産婦人科の実際 65巻4号 (2016年4月)

特集 胎児循環を理解する(2) 病態生理からみた評価法の実際

胎児心機能の評価法 村田 晋

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著者の手順に従いネーゲリ鉗子分娩(FD)を行った87例を対象に、その転帰、有害事象、および牽引回数を含めた因子との関連について検討した。1)ネーゲリFDは全例で成功し、牽引回数は1回が65%、2回が25%、3回以上が10%であった。2)母児ともに重大な有害事象はみられなかった。3)各因子と有害事象との関連を検討すると、新生児顔面損傷は回旋異常、牽引回数増加、母体合併症ありの場合に多く認められた。また、臍帯動脈血アシデミアは胎児機能不全の適応で多くみられた。尚、背景因子と牽引回数との関連については、牽引3回以上の粗オッズ比は回旋異常20であった。

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著者らが行った腹腔鏡下手術で、75歳以上の後期高齢者25例について検討した。その結果、基礎疾患は84%と高頻度に認められ、手術既往も40%で認められたが、入院期間の延長や周術期合併症は認めず、開腹移行やSSI発症もみられなかった。

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著者らの施設で実施したART胚移植135例を対象に、移植後早期の血中hCG値に関する検討を行った。その結果、1)移植あたりの臨床妊娠率は新鮮周期35.9%、ホルモン周期凍結融解周期40.4%、自然凍結融解周期で57.1%であった。2)妊娠4週の血中hCG値は妊娠転帰の予測に有用であり、血中hCG値が30~40mIU/ml以上であれば臨床妊娠の可能性が高く、数値が高い場合は妊娠継続となる可能性が高いことが明らかとなった。3)一方、妊娠4週で30~40mIU/ml以上の内因性hCGが検出されたにもかかわらず、胎嚢が確認できない場合には、異所性妊娠の可能性を考慮し慎重な対応が必要であると考えられた。

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著者らの施設で腹腔鏡下にて付属器摘出術と子宮摘出術が行われた高齢者75例を対象に、これらを65~74歳までの前期高齢者40例と75歳以上の後期高齢者21例に分け、臨床的特徴と手術成績を比較検討した。その結果、腹腔鏡下付属器摘出術においては、後期高齢者群は前期高齢者群に比べ、有意に基礎疾患保有率、ASA classが高かったが、手術時間や出血量、術後在院日数、周術期合併症の発生頻度については有意差がみられなかった。また、良性子宮疾患に対する腹腔鏡下子宮摘出術の手術成績についても、両群間で有意差がみられなかった。

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症例1(27歳、初産婦)。妊娠25週2日目の超音波検査にて心拡大を、また妊娠30週6日目の超音波では肝内動静脈奇形が疑われた。妊娠33週0日目に陣痛発来し、経腟分娩にて1534gの男児を出産した。児は肝動脈拡張、動脈門脈シャントの存在ほか、門脈臍部の拡張、臍静脈遺残を指摘されたが、日齢58に行った腹部超音波で動静脈奇形を疑わせる血流が減少したため、日齢83に退院となった。症例2(27歳、初産婦)。妊娠33週1日目の定期健診で胎児心拡大を指摘後、妊娠33週5日目より入院管理となった。超音波検査にて心拡大とともに肝内動静脈奇形が疑われたが、妊娠39週3日目に3278gの女児を自然分娩で出産した、児は出生直後より多呼吸が出現し、動静脈奇形の所見が継続したが、心不全徴候の悪化はなく、日齢20に退院となった。

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46歳(3経妊2経産婦)。子宮頸癌に対する広汎子宮全摘出術および術後放射線治療から10年目に右下腹壁の腫瘤を自覚、今回、徐々に腫瘤が増大したため著者らの施設へ受診となった。所見では浮腫状となった右下腹壁に3cm大の暗紫色の腫瘤が存在していたが、これは術後放射線治療の照射部位にほぼ一致していた。また、MRIでは同部にT1強調像で高信号、T2強調像で低信号を呈する腫瘤が認められ、CTでは下腹壁全体に浮腫性変化がみられた。以上、これらの所見を踏まえて、生検組織検査を行なった結果、本症例は血管肉腫と診断、広範腫瘍切除術が施行された。しかし、術後14ヵ月目に局所再発を認め、2回目の切除術を施行するも、その2ヵ月後にも局所再発した。そこで、切除術を行うとともにパクリタキセルによる化学療法を追加したところ、初回切除術から5年経過現在、再発はみられていない。尚、本症例は広汎子宮全摘出術後の放射線照射を行った部位に発生したStewart-Treves症候群と推察された。

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36歳(1経産婦)。最終月経から39日目に妊娠反応が陽性となったが、軽度の下腹部緊満感と少量の褐色帯下を主訴に著者らの施設へ受診となった。所見では血中hCG値の上昇を認めたほか、超音波とMRI所見より帝王切開術後の子宮峡部妊娠と診断された。以後、患者の妊孕性温存の希望があったため、メトトレキサート療法2-doseレジメンを選択したところ、3回目の投与でhCG値は低下傾向を示し、第53病日には月経が再開した。尚、第99病日の超音波では病変の消失、第127病日には血中hCG値の陰性化が確認された。

基本情報

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産婦人科の実際
65巻4号 (2016年4月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0558-4728 金原出版

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