胃と腸 45巻1号 (2010年1月)

今月の主題 早期胃癌のIIb進展範囲診断

序説

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時代的要請

 早期胃癌の拡がりは従来の外科的手術において切除範囲を決めるうえで重要であったが,胃では食道におけるヨード染色のような容易でかつ明瞭に癌進展を観察できる方法がなかったため,多くの先達がその診断に苦慮してきた.さらに近年,早期胃癌に対するESD(endoscopic submucosal dissection)による内視鏡治療の開発・普及に伴い,広範囲の粘膜切除が可能となり,その実施に当たっては深達度診断のみならず病巣全周の正確な境界診断が必要となってきた.特に,通常内視鏡観察では困難とされてきた癌に随伴するIIb病変の進展範囲診断の重要性が指摘され,この点を指向した拡大内視鏡やNBI(narrow band imaging)など種々の診断技術の進歩が認められている.現時点で,これら最新の診断技術がIIb進展範囲診断をいかに可能にしているか,その到達点と残された課題を検討するのは時代的要請と言える.

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要旨 内視鏡技術の発展やESDの普及により,早期胃癌の診断・治療の質は向上している.一方,近年,早期胃癌の中で境界不明瞭な病変が注目されてきている.境界不明瞭となる原因は腫瘍の全体,あるいは一部が隆起・陥凹を伴わないIIb型の進展をしていることである.IIb進展が認められる腫瘍は組織学的には,いわゆる“手つなぎ型”と呼ばれる中分化型腺癌や,表層が分化型で,浸潤部が低分化型の腫瘍(未分化混合型)が挙げられる.これらの病理学的特徴としては粘液形質が胃型あるいは胃優位型が多いことを認識しておく必要がある.早期胃癌の治療に際し,このような腫瘍の存在を念頭に置きつつ治療方針決定に当たる必要がある.

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要旨 腫瘍径5mm以下の微小癌を除く早期胃癌655病変(M癌393病変,SM癌262病変)を対象として本研究を行った.純粋IIb癌は10病変(1.5%)で,随伴IIb癌は41病変(6.3%)であった.随伴IIb癌を伴うリスクの高い早期胃癌の特徴は,肉眼型は陥凹型で,組織型は未分化型および混合型で,癌巣周囲粘膜が噴門腺領域および中間帯~幽門腺領域,であった.約90%の随伴IIb癌は主病巣の横軸方向(側方)にIIb癌巣が存在していた.IIb面を構成する癌は組織学的にNT-porsig型,LS-tub2型,LG-tub1型の3群に分類可能であった.IIb面のマクロ所見の特徴はNT-porsig型では褪色,胃小区不明瞭化・消失であった.LS-tub2型では褪色あるいは発赤,胃小区不明瞭化・消失であった.LG-tub1型では発赤,胃小区明瞭化,胃小区粗大化であった.光沢感消失は,組織型を問わず高頻度で認められた.

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要旨 2006年4月から2008年12月までの間にESDにて切除された早期胃癌582病変のうち,病変全体もしくは一部で,病変辺縁に明らかな隆起や陥凹を呈さない41病変(全体の7.0%)を抽出し,さらに境界明瞭群13病変と不明瞭群28病変に分け,腫瘍径,部位,周在性,側方進展部の組織型,色調,インジゴカルミンによる明瞭化の有無,血管透見の不整・消失の有無,病理学的側方進展様式,組織学的背景粘膜について検討した.腫瘍径31mm以上の病変は31.7%であった.部位,周在性ではU,M領域の病変が,全体の73.2%,不明瞭群の71.4%,後壁と小彎の病変を併せると,全体の68.3%,不明瞭群の71.4%であった.色調は不明瞭群の42.9%で背景粘膜と同色調であった.境界明瞭群の中でも,インジゴカルミン撒布により範囲が不明瞭となったものが23.1%存在し,不明瞭群でも範囲が明瞭化したものは35.7%にとどまった.血管透見の不整・消失は,全体の63.4%にみられた.側方進展様式では,全体の中で全層型の占める割合はわずか5.0%であった.組織型と側方進展様式の関係では,tub2,sigは全層型がなく,中間・深層型の割合がそれぞれ28.6%,42.9%と高く,また不明瞭群でsigの割合が高かった.組織学的背景粘膜について,萎縮は全体の95.0%,不明瞭群の96.3%にみられ,腸上皮化生は全体の77.5%,不明瞭群の77.8%にみられた.このようなIIb進展を有する病変に関する臨床病理学的特徴やこれまでの知見を熟知したうえで,新しいmodalityも駆使し,正診率を向上させていくことが重要であると考える.

