訪問看護と介護 18巻11号 (2013年11月)

特集 他専門職のワザがわかる 「在宅リハ」の可能性

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加齢や疾病によって、生活機能に障害を来す在宅療養者が増加中です。

これに対して在宅では、個々の生活環境に合わせた「リハビリテーション」が求められます。

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 2025年を目途に国が推し進めている「地域包括ケアシステム」は、日本社会が今まで経験することのなかった危機への対処である。対象地域として、おおむね人口1万人の範囲(中学校区程度)を想定し、包括的なケアサービス提供のための仕組みを提案している。4~5年前まではセーフティネットという言い方もしていたが、いよいよ超高齢社会の大波をすぐそこに控え、本腰を入れ、具体的に改革しようという動きであると認識している。

 筆者は理学療法士として、20年近く在宅ケアの現場に関わってきた。そのなかで、訪問リハの「効果」「難しさ」「楽しさ」「多職種と力を合わせることの大変さ」を痛感した。本稿では、訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)を取り巻く現状とともに、2025年を見据え日本訪問リハビリテーション協会(以下、当協会)がめざすところについて述べる。

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 訪問看護ステーションとんぼ(以下、当ステーション)のある東京都八王子市は、人口約56万人(高齢化率22.7%、2013年6月現在)、東京駅から電車で1時間弱の郊外の町である。医療法人社団永生会は、5つの訪問看護ステーションを抱えており、そのうちの4つが八王子市内にある。法人内外の病院や診療所、老人保健施設、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所等と連携し、八王子市内全域をカバーしている。当法人の訪問看護ステーションには、常勤2名・非常勤2名の言語聴覚士(以下、ST)が勤務している(2013年9月現在)。

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 長崎呼吸器リハビリクリニック(以下、当院)は、慢性呼吸器疾患のリハビリテーション(以下、リハ)を行なうことを主目的として1997年に開業した19床の有床診療所で、「入院」「外来」「通所」「訪問」にてリハサービスを提供している。当院リハ科における外来リハの延べ人数は、「入院リハ」の延べ人数よりも多く(入院4764名、外来5310名、2012年8月~2013年9月)、「外来リハ」にて呼吸リハを継続している患者は多い*1

 また、「通所リハ」「訪問リハ」でも呼吸器疾患の割合は年々増加し、当院の患者だけでなく他院からの紹介も多い。訪問リハの利用者は、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患などの慢性呼吸器疾患だけでなく、肺動脈高血圧症や肺リンパ管脈管筋腫症、悪性リンパ腫や重度心身障害児の人工呼吸器管理など多岐にわたり、さまざまな重症度への対応が求められるようになってきている。

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 あさのがわ訪問リハビリ・訪問看護ステーション(以下、当ステーション)は、加賀百万石として栄えた歴史と文化の町、石川県金沢市(高齢化率23.2%、2013年9月現在)に位置します。金沢は典型的な日本海側気候で、冬には雪化粧した兼六園を見ることができます。

 当ステーションは、医療法人社団浅ノ川の一事業所として、看護師3名(常勤換算3名)、理学療法士3名、作業療法士1名にて2013年4月に開設しました。2013年3月までは、訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)部門は、母体である浅ノ川総合病院からの「指定訪問リハ事業所」としての訪問を行なっていました。

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 私は愛知県の知多半島で、ケアマネジャーとして、脳神経外科を標榜する在宅療養支援診療所のケアプランを作成する傍ら、在宅訪問管理栄養士として、地域の在宅医と個別に連携し、居宅療養管理指導も行なっています。両者を通じて、脳血管疾患後遺症や神経難病の方も多く、在宅でのリハビリテーション(以下、在宅リハ)を必要とする利用者も少なくありません。

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従来のデイサービスとは180度違っている。

なにしろ、利用者が、好きなだけ選べるプログラムは全部で200種類。

手芸、工芸、パンづくり、果てはカジノまで。

脳トレ、筋トレ、体力づくりのゲームも盛りだくさん。

おしゃべり、ごろ寝、ぼーっとする……なんてゆる~いメニューも。

利用者の要介護度の軽度化のエビデンスも出ている*1・2

おかげで、見学者が引きも切らない。

2001年、作業療法士の藤原さんが山口県山口市に開所した「夢のみずうみ村」だ。

今年7月、それが東京都世田谷区にも登場した。

施設長は、訪問言語聴覚士の草分けである半田さん。

オープンまもない「夢のみずうみ村新樹苑」を訪ね、「夢のみずうみ村」の3つの仕掛け、世田谷での展開について、お二人に聞いた。

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「がんリハ」とは

 早期診断・新しい治療など医療技術の進歩により、がんの5年生存率は改善*1する一方、罹患率は増加している*2。その結果、がんの治療を終えた、あるいは治療を受けている「がん生存者」が急激に増加しつつあり、1999年末で298万人であったものが、2015年には533万人に達すると予測されている(いわゆる「2015年問題」)。“がんは不治の病”であった時代から、“がんと共存”する時代になってきたと言える*4

