胃と腸 27巻7号 (1992年7月)

今月の主題 出血を来した小腸病変の画像診断

序説

小腸疾患診断の将来 丸山 雅一
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 本号では「出血を来した小腸病変の画像診断」というかなり条件の厳しいテーマを取り上げることになった.その企画にあたっては,編集小委員の中で不安を訴える人もいた.小腸の場合,胃や大腸ほど系統的に話を組み立てることが難しいことは目に見えているし,ましてや,出血という条件がひとつ付くだけで,主題として適切なものにはなりにくいのではないか,というのである.そして,そういう不安は今でもある.あとは,執筆を担当してくれた著者の方々の奮起を望むのみ,というのが筆者の偽らざる心境である,とでも書いたら少し神経質すぎるだろうか.

 出血というからには,治療そのものが緊急を要する場合が多々あるだろう.また,治療は緊急を要しない場合でも,その原因を探る診断的検索は急を要するであろう.このあたりに,診断の方法論の分岐点がある.

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要旨 過去5年間に診断された小腸の炎症性疾患の便潜血陽性率を検討し,Crohn病87.5%,アミロイドーシス66.7%,虚血性小腸炎66.7%,糞線虫症66.7%,アニサキス症50%,腸結核50%,Behcet病100%,放射線性腸炎0%,Schönlein-Henoch病100%の結果を得た.また出血のみられたblind loop syndrome,Meckel憩室,慢性の虚血性小腸炎,Schönlein-Henoch病の小腸X線像を呈示した.小腸に出血源を持つ症例の診断には読影可能な小腸X線像と,その読影能が重要であると考えられた.

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要旨 1980年4月から1991年12月までに当院で手術された原発性小腸腫瘍は28例(悪性リンパ腫11例,癌10例,平滑筋腫瘍5例,脂肪腫2例)であった.発見手段は経口的小腸X線検査20例,血管造影3例,手術5例であった.腹痛などの閉塞症状を有する腫瘍は全例,経口的小腸X線検査にて発見されていた.下血を主症状とした腫瘍は7例(25%)で,平滑筋腫瘍4例,癌2例,悪性リンパ腫1例であった.下血を主訴とし閉塞症状を有さない病変は全例,非上皮性腫瘍で,これらの発見手段は小腸X線検査2例(平滑筋肉腫,悪性リンパ腫各1例)で,残りの3例はいずれも平滑筋腫瘍で血管造影にて発見されていた.閉塞症状を伴わない消化管出血患者の診療においては,管外性に発育した小腸平滑筋腫瘍を念頭に置き検査を進めるべきと考えられた.検査の第1選択としては,経口的小腸X線検査またはゾンデ法小腸X線検査とし,この時点で病変が発見できなかった場合,または急を要する場合には,選択的上腸間膜動脈造影が有効と思われた.

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要旨 小腸の動脈性出血に対して血管造影による診断と治療を行った13例を対象にその成績を疾患別に検討した.①緊急血管撮影は出血時を選んでタイミングよく行うことが大切であり,このために出血シンチグラフィーが有効で,不必要な血管撮影を回避できる.②重症基礎疾患に併発した小腸出血は血管カテーテルによる治療のよい適応であり,危険性の高い手術的止血は極力避けるべきである.③併存基礎疾患のない小腸出血は起因疾患に対する根治手術によって止血できるが,血管カテーテルによる止血治療によって危険性の高い緊急手術を少なくすることができる.④血管カテーテルによる止血治療は動脈塞栓術が最も有効である.今回,出血血管にカテーテルをできるだけ超選択的に挿入して,少量のアイバロンで出血血管を閉塞した6例の止血成功率は100%で,再出血も合併症もなかった.

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要旨 最近22年間に慶應義塾大学外科で手術された小腸病変は110例であった.その内訳は,小腸腫瘍が36例,炎症性・潰瘍性疾患は42例,その他が32例であった.小腸病変110例のうち下血,貧血,便潜血などの出血症状のいずれかが57症例(51.8%)に認められた.出血症状の内訳は下血27例(47.4%),貧血36例(63.2%)であった.小腸出血性病変はまれではあるが,出血を起こしている急性期に確定診断をし,出血部位の確認をすることは,検索範囲が広く,原因となる疾患が多種多様であり,各種診断技術が進歩したにもかかわらず必ずしも容易ではない.そのため出血が遷延したり,急性大量出血を起こし外科手術の対象となることが多い.

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要旨 過去28年間に国立がんセンター病院で外科的に切除された転移性の小腸腫瘍129例について検討した.その90.7%は原発巣が腹部の臓器由来で,9.3%は腹部以外の悪性腫瘍からの転移であった.転移性の小腸腫瘍のX線像には,胃,小腸,結腸の問に共通性がみられた.すなわち腹部臓器由来の悪性腫瘍,特に腺癌が小腸壁に浸潤・転移した場合は,病変の主体は漿膜側にあって,X線像では,腸管の長軸方向に幅が数mm大の粘膜ひだの収束像が特徴的な所見であった.次に,腹部の臓器以外の悪性腫瘍が,小腸壁に脈管性に転移し切除された例は12例で,そのうちの10例は肺癌からの転移であった.そこで,今まであまり知られていない肺癌からの転移性小腸腫瘍を主体に,その臨床的事項,切除標本の肉眼像,X線像における特徴像について検討した.その結果,肺癌からの転移性小腸腫瘍の特徴として,①男性に多い,②多発傾向がある,③空腸に多い,④大細胞癌が多い,⑤イレウス,穿孔,出血が主な症状である,⑥発育形式と時期によって,腫瘤型,扁平隆起型,隆起陥凹型,陥凹型,を示す,⑦悪性リンパ腫,小腸癌,平滑筋肉腫,カルチノイドとの鑑別診断が必要となることを述べた.