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要旨 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の普及に伴い早期胃癌の進展範囲診断の重要性が増している.ESDは任意の範囲の一括切除が可能であり,理論的には切除可能な病変の大きさに制限はない.そのため,ESDにおいては厳密な病変の進展範囲診断が必要である.特にIIb型早期胃癌は範囲診断が難しく,さらなる診断技術の向上が必要である.現在新しい内視鏡診断法として,image-enhanced endoscopy,拡大内視鏡診断などが試みられているが,筆者らは簡便かつ有用な試みとして酢酸インジゴカルミン混合液による色素内視鏡(AIM法)を考案し,その有用性を報告してきた.今回,AIM法による診断を中心にIIb型早期胃癌進展範囲診断について概説する.

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要旨 通常内視鏡観察では,平坦で範囲が不明瞭または認識できない病変を0IIb病変とし,酢酸撒布により範囲診断が可能となったか否かを検討した.対象はESDを施行した分化型胃癌20例.酢酸単独の他,インジゴカルミン撒布追加画像や酢酸撒布下NBI拡大観察も評価した.範囲診断の画像は“良好に認識できる(○)”,“不明瞭ながらも認識できる(△)”,“認識できない(×)”の3段階で評価した.酢酸単独では○は9例(45%),△が7例(35%),×が4例(20%)であった.○が臨床的に有用であった,と判断すると0IIb病変の45%は酢酸撒布単独で有用であった.さらにインジゴカルミン撒布追加またはNBI併用拡大観察を用いることで,酢酸単独では△または×の11例のうち6例は○となった.酢酸を用いることで20例中の15例(75%)は範囲が良好に認識できるようになり,0IIbの範囲診断に酢酸は有用であると考えられた.

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要旨 0IIb型早期胃癌の範囲診断において,クリスタルバイオレット染色による微細表面構造の拡大内視鏡観察の有用性を検討した.対象は微細表面構造観察後にESDを行った上皮性腫瘍226例(男175例,女51例,平均72.4歳)237病変,ならびにそのうちの0IIb病変4例,随伴IIbを有する2例で,(1)微細表面構造と病理組織所見との比較,(2)微細表面構造と肉眼型,粘液形質,(3)範囲診断,深達度診断における通常観察例との比較を行い,特に0IIbおよび随伴IIbを有した6例の微細表面構造の特徴を検討した.微細表面構造はTP,PP,DPの3型に,またTPはTP-L(Large and sometime branched)とTP-S(Small tubular or round)に分類された.以上の結果,PPおよびDPを除くM癌142病変中0IIa・0I・0IIb型56/67(83.6%)はTP-L,0IIc・0IIa+IIc型72/75(96.0%)はTP-Sで,主にTP-Sは胃型,TP-Lは腸型の粘液形質を示した.また,DPは特にSM2癌では15/19(78.9%)であった.また,LM(-)は拡大観察で99.0%で,通常観察の85.2%に比し範囲診断能は向上した.一方,0IIbおよび随伴IIbを有する早期胃癌の微細表面構造は,6例全例でTP-S,TP-L(H)およびPPの混在が確認され,その複合所見を領域としてとらえることで正確な範囲診断が可能であった.以上から,微細表面構造の拡大観察は早期胃癌の診断,特に通常観察では困難な0IIb病変の範囲診断において有用であることが示された.