 そうしたなか、欧米ではかねてよりがん治療の重要な一分野として位置づけられているリハビリテーション(以下、リハ)の重要性が、日本でも2003年ころから指摘されるようになった*5・6。それ以降、がんのリハは徐々にひろまり、積極的に取り組まれるようになってきた。今年「がんのリハビリテーションガイドライン」も出版され、そのエビデンスも示されている*7

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 「地域の健康相談の場(以下、相談の場)」の利用者・未利用者の属性、医療に対する認識、利用ニーズを比較することを目的に、利用者34名と未利用者(A地域の住民2000名のうち、相談の場を利用したことがないと回答した515名)を対象に質問紙調査を行なった。質問内容は、相談の場の利用ニーズ、相談の場の利用効果の認識、基本属性などであった。分析は、相談の場の利用状況・利用効果の認識と利用ニーズ・基本属性をカイ2乗検定、フィッシャーの正確確率検定で比較した。有効回答率は、利用者75.6%、未利用者25.8%であった。利用者は、女性、大卒以上、医師依存の傾向が弱い人が多く、利用効果の認識として交流の増加、孤独感の回避などがみられた。一方、未利用者の3~5割に、病気・介護・薬などの点で医療・介護についての利用ニーズがあることを示された。医療や介護の相談をきっかけとして利用に結びつける工夫が必要である。

連載 「医療」と「福祉」再編の時代へ 「介護職員等による喀痰吸引等の法制化」を読み解く・第5回【最終回】

「連携」の実際と展望 高木 憲司
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 前回は、責任の所在を含め、介護職員等が喀痰吸引等を行なううえでの医療と福祉(介護)の「連携」の大枠と心構えについて述べました。

 違法性阻却通知を頼りに介護職員等が喀痰吸引等を行なっていた時代にも、もちろん「連携」はありました(第4回p.889)。「特定の者」に対する喀痰吸引等においては、基本的にその蓄積による枠組みを活かした制度になっています。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・50

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 東京都の新宿・中野・杉並の3区が含まれる「区西部地区」。この地区には、がん拠点病院が4か所もあります。高度急性期病院では、早期からの緩和ケアの必要性が声高に叫ばれながらも、「治療=病気との闘う医療」からの方向転換がなかなか行なわれにくい状況です。

連載 介護することば 介護するからだ 細馬先生の観察日記・第28回

真似と即興 細馬 宏通
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 神戸で、音楽療法士の沼田里衣さんらが主催している「音遊びの会」というグループがある。自閉症やダウン症などさまざまな障害をもつ人々と音楽家とが即興で音楽をつくっていく会で、スタートしたのが2005年だから、もう8年の歴史がある。現在、スタッフも入れると40人余りの大所帯。10月末に、NHK教育の「ハートネットTV」でそのロンドン公演の様子がくわしく紹介されるので、ご覧になってみてほしい。私は2005年当初からこの会の公演を観ていたのだが、気がつくとメンバーに入っていて、実はロンドン公演でも演奏に加わった。音遊びの会の活動に関心をもった時期は、ちょうど高齢者向けグループホームでの観察をしはじめた時期と重なっており、それぞれで感じたことが相互に影響を及ぼし合うようなところがあった。

 そのひとつは、以前にも触れた「真似」に関することだ(2011年11月号第4回)。即興で音楽を組み立てていくときに、しばしばきっかけになるのは、相手のやっていることを真似することだ。メンバーが気まぐれにトントン、と叩く太鼓に、こちらがトントン、と真似てみる。すると、お、と相手の注意がこちらに注意が向く。またトントン、と叩くので、こちらもトントン。やがて“トントン”の応酬になる。けれども、「即興」としては、これはほんの入口。今度は、わざと応じずに様子をうかがってみる。相手は、ちょっと意外そうな顔をする。そこにちょっと間をおいて、トントン、とやってみる。すると、トントン、と今度は相手がこちらに応じて返してくる。でたらめでない証拠に、こちらがトントンとやったあとに、必ずトントンと返してくる。簡単なことだけれど、こうして真似する側とされる側は、逆転する。この“逆トントン”ができたら、今度は、相手のトントンにくっつくように、すばやくトントンとやる。すると、真似する側とされる側は再び逆転する。実は、する側される側の区別は、ちょっとした間のとり方でどちらにも転ぶことがわかってくる。ここまでくると2人の演奏に、間のとり方を即興で変えながら、立場を自在に入れ替えるおもしろさが表われる。もちろん、メンバーによって、好みの音の音色や大きさやリズム、タイミングは違うし、注意の向き方も違うわけだが、そういう個性があるのは音楽家とて同じこと。というより、そういう個性をお互いに見出していくのが音楽というものだったりする。

