産婦人科の実際 65巻3号 (2016年3月)

特集 胎児循環を理解する(1) 胎児循環の成り立ちと病態生理

妊娠中の母体循環の変化 桂木 真司

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ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種率向上因子を見出す目的で、全国500自治体に対して自記式アンケート調査を実施、253自治体から得た回答について分析した。その結果、1)副反応については何らかの副反応あり85件(33.7%)、発赤・腫脹19件(7.7%)、失神32件(12.9%)、その他74件(28.9%)であり、慢性化や死亡例などの報告はなかった。2)公費負担とHPVワクチン平均接種率との関連では、公費負担割合が100%である243自治体の平均接種率は68.6%で、公費負担割合が90%以上100%未満の4自治体の平均接種率(45.1%)や50%以上90%未満の2自治体と比較して有意に高い接種率であった。3)接種推奨手段と接種率の関連では、ワクチン接種として何らかの施策を99.2%の自治体で行っていた。また、接種率を目的変数とした単変量解析では集団接種(14件、5.6%)と市民公開講座(19件、7.6%)の2項目の取り組みの実施が高い接種率と有意に関連していた。更にワクチン未接種者に対して個別の働きかけを実施していた71.9%では、電話による推奨が17件で高接種率群の割合は75.0%であり、平均接種率77.7%と有意に関連していた。

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精神神経疾患合併妊娠は増加傾向にあるが、薬剤の内服による妊娠・分娩に対する影響については不明な点も多い。そこで今回、内服の有無と周産期予後の関連について検討した。方法は著者らの施設で分娩した精神神経疾患合併妊娠107症例を内服群57例、非内服群50例に分けて後方視的に調べた。その結果、1)精神疾患で最も多く認めたのは神経症性障害(内服群:27例・40.2%、非内服群:19例・35.8%)で、うちパニック障害が過半数(内服群:17例、非内服群:12例)を占めていた。続いて内服群ではてんかんが17例(25.3%)、気分障害が12例で、非内服群では気分障害が12例(22.2%)、てんかんが10例(18.5%)であった。2)分娩方法では内服群で帝王切開率が有意に高く(内服群:38.6%、非内服群:20.0%)、うち緊急帝王切開率(内服群:21.1%、非内服群:4.0%)も有意に高かった。一方、経腟分娩では吸引分娩を内服群にのみ4例に認められた。また、初産の内服群では分娩所要時間が有意に長かったほか、Apgarスコア1分値が7点以下の例が内服群で有意に多く認められた。3)1ヵ月健診時での哺乳方法では内服群の完全母乳率は33.9%で、非内服群の53.1%より有意に少なかったが、人工乳のみの哺乳では両群間に有意差は認められなかった。

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妊娠高血圧症候群(PIH)では児の成熟が期待できる妊娠週数となれば積極的分娩誘導が推奨され、重症例でも経腟分娩を試みることが可能とされる。だが、臨床現場では帝王切開(帝切)が選択されることが多いのが現状である。この要因として経腟分娩を試みた場合の「さらなる血圧上昇」と「重篤な合併症の突発」に対する不安が大きいものと推測される。そこで、これらの合併症発症の予兆を明確にし、その出現を緊急帝切の適応とする診療指針が帝切率の低下につながるか否かを前方視的に検討した。その結果、1)本指針を適応した重症PIH 41例中、36例で経腟分娩を試行したところ、12例が帝切となった。重症PIH全体の帝切率41%(17/41例)に対し帝切率は33%(12/36例)となった。2)妊娠34週以降において本指針採用前の帝切率は96%(43/45例)であったが、本トライアル導入により帝切率は96%から41%と有意に低下していた。以上より、明確な診療指針を設けることにより不要な帝切を回避できるものと考えられた。

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著者らは2014年4月~2015年9月の間に術前進行期IA期と診断された症例118例に対し、腹腔鏡下子宮体癌根治術を施行した。その結果、1)観察期間の中央値は10ヵ月(1~19ヵ月)で、手術時間は平均172分(55~274分)、出血量は平均46ml(5~300ml)、入院期間は平均7.1日(5~21日)であった。また、骨盤リンパ節郭清個数は中央値30個(19~45個)であった。2)術後の最終病理診断進行度はIA期が112例、IB期が3例、II期が2例、IIIA期が1例であった。腹水細胞診陽性は11例(9%)で、類内皮腺癌G1/G2は112例、G3は2例、漿液性腺癌は2例、carcinosarcomaは1例で、脈管・リンパ管侵襲は12例(10%)で認められた。3)術後に中・高リスク群に分類された症例は20例で、全症例中17%(20/118例)を占めていた。4)術後補助化学療法は23例(19%)に施行され、開腹移行例や輸血症例などの大きな合併症も認められなかった。以上より、腹腔手術のbenefitがあるのは事実であるが、開腹手術と比較したriskなどが今後の課題と考えられた。

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33歳(1経妊1経産)。妊娠29週0日目より日常生活が困難な程の腰痛が出現、近医の産婦人科にて入院での安静管理となったが、妊娠29週4目日に臀部~両大腿外側面のしびれが出現したため整形外科へ紹介、腰椎単純MRIでは多発骨腫瘍を認め、胸部X線像では左肺野に腫瘤影が認められた。悪性腫瘍と考え、以後、精査加療目的で著者らの施設へ転院となった。来院時、体動や座位が困難なほどの疼痛であるも、胎児超音波検査では胎児の推定体重は妊娠週数相当で奇形や胎盤腫瘤などは認められなかった。また、腫瘍マーカーの高値を認め、経気管支鏡検査にてIV期大細胞神経内分泌癌(LCNEC)と診断された。以後、関連科ほか、家族と検討して、まず分娩は妊娠31週1日目に選択的帝王切開術を施行し、1653gの男児を分娩した。そして、母体に対しては化学療法として分娩後8日目よりcrizotinib、分娩後98日目よりalectinibを投与した。だが、患者の全身状態は悪化して、分娩後134日目に死亡となった。尚、胎盤病理結果から胎盤転移を認めたが、児には問題なく、目下も外来でフォロー中である。以上より、妊婦の難治性腰痛は本症例のように骨転移の症状であることを念頭に置いて診察することが必要であると示唆された。

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48歳(2経妊2経産)。約10年前から子宮筋腫を指摘されていたが定期的受診はしていなかった。今回、持続する凝血塊を伴う性器出血を認め、救急搬送となった。来院時、意識清明であるも、血圧は100/50mmHg、ヘモグロビン値は1.4g/dl、ヘマトクリットは5.4%に低下しており、内診では鶏卵大の子宮筋腫が腟内に認められた。そこで、直ちに濃厚赤血球製剤を輸血しながら全身麻酔下に経腟的に筋腫を核出し、あわせて鉄剤の投与を行なった。その結果、速やかに改善が得られ、手術に伴う合併症や後遺症はみられなかった。尚、摘出した子宮筋腫核は約5cm大で、組織診断では平滑筋腫であった。以上より、子宮筋腫と診断した場合には貧血を来さないためにも定期的な管理が重要であると示唆された。

基本情報

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産婦人科の実際
65巻3号 (2016年3月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0558-4728 金原出版

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