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要旨 背景と目的 : 単独IIb・随伴IIbは,通常内視鏡による境界診断の限界であった.単独IIb・随伴IIbの境界診断における通常内視鏡の限界と,通常内視鏡限界例に対する拡大内視鏡の有用性と限界を求める.対象と方法 : 福岡大学筑紫病院でESDを施行された425病変を対象とし,以下の検討を行った.(1)通常内視鏡による境界明瞭病変と不明瞭病変の頻度とそれぞれの病変における単独IIbと随伴IIbの頻度,(2)通常内視鏡・不明瞭病変に対する拡大内視鏡による境界診断が可能であった病変と限界であった病変の頻度,および単独IIbと随伴IIbの頻度,(3)拡大観察・限界病変の組織学的特徴.成績 :(1)通常内視鏡観察で境界不明瞭な早期胃癌は,約20%であり,単独IIbや随伴IIbは,通常内視鏡診断の限界であった.(2)拡大内視鏡は,通常内視鏡・境界不明瞭例に対し,単独IIb・随伴IIbの肉眼型にかかわらず,76%の病変に対して全周性に境界診断が可能であった.(3)拡大内視鏡診断の限界例の組織学的特徴は,未分化型癌,分化型癌の中では,中分化腺癌,超高分化腺癌であった.結論 : 分化型癌であれば,通常観察で境界不明瞭な単独IIbと随伴IIbに対し,拡大内視鏡による境界診断は有用であった.未分化型癌,一部の中分化腺癌・超高分化腺癌は,拡大内視鏡診断の限界であった.

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要旨 早期胃癌の治療法の進歩によって切除範囲が可能な限り小さく設定されるようになり,より厳密な境界診断が必要となってきている.IIb型早期胃癌(表面平坦型)は正常粘膜にみられる凹凸を超えるほどの隆起・陥凹が認められないものと定義されており,側方範囲診断を行うには慎重を要すると考えられる.白色光を用い,画像処理により内視鏡医が注目する波長の内視鏡画像を作成する分光内視鏡であるFICEは,画像強調観察の中のデジタル法として分類され,内視鏡医は任意の条件設定を行うことにより診断に有用な内視鏡画像を得ることが可能であり,拡大観察においては微小血管や粘膜微細模様の明瞭化が可能である.IIb型早期胃癌においても,FICE拡大内視鏡観察を行うことにより,高い精度で簡便で非侵襲的に側方範囲診断を行えるものと考えられる.

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要旨 2005年5月~2008年4月にESDを施行した分化型優位胃癌のうち,NBI拡大内視鏡所見と病理組織所見の詳細な対応が可能であった458病変を対象とし,肉眼型別の側方進展範囲診断正診率と誤診原因を検討した.NBI拡大内視鏡による分化型優位胃癌の側方進展範囲診断正診率は97.4%,ESD切除後の側方断端陰性率は99.2%と良好であった.肉眼型別に検討すると,IIb非合併例での側方進展範囲診断正診率は100%(427/427)であったのに対し,IIb合併例では61%(19/31)であった.誤診12例を再検討したところ,全例がIIb合併例であり,合計19か所で側方進展範囲を誤診していた.その理由として,胃角など近接が困難で拡大観察ができなかった“場所の要因”と,通常観察でIIb部分が認識されず,拡大観察も施行されなかった“通常観察時の見落とし”が挙げられた.しかし,残りの68%(13/19)ではNBI拡大観察が施行されていたが,IIbの進展範囲を誤診していた.これらの誤診例は全例がvilli様の表面構造を有し,背景粘膜の表面構造もvilli様であった.したがって,背景粘膜がvilli様構造を呈し,癌部もvilli様の表面構造を有する場合の側方進展範囲診断が残された課題である.

