胃と腸 8巻5号 (1973年5月)

今月の主題 胃癌の経過

主題

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 早期胃癌の日本内視鏡学会分類が設定されて10年余になるが,その頃から既に胃癌の経過を分析する気運が生まれていたように思う.内視鏡学会分類の設定を契機に,発見される早期胃癌の数も非常に多くなったが,その中には,当初,良性と誤診していて結果的に経過を観察したような症例も含まれていたので,胃カメラ写真の優れた記録性・再現性を利用して,これ等の症例を詳細に検討することにより,胃癌の経過を逆追跡する研究方法に関心を持つ臨床家が急速に増加してきた.それにつれて,これら発見された早期胃癌と進行胃癌との結びつきについても,より多くの議論がなされるようになった.すなわち,胃癌の発育進展速度はどうなのか,どのような形の早期胃癌がどのような形の進行胃癌になるのか,または,進行胃癌の早期像はどのような形を呈するのか,等等である.このような気運の中で,この逆追跡法を用いて各早期胃癌の発育過程の内視鏡的,X線学的分析が行われ,更にそれを最終的に手術で得られた組織像と照合するという研究が着々と進められてきた.以来,現在までに関連学会においても,胃癌の経過という問題がシンポジウム等のテーマとして幾度か取りあげられ,この「胃と腸」においても,この問題に色々な側面から(たとえば,3巻7号「胃癌の発生」,3巻13号「陥凹性早期胃癌の経過」,5巻1号「胃癌の経過」,7巻5号「悪性サイクル」など),取り組んできたことは周知の通りである.

 胃癌の経過に関するこのような研究の歴史をふりかえってみると,この10年の実りは実に大きい.この歩みの中で先ず最初に問題にされたのはある程度の拡がりをもったⅡc型の早期胃癌が,かなり遅発育型であるということ,次いでⅡcの中に存在する潰瘍の息吹き,いわゆる悪性サイクル現象の臨床研究面からの発見であった.同時にまた,初めの頃発見されていた早期胃癌のほとんどがⅡc型であったという事実から,日本で発見されている早期胃癌は,果して本当に,進行胃癌に繋がる意味での,“early”cancerであるのか,あるいは別個の性質を持った癌ではないのか,という疑念を抱くものも決して少くはなかった.すなわち,従来胃癌の経過を主題として持たれたシンポジウムや多くの症例報告で発表された内容は,ほとんどが陥凹型の早期胃癌を中心とするもので占められていたのである.

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 一昔前は,胃癌の経過を研究する手段としては,切除された胃癌にっいて,その組織検索を詳しく行って,それが,かつてどのような経過をとって来たのかを推定した.例えば潰瘍の辺縁に癌があれば,潰瘍を母地として,またpolyp型の癌があればpolypを母地としてというようなことが言われ,しかも人によってはかなりの高率の数字を挙げ,潰瘍やpolypを見付ければ,それはたとえ良性であっても癌と同様と見なされ,切除されることが多かった.しかし,最近,胃の診断学は著しく進歩普及し,初診時における病変の良悪性の鑑別が的確となり,良性のものならばそれをきめ細かく経過追及することも行なわれるようになった.その結果,初め良性潰瘍と診断されたものが確実に悪性に変ったと思われる症例のないことが分ってきた.きめ細かく経過を追った症例で,もうそろそろ10年あるいは,それ以上になるものが各施設にある筈なのに,少くともその期間内にはそれと思われるものはない.もっと長期の,またもっと多数の例を集めることが今後の課題と言えよう.このような研究を行なっているうちに,それは生検が未だ広く行なわれていない時代の副産物とも言えるが,癌巣内にある潰瘍が縮少し,また再び拡大するといういわゆる“悪性サイクル”のあることが分って来たことは既に衆知のことである.

 一方,良性polypのfollow-upも各所で行なわれているようであるが,その多くは初診の時点からかなり長年月に亘ってもあまり形を変えず,なかには脱落消失するものもある.稀に多少大きさ,形を変えるものもあるが,それが癌に変ったとの報告は殆んどない.polypの癌化については,未だ多くの問題が残されているが,この場合も今後多くの症例での長期に亘る研究が必要と思う.

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 今回,寄せられた経過追跡資料の大部分(12例中10例)は,消化性潰瘍を合併しないいわゆる隆起性胃癌であったので臨床資料を参考とした病理からみた隆起性胃癌の進展と発育についての私見をのべてみることにする.

