連載 訪問看護 時事刻々・148
今月の話題 介護保険法改正
石田 昌宏
pp.590
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101930
- 有料閲覧
- 文献概要
今国会で介護保険法改正案が議論されている。政局による不透明感があるが、順調に行けば来年春からは新制度がスタートする。ちょうど介護報酬・診療報酬の改定も同時なので、来年度は大きな変化の下でのスタートになるのだろう。
訪問看護に関し、大きなテーマのひとつが介護職員等によるたんの吸引等の法制化。医療とは何か、看護とは何かという本質的な問題をはらむので、衆議院でも大いに議論になった。参考人として国会に招かれた日本訪問看護振興財団の佐藤美穂子常務理事は「安全性確保に何が大切か」との質問に対し、「登録基準で整っているだけではだめで、療養者に応じて訪問看護計画や評価確認の仕組みも作る必要がある」と明確に答えた。たしかに今の法律案では、研修を受けるなどの事前の対応への仕組みはある。しかし安全に行なわれているかどうかの評価の仕組みはない。医師や看護職にも共通するが、資格さえあれば十分な技術をもっているとの前提に立った仕組みで本当に安全が保てるのだろうか。一度資格をとったら死ぬまで有効という今の資格制度の本質的な問題につながる。せめて、事業所や病院・施設ごとに技術評価をするべきだ。
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.