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要旨 NBI併用拡大観察後にESDを施行した早期胃癌541病変を検討した.IIb進展部は境界正診率が75.0%(18/24)と低く,慎重な範囲診断が必要である.粘膜表層で腺窩上皮様に分化を示す胃型分化型癌のIIb進展部は,色調や表面性状が周囲粘膜と類似するため,通常観察では診断困難だが,NBI拡大内視鏡を用いて,乳頭・顆粒状微細表面構造の大小不同と,ループ状微小血管の拡張像を観察することで,範囲診断が可能である.IIb進展部に微細構造の不明瞭化と複雑な屈曲,分枝を示す微小血管像を認めたときは,中~低分化型癌の進展を考えるべきである.NBI拡大診断は特殊な組織像において限界があり,IIb進展部で癌腺管が粘膜表層を置換し,非癌腺管が混在した1病変と,低異型度完全腸型癌であった1病変に対して,生検を併用した境界診断が必要であった.

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要旨 画像強調法の内視鏡技術の発達により,AFIなどの新しい診断方法が進歩してきている.AFIでは励起光を照射した際に発生する消化管組織中の自家蛍光を専用のCCDで検出することにより,正常組織や腫瘍組織,炎症などを鑑別することが可能である.AFIによる胃癌の範囲診断は全体として色素内視鏡には劣るものの,平坦病変の補助診断法としての有効性が期待される.

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要旨 2001年から2008年までに福井県立病院外科で開腹手術した早期胃癌651例のうち,随伴0IIbとした症例は53例(8.1%)であった.非随伴群と比較すると,随伴0IIb群での男女比は,7.83 : 1と男性が多く,癌巣全体の平均腫瘍径は5.1cmであり,非随伴群の2.7cmより大きかった.リンパ節転移は随伴0IIb群の13.2%が陽性であり,非随伴群の4.2%より多かった.組織学的断端陽性は随伴0IIb群の3.8%に認め,非随伴群の0.5%より多かった.組織型を分化・未分化の2つに分けた場合でも,両組織型において随伴0IIb群で男性が多く,腫瘍径が大きかった.未分化型癌随伴0IIb群においてはSM癌比率が低いにもかかわらず,リンパ節転移率が高かった.分化型癌で随伴0IIb群は多発癌が多かった.随伴0IIb部分の平均径は2.1cmで,全例粘膜内浸潤で,主たる進展は前後壁方向に多かった.主病変部と随伴0IIb部分の境界を検討すると,明瞭なものが21例,不明瞭なものが32例,明瞭なものには隆起型が多く,周囲粘膜に腸上皮化生が存在すると境界が不明瞭となることが多かった.

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 〔患 者〕 70歳代,男性.

 〔既往歴〕 1986年ごろより家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis ; FAP)を指摘され,2000年に胃癌(幽門側胃切除術),2004年に大腸癌(回盲部切除術)の既往があった.

 〔現病歴〕 2007年に大腸内視鏡検査を施行したところ,上行結腸に腫瘍を認めたため入院となった.

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はじめに

 消化管切除標本の取り扱いには,臓器展開,マクロ観察,伸展固定,マクロ写真撮影そして切り出しなどの各工程が含まれる.これら一連の工程の基本形を理解し,体得することは,外科病理診断に携わる者にとって必須の要件である.

 本稿では臓器展開,伸展固定およびマクロ写真撮影を中心に,病理医の立場から消化管切除標本を取り扱ううえで欠くべからざる基本的な作法をいくつか紹介し,任を果たしたい.

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 今年のJDDW(Japan Digestive Disease Week)は,2009年10月14日から17日まで,京都で開催されました.紅葉には少し早い時期でしたが,薄紅色にほのかに色づいたもみじが,学会発表を控え緊張している私の心を和らげてくれました.