臨床資料よりみた隆起性胃癌の成り立ち

 良性ポリープまたは異型上皮等の非癌性病変を母地としたものを除き大部分の隆起性癌は平坦な癌(Ⅱb)より発育したものと考えられる.図1に示すように潰瘍を合併しないⅡb型の癌はその進展に2つの方向があり,1つは隆起して(Ⅱa)胃内腔に隆起癌となるものと,他の1つは陥凹してⅡc型(びらん癌)となり,更にこのびらん癌は粘膜下層以下に浸潤してⅡa+Ⅱc型(深部浸潤型),更に進行するとボルマンⅡ型癌になる.以前の成書ではボルマンⅡ型癌はボルマンⅠ型よりの決潰によって生じたものとのみ考えられてきたがⅡb→Ⅱc→深部浸潤型(Ⅱa+Ⅱc)→ボルマンⅡ型に至る過程を筆者らは数回にわたりのべてきた.今回の集められた資料における初回の臨床所見を大別すると2つに分けることができる.

 ①Ⅱb(またはⅡc),または正常粘膜

 ②Ⅱa様隆起(ポリープ及び異型上皮を含める).

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 病理組織学的検索により進行癌であった症例で,retrospectiveに臨床経過を追求することのできた症例,さらに早期癌でその発育過程が推定される症例を加え,主として内視鏡の立場からのべてみる.

 〔症例1〕E.S. 38歳,♂

 主 訴:自覚症状なし.

 家族歴:特記すべきことなし.

 既往歴:特記すべきことなし.

 病 歴:昭和40年某会社の胃集検を受け,胃内視鏡検査の結果,とくに異常は指摘されなかった.昭和42年にも胃集検を受けたが,同様異常は指摘されなかった.さらに昭和44年の胃集検で始めて前庭部大彎の陰影欠損を指摘され,某病院に精査のため入院した.

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 胃癌の診断が確定して,しかも経過を追うことはまずきわめてまれである.かなりの期間にわたり経過をみて,しかも最終的に進行癌として手術された症例には,それぞれ事情があることは当然である.その主な原因は経過観察中における検査が不充分であったための見落しか,患者の都合で充分の検査が施行できなかったため経過中における癌の初期像を捉えることができなかったかのいずれかであろうかと思われる.

 われわれは当初2年にわたり多発胃ポリープの経過を観察していた症例が,患者の都合でその後当院における検査が施行できず,3年後に症状を訴えて来院したときに巨大な進行胃癌を発見した症例に遭遇したので報告する.

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 岡部が提唱した胃癌のRetrospective follow up studyは,胃癌の発育進展過程を考察する上の有力な武器となることは周知の通りである.

 しかし,隆起性病変の発育進展過程に関しては異型上皮巣と胃癌との鑑別診断が確立されていないために,retrospectiveなX線,内視鏡所見の推移のみからは,異型上皮細胞腫が胃癌へと進展したのか,あるいは最初から癌であったものが大きくなるのか,解釈できないことが多い.

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 結果的に胃癌の経過を3カ月以上追跡した症例のうち,早期胃癌は24例であった.

 そのうち胃癌の発育速度について興味ある経過を示した症例は,すでに本誌に発表したごとく,2年間続いた潰瘍瘢痕と思われる像から,40日目には急速に発育し,Borrmann Ⅱ型の進行癌に変化した症例や,Haut Krebsと合併したⅡc型胃癌,Prostata Krebsと合併したⅠ型早期胃癌が,ともに生検にて胃癌と診断を確定しながら,合併した癌の予後が決まらなかったため,2年間および4年間の経過をみることになったが,ほとんど病変の大いさが変化せず,合併した癌の予後も良好で最終的に胃癌の方も切除できた症例を経験し,胃癌の発育速度,胃癌と免疫,あるいは抗癌剤の効果などの面から興味があった.

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 最近の胃X線,内視鏡検査の進歩は著しく,直視下胃生検の進歩,普及と相侯って形態学的な面から胃疾患の診断能は飛躍的に向上した.その結果,早期胃癌も数多く発見されるようになり,早期胃癌および進行胃癌の形態学的あるいは組織学的検討が積み重ねられ,術前の胃癌深達度診断能も正確性を増してきた.しかし,同時に術前の胃X線あるいは内視鏡所見から早期胃癌と診断したものの組織学的には進行胃癌であったという症例にもしばしば遭遇するようになった.今回,内視鏡的に10年間逆追跡の可能であったⅡc型早期胃癌類似進行癌を経験し,10年間の内視鏡所見の推移に興味があったので報告し,若干の考察を加えてみた.

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症例

 患 者:野○竹○,74歳,男性.

 主 訴:心窩部鈍痛.

 既往歴:54歳,肺結核.

 病 歴:昭和47年4月初め,めまい,耳鳴りのため,近医受診動脈硬化症として投薬を受けたところ,心窩部に鈍痛を感じるようになり胃精査を希望して4月10日当院初診受診した.胃X線検査,胃内視鏡検査,生検にてⅠ型早期癌と診断,手術することをすすめたが本人が頑強に拒否し,繰返し説得し3カ月後の9月12日に入院し,9月21日胃切除術を施行した.

