訪問看護と介護 17巻2号 (2012年2月)

特集 “時代のキーワード”で読み解く 「超高齢社会」「多死時代」とは?

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今年、団塊の世代の第一陣、1947年生まれの方々が「65歳」を迎えます。

先例のない「超高齢社会」「多死時代」がいよいよ本格化していきます。

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 日本は世界で高齢社会の先頭を走っている。

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団塊世代の親子関係の変容

 団塊の世代(前後)が年老いて在宅ケアの利用者となるとき、大げさでも何でもなく、面倒で厄介な事態がかつてより増大すると思う。それは、今まさにつくり出されている“これまでの親子”とは異なる親子関係に起因する。

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急激な家族の変化 変わる介護問題

“シングル子”と同居する高齢者が増えた

 高齢の親と同居する中高年シングルが増えている。65歳以上の高齢者のうち「子夫婦と同居」の割合は1989年の42.2%から2010年17.5%へと大幅に減少し、一方、「配偶者のいない子と同居」の割合はこの間17.6%から24.8%へと上昇した(図1)。いまや高齢者世帯の4世帯に1世帯はこうした世帯である(国民生活基礎調査、2010)。

 しかし、こうした家族が介護問題を抱えたときの困難は、世間に十分理解されていないところがある。それには、過去10数年間の介護家族をめぐる変化があまりにも急激で大きなものだったため、支援者を含めた人々がもつ“家族観”が現実に即応していない状況が関わっている。

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追い詰められていく介護者

 介護保険制度が導入されてから10年以上が経過した。制度発足当時は約250万人だった介護認定者数(要支援も含む)は、2010年に500万人を突破し、ほぼ2倍となっている*1

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 「無縁社会」とは2010年に放映したシリーズ番組名としてNHKが造語し、定着した用語である。類語に朝日新聞が2011年にこれもキャンペーン企画とした「孤族の国」がある。いずれも単身世帯の増加を社会的背景としている。

 単身世帯とは文字どおり、「ひとりで暮らしている人」を言う。既婚者でも子どもを産んでいても、家族がいてもいなくても、ひとり暮らしなら単身世帯である。このところの変化は、あらゆる年齢層で単身世帯が増えていることだ。

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「救急医療」と「在宅医療」は表裏一体

 筆者は、都内の救命救急センターに勤める救急救命士である。超急性期の最重症患者を対象とする救命救急は、慢性疾患や後遺症等を抱える患者を在宅でケアする訪問看護や介護とは大きく異なる現場に思えるが、実際には“背中合わせの関係”である。

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 1997年に宮城県名取市で開業して以来、多職種によるチームでの在宅緩和ケアを行なってきた。今では名取市のほかに仙台市・福島市にも拠点をもち、がん患者さんを中心に年間300名以上、累計2000名以上の方を在宅で看取っている。自宅での苦痛のない生活をサポートするために、とりわけ「チームケア」を重視してきた。

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リハビリとしての機能回復訓練から介護予防としての機能維持体操へ

 「ふだん家内は、椅子に1時間も座っていられないんです。だけどここでは、他の人と同じように座ったまま、最後まで運動に参加できるんですよね」とAさんが語る。

 「そのかわり、家に帰ったらバタンキューですよ。ここではかなり(家内は)がんばっているんだと思います」。

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【目的】在宅に特化した診療所と連携してケアを実施した訪問看護ステーションについて遺族から評価を得る。

【方法】診療所で在宅死亡まで診療を受けたがん患者の遺族135名を対象に自記式質問紙調査を行なった。

【結果】有効回答97名(75%)のうち、訪問看護ステーションの訪問を受けていたと回答したものは33名(34%)であった。93%が「訪問看護師の関わりに満足だった」、86%が「診療所との連携はよかった」と回答した。「診療所の看護師とは別に訪問看護ステーションが入っていてよかった」に対しては74%が「そう思う」「とてもそう思う」であったが、26%は「そう思わない」「あまりそう思わない」であった。