 私は,学会1日目のパネルディスカッション1「食道胃早期癌に対する内視鏡下手術の新展開と適応拡大」のセッションで発表しました.初日の朝一番のセッションでしたが,会場は満席で大勢の先生方が立ち見をされている状態でした.咽頭癌,食道狭窄,食道SM2以深癌,ESD(endoscopic submucosal dissection)+腹腔鏡下リンパ節郭清など幅広い話題で,マイクの前に列ができるほど活発に質疑応答がなされました.患者の食道機能を温存しADL(activities of daily living)を保つという意味で,現在内視鏡治療の相対適応となっている食道全周切除は,拡張術にステロイド局注療法を導入することで許容されていくと考えました.しかし,ステロイドの種類や局注量,局注間隔など解決すべき問題が多く残っており,多施設でのprospective studyの必要性を改めて感じました.

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 JDDW2009(Japan Digestive Disease Week 2009,第17回日本消化器関連学会週間)は,2009年10月14日(水)から17日(土)までの4日間,京都の国立京都国際会館を中心に開催された.京都と言えば日本人であれば誰しもが心癒される日本の古都であり,総会レベルでは久々の開催とあって,皆こぞって演題を応募されたのではないか.実際,一般演題1,949題,主題演題1,697題,合計3,646題の応募があったとのことである.季節も非常によく,大勢の方が“京都の秋”を満喫され,日常の疲れを和ませることができたのではないかと思う.今回自分は時間の都合上,全く寺めぐりなどできなかったが,また時間を作ってゆっくり訪れたいところである.

 今回,胃の話題を中心に学会印象記を書くという依頼を受けたが,日常業務の都合上,16,17日の後半2日間のみの参加となってしまったため,この2日間での胃の発表を中心に報告したい.

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 今年のJDDW(Japan Digestive Disease Week)は京都で2009年10月14日から17日の4日間行われた.立ち見が出るほどあふれる会場もあり少々暑さを感じたが,さすがに朝晩はひんやりと秋の気配を感じた.筆者は前日の外来で上部消化管出血の紹介が4件あり慌ただしかったが,処置を済ませ第1日目から参加した.今回は「胃と腸」編集室から腸の話題を中心にとのことで依頼を受けたこともあり,第2日目から印象記を書くこととする.

 第2日目の午前中は当科からの演題も採用されており,ワークショップ12「大腸鋸歯状病変の取り扱いについて」に参加した.鋸歯状病変の臨床病理学的特徴のみならず,鋸歯状病変の意義も含めて検討が行われた.鋸歯状病変の病理組織分類や診断基準はいまだ統一されておらず,特にHP(hyperplastic polyp)とSSA/P(sessile serrated adenoma/polyp)の診断は病理医により大きく異なるのが現状である.今後,鋸歯状病変各々の臨床病理学的意義を検討し,内視鏡診断を行ったうえで,まず病理組織分類,診断基準を早急に統一する必要があると考えられた.また,鋸歯状病変自体の癌併存率は通常の腺腫と比較し低いとの報告が多かったが,鋸歯状病変を有する場合,大腸癌発生のリスクが高いと報告した施設もあり非常に興味深かった.

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欧文目次

編集後記 長南 明道
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 ESD(endoscopic submucosal dissection)の開発・普及により早期胃癌の全周にわたる正確な進展範囲診断が不可欠となった.その対象病巣の進展範囲診断においてIIb進展が特に重要である.そこで本号を小山恒男,鬼島宏,筆者の3人で企画し,タイトルを「早期胃癌のIIb進展範囲診断」とした.

 本企画では最初にIIb進展を伴う早期胃癌の病理組織学的特徴を工藤康之,江頭由太郎に抽出していただいた.IIbの頻度を工藤は7.3%,江頭は7.8%であったとし,ともに随伴IIbの臨床的重要性を強調している.IIb進展を構成する要因としては,(1)低分化腺癌~印環細胞癌が非腫瘍性の腺窩上皮下の粘膜固有層の中表層を水平方向に進展するタイプ(工藤,江頭),(2)いわゆる手つなぎ型の中分化型腺癌(工藤,江頭),(3)低異型度高分化型腺癌が粘膜層の全層あるいは表層を置換性に増殖するタイプ(江頭)が重要である.

基本情報

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胃と腸
45巻1号 (2010年1月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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