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症例

 患 者:G.K. 男,51歳,製材工

 主 訴:胃心窩部膨満感

 家族歴:父親が胃癌で死亡している.

 既往歴:マラリヤに罹患したほか,10年来高血圧の治療を受けている.

 現病歴:昭和42年3月に胃心窩部膨満感の愁訴があり某医の診療を受けていた.この間,昭和42年3月と同年秋に胃カメラ検査を受け,胃炎といわれていた.

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 術前の胃癌の経過が注目されるようになり,retrospectiveにみた胃癌の長期観察例が数多く報告されるようになったが,中でも表面陥凹型早期胃癌のそれが多く,隆起性胃癌の長期観察例は少ないようである.

 われわれは,当初,胃X線検査で胃ポリープと診断し,その後4年間,胃X線検査で定期的に経過観察を行なっていた胃の隆起性病変が,ある時期に著しい形態の変化を示したので,手術したところ,隆起性の腺癌で,すでに漿膜下層まで浸潤していた例を経験した.本例では,残念ながら胃内視鏡検査と生検による経過観察が行なわれていないが,X線写真上興味ある経過を示しており,胃癌の発育の一面を考える上で興味ある症例と思われたので,その経過の概要を報告し,諸家の御批判をあおぎたい.

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 胃のX線検査で,胃潰瘍によっておこった胃の変形を記載する場合,しばしばschneckenförmige EinrollungとかBeutelmagenあるいはSanduhrmagenなどといった名称が用いられていることは誰でもしっていることである.

 このschneckenförmige Einrollungという言葉は1909年SchmiedenとHartelが外科的胃疾患のX線検査という論文で“小彎と大彎とのアンバランスによって胃は蝸牛殻状に内飜されている”と述べたのが最初らしいが,1911年のSchmiedenの論文でschneckenförmigeEinrollungという名詞が正式名称として記載されている.

大腸癌のStaging 小林 世美
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 大腸癌の形態は,胃癌のそれ程多彩ではない.隆起型と潰瘍型が多く,硬性癌は非常にまれである.中でも,Borrmann Ⅱ型に類似した潰瘍限局型が圧倒的に多い.大腸は胃に比べると粘液分泌以外の複雑な分泌能をもたず,従って組織もきわめて単純な粘液分泌腺からなる.そこで癌の組織型は,良く分化した形態をとり,胃でいうなら分化型(乳頭状腺管腺癌)の形をとるBorrmann ⅠおよびⅡ型類似型が多くなる.胃と同様に隆起型は,比較的早期で予後のよいものと考えられる.大腸癌の発見は,狭窄による排便障害や,表層組織の破壊による出血等がきっかけとなるので,潰瘍形成のBorrmann Ⅱ型が多く,さらに浸潤様所見を呈すれば,Ⅲ型を示すものも少なからず存在する.胃のスキルスに相当する型は大腸組織を母地としては発生しにくい.数少ない報告があるのみだ.早期発見といえば,ほとんど隆起型で,ポリープかポリポイド癌の鑑別を要する症例として発見されることが多い.胃の早期癌のⅠ型,Ⅱa型の形態で発見される.ⅡcとかⅡc+Ⅲのごとき陥凹型の早期発見例は経験がない.

 大腸癌の予後に関連するStage分類として有名なのは,1932年のDukesの分類である.彼は直腸癌に関し次の3つのTypeに分けている.TypeAはリンパ節転移のない直腸壁に限局したもの.TypeBは,リンパ節転移はないが,癌が腸壁を貫いて近接臓器に達している.TypeCは腸壁を貫いて,リンパ節転移を認めるもの,等がある.Gilbertsenらによれば,大腸癌切除例のDukes分類による5年生存率は,Aで75.5%,Bで59%,Cで33%だったと述べている.

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 上部消化管出血に際して早期X線検査は出血巣を確認し,外科的適応の決定,予後の判定をおこなうために必要であり,現在その安全性および有用性が認められ次第に普及しつつある.しかし出血巣究明を急ぐあまり患者の重症度判定が不充分のままX線検査を施行したり,無理な撮影術式を用いれば予期しない偶発症をおこす可能性もあり注意せねばならない.

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 つい最近のことである.胃内視鏡検査を目的として来院した患者が待合室で待機中に心筋硬塞発作をおこし死亡した.もし発作がすこしおくれて,内視鏡検査中におこったのであれば,その主因は内視鏡検査のせいにされてしまったかもしれない,考えてみればわれわれもかなり危ない橋を渡っているものだ.

 上部消化器出血時に続発する心筋硬塞は痛みがないのが普通であって,なかなか診断が不確実になりやすい合併症といわれている.出血患者で胸痛もなしに血圧が下降し突然頻脈が現われた場合には,どうしてもそれらの変化を出血自体の結果とみなしがちである(Palmer1)).