【考察】評価は全般的によかったが、患者家族のニーズの違いにより診療所と訪問ステーションの訪問頻度や役割分担を患者ごとに検討する必要性が示唆された。

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東日本大震災で甚大な被害に見舞われた宮城県気仙沼市に、訪問看護を軸に、作業療法士・歯科衛生士・管理栄養士がチームを組んで地域の療養者を支えるステーションが生まれました。この「在宅NST(栄養サポートチーム)ステーション」を創設したのは、30歳代半ばで地元高松に訪問看護ステーションを立ち上げるとともに、独自の「災害在宅看護」の道を切り拓いてこられた鎌野倫加さんです。海外留学経験もあり、急性期医療や都市部での訪問看護経験を経て、国際的な災害支援にも携わる、“Think Globally、Act Locally”なその姿勢に迫りました。

連載 訪問看護 時事刻々・155

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 このたび2010年の人口動態統計が確定した。

 平均寿命は女性86.39歳、男性79.64歳で変わらず長寿を誇る。60歳の平均余命が女性28.37歳、男性22.87歳だから定年後も長い。80歳になっても平均余命は女性が11.59歳、男性が8.57歳。最近、女性が80代で亡くなると「若いわね」と言われるとか。これぞ超高齢社会だ。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・29

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 昨年、NHKラジオ第1放送の隠れた人気番組「ラジオ深夜便――明日へのことば」に出演する機会をいただきました。11月10日木曜日の早朝4時5分から、「人生のラストステージを支えて」と題して、インタビューに答えるかたちでの40分間です。

 私が訪問看護師になるきっかけとなった実姉のがん闘病時のこと、印象に残る在宅ホスピスケアの体験や『在宅ケアの不思議な力』(医学書院、2010)の中でも取り上げた、一人暮らしでも自分の思いを貫いて最期を住み慣れた自宅で迎えられた方の話をしました。そして、がん患者と家族のための相談窓口となる英国のマギーズセンターを日本にも作りたいと考えていること、その目的に向かって、昨年7月に新宿区にある団地の1階で「暮らしの保健室」を開設したことも話しました。

連載 介護することば 介護するからだ 細馬先生の観察日記・第7回

歌と語りのあいだ 細馬 宏通
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 秋の昼下がり、阪急電車に乗っていたら、ひとつ向こうのドアの前からコーラスが聞こえ始めた。女子中学生が3人、楽しげにクラシックの曲をハモっている。合唱の練習だろうか。声は小さく、車内の誰かに聞かせようという大きさではない。ごうごうと線路を走る音も響いている。しかし、彼女たちの声は明らかに目立っている。それが証拠に、歌声にはっと目を上げたとき、わたしと同じように目を上げた乗客が周囲に何人も見えた。けれど彼女たちは、自分たちが注目されていることなどまるで気にもとめずに、声を合わせ、1人ずつ歌って相談し、また声を合わせていく。まるで屈託がない。うらやましくなった。

 わたしは、カラオケがこの世に登場する以前に小中学校時代を送った。1人で鼻歌を歌うのはなんでもないが、誰かと話しているときに、歌を口ずさむのにはちょっとした勢いや勇気がいる。「ねえ、あれどんな歌だっけ?」といった話題が出ても、いざ歌おうとすると構え直してしまう。ところが彼女たちには、歌に入ろうとするときに、気負ったところがない。当たり前のように歌に滑り出していく。小さなコーラスを聴くうちに、普段のことばと歌とを区別して、歌に特別な構えをとろうとするわたしのほうが自意識過剰な人間のような気がしてくる。

連載 これって、急変? なんとなく変への対処法・第2回

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本日の目標

❶方針を決めるのに、医師が“イロイロ”考えていることを知る

❷“イロイロ”の中身を知る

❸“モヤモヤ”に気づき、話し合える

連載 一器多用・第9回

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 「健康と体育」というテーマで、若い大学生を相手に、介護を中心にした授業を行なっています。そこで先日、緊急時の搬送技術――消防士・救命士の方々が行なう「ファイヤーマンズキャリー」――を教えました。東日本大震災で多くのエレベーターが停止した経験を踏まえ、負傷者や高齢者、障がい者の方の非常時の搬出を、若者にこそ率先して行なってほしいという気持ちを込めてカリキュラムに加えたのです。