連載 一器多用・第30回

研修伝達 虎の巻! 岡田 慎一郎
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 「もぉー! あんなやり方、ゼッタイできないし、無理だから!」

 身体介助技術に関する私の講習会で、ある参加者から、職場での出来事について、怒りの込もった訴えがありました。この方が怒っていたのは、勤務先の有料老人ホームでのトイレ介助における「お尻拭き」の方法についてでした。

連載 「介護」「看病」は“泣き笑い” ウチの場合はこうなんです!・第32回

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杏里 Mちゃんのお父さんが脳出血で倒れて緊急入院したんだって。

母さん えぇ~! 彼女、実家が遠方だから心配だろうし、これから大変なんじゃない?

連載 地域のなかの看取り図・第10回

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 家で家族を看取るのは、本当に難しいです。

 自分の両親と夫の義母、3人の看取りを経験して、やっと最後に義父であるおじいちゃんを、家で看取ることが(かろうじて)できました。家で看取ることが良いとか悪いとか、そういうことではありません。家での看取りは、家族にさまざまな責任がのしかかってくる。それを受け止めるのは、やっぱりしんどい。えっ、こんなことまで私が決断しなくてはならないの?って、思ってしまうこと、多々ありました。

本連載はWebマガジン「かんかん!」http://igs-kankan.com/article/2013/04/000747/index.htmlにて順次無料公開中

訪問ほっとらいん

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 薬局は、「薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所」と薬事法により規定されている。その歴史を振り返ると、1980年ごろまでは“街の薬屋さん”として「一般用医薬品販売」を主たる業としてきた。

 一方、国の医薬分業推進によって、この30年間で、薬局は外来患者の処方せんを応需して調剤を行なうようになってきた。この経験は、「処方せん発行医との連携」「患者への服薬指導」を通して“地域医療を担う一員”としての評価を得ることとなった。

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 介護支援専門員は、毎日が「訪問」の日々です。利用者さんにはまことにいろいろな人がいるのですが、誰もが自宅にいるときが一番いい顔をしています。そこに訪ねていけるのは、私たち介護支援専門員の特権でもあるとつくづく思います。病気をしても、少し体が不自由になっても、しばらく考え込んだあとに、人は必ず少しずつ前を向いていくようです。そういう現場に立ち会っていくことも、この仕事の醍醐味だなあと感じます。

 もちろん、それぞれの人生があり、きれいごとばかりではありません。それでも人が「生きる」という生(なま)の現場に向き合っていくのは、自分自身に向き合うことを余儀なくされながらも、やりがいのある仕事です。

読者の声

“ちょっと先”と“家族の歴史”
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“ちょっと先”と“家族の歴史”

栃木・ケアマネジャー 寺内利恵

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ニュース―看護と介護のこのひと月

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次号予告・編集後記 杉本 , 多淵
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小児在宅ケアの取材を始めた。最初、高齢者ケアとはまったく別モノだと思っていた。でも今は、小児在宅ケアには高齢者ケアのヒントが溢れていると感じている。どんなに重い障害があっても、たとえそう長くは生きられないと予想されても、その子を発達・成長する存在として慈しむ。わかりやすく言えば、「この子はどうせもうすぐ死ぬ子」という扱いを決してしない。「療育」「発達支援」という言葉を高齢者に向けて使うには違和感があるけれど、「リハビリ」という言葉に置き換えてみたらどうだろう。それは、かつての機能を取り戻せと強いるのではない。介護予防とも違う。デイでのリハで要介護度を下げるなどの目覚ましい成果をあげている藤原さん(巻頭)が、もともとは障害児支援に取り組まれていたと聞き、深く納得した。…杉本

うちのチームにもメッシがいれば……。サッカーの監督であれば、誰もが考えることです。しかし、現実にはメッシは1人しか存在せず、400億円を超える移籍金をチームが払えるはずもない。つまり、今ある戦力で、ベストの布陣を組み勝利をめざすしかないのです。本号特集のサブタイトルにある“ワザ”とは、リハ職の専門性、つまり、看護職にはない彼らならではの「視点」です。それを少しでも読者のみなさんに共有できればと、本特集を企画しました。限られた医療資源のなか、すぐに多職種連携を始めることは難しくとも、現状の人員でできる範囲で、利用者さんに最善のケアを提供し続けなければならない。本特集が、日々現場で戦う方の一助となれば幸いです。…多淵

基本情報

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訪問看護と介護
18巻11号 (2013年11月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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