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 小腸に原発する癌腫はまれなものであり,本邦において過去10年間に報告されたものでさえも,次頁,表1のごとくである.

 筆者らはX線診断およびR.Ⅰ検査によって空腸癌と診断し,手術により確認し得た症例を経験したので報告する.

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 食道炎の成因として種々のものがあげられているが,そのなかでも逆流性食道炎が,日常もっとも普遍的のものとして考えられている.逆流性食道炎の診断基準について,われわれは主に内視鏡所見から検討しているが,今回そのなかの隆起・肥厚型に入る,多発小隆起型食道炎ともいう2例を経験したので,X線・内視鏡所見を中心に報告する.

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 Peutz-Jeghers症候群はPeutz1)により1921年にオランダの雑誌に最初に記載され,ここにおいて口唇掌蹠色素斑と腸ポリープ症の併存を指摘された.更に1949年Jeghers2)らの自験例を含め10例の詳細な集計より,口腔粘膜・口唇・指趾の明瞭な色素斑および腸ポリポージス,単優性遺伝を思わせるような家族内発生例が多いことを発表してより,比較的まれな疾患として発表が続いている.著者らは最近,胃・小腸および大腸のポリポージスならびに皮膚粘膜の異常色素沈着を有し,経過中に腸重積症を起こし手術を行なった1例を経験したので報告し,あわせて若干の文献的考察を試みる.

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 一般に1cm以下の早期胃癌の術前診断は,非常に難しい.X線診断に関してもしかりで,Ⅱcに関しては,潰瘍瘢痕を伴えば存在診断は比較的容易であるが,純粋のⅡcで,しかも微小になれば,これがX線写真にはっきり現われることは稀である.したがってそのX線症状を検討する機会も非常に少ない.

 本症例は,潰瘍瘢痕を含まず,ひろがり4×4mm,深達度mのⅡc型早期癌で,幸いX線検査で幽門前庭部にprofileniche,frontal nicheとしてはっきり現われ,術前診断は容易であった.これを機会に,本症例を使って微小Ⅱc型早期胃癌のX線症状の一面を検討してみた.

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 胃癌が発生後,どのような発育進展経過をたどるかは重要な研究課題である.しかし,人では胃癌の診断確定後さらに経過を追うことは原則としてありえず,胃癌の発育進展過程の一般的な解析には限界がある.もし,人と同様に胃X線,胃カメラ検査の可能な犬に容易に胃癌を作りうれば,人では困難な同一個体についての胃癌の経過追跡が可能となる.

 われわれは杉村ら1)のN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロゾグアニジン(NG)によるラット胃癌作成法に準じ,独自に1968年2月から犬にNGを投与し,主に胃体上部前壁を中心とした,ある範囲に限局して隆起性病変が多発することをすでに発表した2)3).本論文では,長期間X線的ならびに内視鏡的に観察した犬の胃隆起性病変の発育経過と,その病理組織学的特徴について述べ,若干の考察を加える.

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欧文目次

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 電子顕微鏡による細胞組織学図譜(全6巻)のうちの最終刊になる第2巻についての書評を求められた.この図譜の「発刊のことば」によると,この図譜は単に電子顕微鏡を使って研究にたずさわる人々に対する標準的のテキストの役目をするだけではなく,臨床医学を含めて他の分野の研究者にも基礎的な知識として活用されることが期待されているのであるから,私のように医科の大学生に対する組織学の教育については一応の専門家であっても,最近の電子顕微鏡による研究には専門家ともいえない者がアウトサイダーのような立場でこの本を批判することも,あながち無意義ではないと考えてお引受けしたわけである,

 さてそのような立場で最終頁まで入念にテキストを読み,図を観察したが,なかなか興味が深く感銘を覚えた.当然知っていなければならぬことかも知れないが,私にとっては新らしい知識として参考になった箇所がかなりある.それだけに興味も深かったのである.

編集後記 芦沢 真六
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 この号には,胃癌の経過を示す客観的な資料を揃えた症例が集められている.なかには10年にも及ぶ遠い過去のデータ迄が集められたものもある.多くの方々が経験されたことと思うが,癌だということで過去の資料を集めようと思っても,癌の場所がその当時には確実に,しかもよい条件で読み取ることができないことが少くない.このような意味で本号の症例は,その1例1例が貴重なものと言えよう.

 しかも,紙数の許す限りこのように沢山の例が集められたので,それらを総合して読者は自分なりに癌の発育についていろいろと思いをめぐらすことは興味深いことと思う.またその初回像を見ると,このような時期にも癌といわねばならないのかと思う程変化の少い例もあり,それでは今後の診断はどう進める必要があるか,また新しい診断の技法をどう開発して行かねばならないかなどの課題も生まれてくる.医学はまさに無限である.

基本情報

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胃と腸
8巻5号 (1973年5月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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