に応じたケアサービス事業を行なっています。これらは主に「自費」であり、現行の保険制度にのりにくい部分を担うものです。

 2008年に同事業を始め、現在の登録スタッフは66名、うち主に稼働しているのは32名です。介護福祉士の有資格者が多いですが、看護師や理学療法士も所属しています。利用者は、毎日入っている方から2~3か月に一度の方まで80名ほどで、高齢者を中心に障害者や難病患者、小児もいます。3年目からは介護保険制度や障害者総合支援法に基づくケアも開始し、自費とそれらを組み合わせたサービスも増えています。その他、成年後見制度についての相談活動や研修事業、まちづくり活動などにも取り組んでいます。

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――いわゆる2025年問題に向け、在宅医療の推進に国が本腰を入れるなか、日本看護協会として「訪問看護」をいかに推進していくお考えか、おうかがいしていきます。

 2012年度、当協会は、7つの重点政策・事業の1つとして、「長期的な療養を支える訪問看護や複合型サービスの推進と介護領域における看護機能の強化」に取り組んできました。引き続き2013年度も、「長期療養の生活者を支える訪問看護等の機能強化」に重点的に取り組む計画です。

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岐阜県恵那市岩村町の小高い丘に、グループホーム「くわのみ」はあります。

もともと桑畑だったその場所は、見晴らしがよく、陽当たりのいいところです。

繁澤さんは、2005年にグループホームを開設以来、訪問看護(サテライトも)、居宅介護支援、デイサービス、小規模多機能居宅介護、認知症ケア実践開発部、そして昨年、訪問介護、サービス付高齢者向け住宅……と

8年で8つの事業を展開してきました。

その立役者として、2人の住民女性がなくてはならない存在だったのです。

太田さん・鈴木さんは「高齢者」といわれる年齢ですが、資金繰りから署名集め、海外視察まで二人三脚、今も「くわのみ」の屋台骨になっています。

さらに、その背後には、この地域に暮らすお年寄りの思いも見え隠れして……。

これぞ「地域ぐるみ」「住民主体」と唸らされた事業展開の歩みをうかがいました。

高齢者のこれからの生き方を示唆するモデルともなる人たちが今ここに!

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 英国の経済学者アルフレッド・マーシャルは、経済学者のあり方を「Cool head, but warm heart」と表現したことで知られています。経済学者は「冷徹な頭脳だけでなく、温かい心をもっていなければならない」という意味です。

私は、介護保険制度発足と軌を一にして、わが国で初めて介護事業マネジメントのコンサルティングを事業化しました。以来、訪問看護ステーションの立ち上げや経営改善にも少なからず携わってきました。介護や医療、とりわけ看護畑の経営者には“Warm heart”はもっているけれど、“Cool head”は怪しい……という傾向が垣間見えます。そこで創業以来、マーシャルの表現を逆さにした「Warm heart, but cool head」を、「右手に“理念”、左手に“戦略”を」と意訳してキャッチコピーとしています。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・44

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 情報提供書の「突然死」という表記にショートステイの利用が危ぶまれたKさんでしたが、かかりつけ医が追加の情報提供を行なったことで、利用可能となりました。その後、ショートステイ滞在中は何事もなく過ぎ、Kさんは自宅に帰ってきました。

連載 介護することば 介護するからだ 細馬先生の観察日記・第22回

「ホーム」という「家」 細馬 宏通
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 からりと、広いリビングの引き戸を開ける音がする。見ると、オオカワさんがリビングの入口に立って、あたりを見回している。引き戸の音で顔をあげたアリヤマさんは、日誌を書いていたペンを置いて、オオカワさん、と呼びかける。オオカワさんはちょっと顎をあげて、アリヤマさんのうしろ、リビングの奥にあるトイレのほうを見る。オオカワさんは自力で歩けるけれど、トイレには介助が必要だ。「あ、トイレね」と答えるアリヤマさんは、指されるよりも早く何のことか判っていたらしく、もう立ち上がってアリヤマさんのほうに歩き出しかけている。私はあわててメモをとる。