 ファイヤーマンズキャリーは、相手の骨盤のあたり(腹側)を自分の肩に載せ、肩を中心にうつ伏せに二つ折りにし、その手脚を抱えて運ぶ方法です。女子学生はともかく、男子学生は楽にできるだろうと思って見ていると、予想外に苦戦しています。腰のあたりや片脚を持って抱え上げようとするものの、まともに持ち上げることもできない人がほとんどです。そこで、重心となる骨盤と股関節の中間地点を肩に載せて立ち上がってみようと、手取り足取り教えてみました。ところが、相手を肩に載せたところで腰砕けになったり、最後まで持ち上げられなかったりと、散々な状態です。授業を見学していた60歳代の学部長が、見るに見かねてやってみせ、学生たちを軽々抱えて、拍手喝采を浴びている有様。若者の基礎体力の低下が叫ばれて久しくなりますが、まさにその現場に直面してしまいました。

連載 「介護」「看病」は“泣き笑い” ウチの場合はこうなんです!・第11回

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杏里 前回のプロフィール欄でちょこっと予告しましたが、このたび、長きにわたる婚活を終え、めでたく結婚いたしました。

母 ヨカッタ、ヨカッタ! あんたをヨメにもらおうと決意した旦那さんに国民栄誉賞をあげたいねぇ。

ほっとらいん ふろむ ほんごう

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 昨年12月11日(日)、首都大学東京・荒川キャンパス(東京都荒川区)にて、川村佐和子氏(聖隷クリストファー大学大学院)のもと、第1回日本在宅看護学会学術集会が開催された。同学会は、同年7月に設立されたばかり。設立から半年という短期間にもかかわらず、全国から訪問看護師や在宅看護教育関係者ら200名以上が集まった。

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 ダイヤ財団フォーラム「根拠に基づくケアマネジメントの実現」(主催=公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団)が11月19日、丸の内マイプラザホール(東京都千代田区)にて開催された。本フォーラムは、高齢者へのアセスメント手法のルーツと言われ、根拠あるケアプランを作成するための指針であるMDS(Minimum data set)方式が、このたびインターライ(interRAI)方式に刷新され、その日本版が同日公開されたことを受け開催された。

読者の声

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もっと認知症の理解を深めたい

匿名 鳥取県・介護支援専門員

 

村松静子さんのインタビューを読んで

寺崎亜世子 兵庫県・看護師

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ニュース―看護と介護のこのひと月

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次号予告・編集後記 杉本 , 青木
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時代の変化のなかで、人々にかつてあったはずの自他をケアする能力が失われてきたと言われる。そして、その多くはケアの専門職に委ねられるようになった。しかし岡部健医師は、東日本大震災での経験から、「まるで本能のように」他者の命を助けようとする力が人々の深層に眠っている可能性を指摘する。日々の私たちはその力をどう発揮したらよいのかわからずにいるが、それをできるポテンシャルはもっているのだ(と思いたい)。もはやケアの専門職だけで人々の生死を支えていくことは、質量ともに難しくなった。新年から前途多難なキーワードが並んだ特集だが、人々が眠れる力を発揮できる方向へとなんとか進んでいけないだろうかと思った。そのためのヒントは、きっともう在宅ケアの試行錯誤のなかにあるような気がします。…杉本

 

専門誌を読むことは、専門職にとって“ごはん”と同じ――川島みどりさんの言葉です。プロフェッショナルが時代の変化を知り、その背景や動向を見通す資料として、本誌のような小さな雑誌は意義があります。多忙な読者の皆様の目を惹けない内容であれば、2.5人体制(室長+専任2名)でひいこら言いながら我々が奔走したり、デザイナー・印刷会社にぎりぎりまで汗を掻いてもらっている意味がない。これは、おかげさまで部数好調な今こそ思います。◎震災前に生まれた息子の誕生日を控え、2年前、上野千鶴子さんに「中学生から読者でした」と挨拶した際、にこりと「あら、不幸な少年だったのね」と返されてどきりとした、あの笑顔を思い出す今冬です。…青木

基本情報

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訪問看護と介護
17巻2号 (2012年2月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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