 介助が終わったあとでアリヤマさんが「何か変わったことありました?」といたずらっぽく笑って、私のノートを覗き込む。覗き込まれても、そこに書いてあるのは、オオカワ、アリヤマ、リビング、電車のプラットフォーム、という走り書きと、ただの四角と斜めの線だけ。「いやいや、いつもやってはることなんですけど、オオカワさんが引き戸のところで立ってたのが、電車を待ってるみたいやなと思って……」と言い訳のように答えると、「ほな、私は電車でっか」とアリヤマさんが笑う。

連載 一器多用・第24回

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 本誌前号巻頭インタビューでも話題になった「腰痛」。近年、介護職員が腰痛のため欠勤するケースも急増していると言います。利用者の重度化が年々進むなか、2011年に腰痛で4日以上欠勤し「労災」と認められたケースは1000件。10年前の2倍以上の数だそうです。

 そこで厚生労働省は、職場での腰痛予防ガイドラインを19年ぶりに見直し、医療・介護分野では、ベッドや車椅子などへの移乗動作(とくに持ち上げる動作)を行なう際は、「リフト」などの福祉用具を積極的に用いるよう奨励しました。どうしても人手で行なう際は、「適切な姿勢」で「身長差の少ない2人以上」でと求めています。リフトなどを購入し一定の効果が出た場合は購入費用の半額を補助する制度も設け、福祉用具の利用を促すそうです。

連載 「介護」「看病」は“泣き笑い” ウチの場合はこうなんです!・第26回

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杏里 なんか浮かない顔してるね、どうしたの?

母さん とってもやるせないことがあったの。父さんが通ってるデイサービスに新しく入ったスタッフさんに、「どうして岡崎さんがここに通っているのかわからない。こんなに元気でシャッキリしてるのに!」って、すごく強い勢いで言われて……。なんだか私が父さんを無理にデイサービスにお願いしているような、いけないことをしているような気がしちゃったのよ。

連載 地域のなかの看取り図・第4回

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 自分の両親、夫の両親ともに看取り終えている私にとって、「看取り」の問題は、「どう看取るか?」ではなく、「どう看取られたいか?」に変わってきています。より当事者に近くなった、と言えるのかもしれません。

 自宅での看取りが家族にかける負担については、嫌と言うほどわかっています。同時に、看取りがどれほど多くの「経験」を看取る側に与えるか、ということもです。

本連載はWebマガジン「かんかん!」http://igs-kankan.com/article/2013/04/000747/index.htmlにて順次無料公開中

読者の声

成年後見制度の社会化のため
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成年後見制度の社会化のため

小嶋珠実 神奈川・社会福祉士

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ニュース―看護と介護のこのひと月

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次号予告・編集後記 杉本 , 多淵
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巻頭インタビューで訪れた岐阜県恵那(えな)市「くわのみ」。最寄りは、その名も極楽駅です。乗車券を買うと「恵那→極楽」と印字された昔ながらの切符にパチンと鋏が。「えな」には実は「胎盤」という意味があります(こちらは「胞衣」と書く)。言わずもがな、子宮内の胎児を育む土壤となる女性特有の組織です。3人の女性が、いくつになっても成長だで、と大事に大事に育ててきた場所が「えな市」にあることに意味ある偶然(シンクロニシティ)を感じてしまいました。一番若い繁澤さんを励まし引っ張ってきた太田先生と道子さんのあったかくも頼もしい笑顔に、ホントにここは極楽みたいと、とても幸せな気持ちになりました。同じ女性としての憧れも禁じ得ない3人組でした。「胎盤→極楽」の片道切符、なんだか大事にとってあります。…杉本

隣のステーションのおカネの話は、誰でも気になるもの。本号では、4人の“起業家”にご登場いただき、自身のステーションの経営メソッド・お金の動かし方について、赤裸々に明かしていただきました。理念や特色は企業ごとにさまざまですが、全員に共通していたのは、「得たものは職員に還元する」という姿勢です。Jリーグでも、人件費の多いチームほど上位に入る可能性が高い、というデータが示されています。もちろん、高い人件費を支払うためには、経営の安定が不可欠。彼らの専門職としてのホスピタリティはもちろんですが、起業家としての百折不撓の精神や、ステーション経営安定のためのエッセンスが、少しでも読者のみなさまの参考になれば幸いです。…多淵

基本情報

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訪問看護と介護
18巻5号 (2013年5月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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