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要旨 出血性Meckel憩室の術前診断は,99mTc-pertechnetateシンチグラフィ(以下,99mTcシンチ),小腸X線検査,血管造影でなされている.99mTcシンチでpositiveであれば診断は確定するが,false negativeの場合はほかの検査で診断せざるをえない.ところで,術前に小腸X線検査で診断しえた報告例は少ない.今回われわれは,出血性Meckel憩室の2例を経験した(症例1:16歳,男性,症例2:12歳,女性).99mTcシンチでは,〔症例2〕はpositiveで術前に診断が確定したが,〔症例1〕ではnegativeであった.一方,小腸X線検査では2例ともMeckel憩室が描出され,診断に有用であった.若干の文献的考察を加え報告する.

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要旨 非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)による出血性小腸大腸潰瘍の1例を報告する.患者は68歳,男性.15年前より慢性関節リウマチで経過観察されていた.転倒打撲に対し,Indomethacin坐薬(100~150mg),Pronoprofen(225mg/day)を18日間投与された後,大量の下血で発症.術中内視鏡所見では回腸~空腸の広範囲にほぼ円形の多発潰瘍を認めた.潰瘍は腸間膜反対側に分布し,多くはUl-Ⅱの浅い潰瘍で打ち抜き状を呈し,正常粘膜との境界は明瞭であった.NSAIDs起因性小腸潰瘍の診断基準はいまだ明らかではないが,臨床経過,病理組織所見などからNSAIDsに起因する小腸潰瘍の典型例と考えられる.

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要旨 患者は62歳,女性.主訴はタール便.著しい貧血と低蛋白血症があった.小腸造影でTreitz靱帯から180cmの空腸に,中央に凹凸不整な浅い陥凹を伴った径8mmの山田Ⅲ型の隆起性病変を認めたが,質的診断は困難であった.術中内視鏡検査ではbridging foldを伴った表面平滑,立ち上がりの緩やかな黄色調の粘膜下腫瘍が観察され,脂肪腫が疑われた.切除標本上,病変は直径8×7mm,高さ6mm,中央に5×6mmの発赤の強い浅い潰瘍を伴い,組織学的に脂肪腫と診断され,本邦報告例では最小の単発例と考えられた.また,1980年から1989年までの10年間の本邦報告例についても集計し,考察を試みた.

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要旨 von Recklinghausen病に罹患した50歳,女性.大量下血で緊急入院,上部消化管は異常なく大腸内視鏡検査では回腸末端まで血液が充満していた.CTスキャンでは空腸に25mmのsolid massが同定された.手術所見ではTreitz靱帯から50cmの空腸に,固有筋層から発生した20mmの腫瘍が管外性に発育しており,ほかにも十数個の腫瘍がみられた.組織学的には多発性の平滑筋腫であった.腫瘍粘膜のびらん面から出血していた.小腸腫瘍の診断にはCTスキャンが有用であったが,von Recklinghausen病の患者には便潜血のスクリーニングを行い,必要なら小腸の精査をも行うべきである.von Recklinghausen病はneurocristopathyまたはhamartomaが本態と考えられているが,mesoderm由来の平滑筋細胞の多発性腫瘍が合併してみられたことは,von Recklinghausen病の病因は単一ではなくheterogeneityがあることが示唆された.

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要旨 患者は62歳,男性.突然の下血,上腹部不快感を主訴に来院した.入院時検査成績上,貧血があり,便潜血強陽性であったが,炎症所見は陰性であった.上部・下部消化管内視鏡検査では出血源を認めなかった.第2病日の経口小腸検査にて上部空腸に限局性の軽い浮腫像が見られ,プッシュ式小腸内視鏡検査にて多発性小潰瘍が確認された.臨床経過は良好で発症5日目には下血は消失し,以後約2年間の経過観察を行っているが再発はみられない.臨床像,X線・内視鏡所見,臨床経過および生検組織の検討では,既知の疾患との共通点は少なく,分類困難な小腸潰瘍と考えられた.

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要旨 患者は34歳,男性.1990年11月,下血を主訴に近医で合計3,000mlの輸血を受けた.上部・下部消化管精密検査にて異常所見を認めず,出血源が不明のため当センターに紹介された.下部消化管造影検査では出血源は不明で経過観察となった.1991年9月,頻回の下血があり,近医で合計1,000mlの輸血を受け,10月に再度,当センターを紹介され,小腸造影検査が施行された.小腸造影検査では回盲弁から約50cm口側の回腸に8×2cmの憩室を認めた.憩室の粘膜に胃小区模様と潰瘍が描出され,Meckel憩室からの出血と診断した.同年11月21日,血圧低下を伴う大量の下血があり,緊急手術として憩室切除術(楔状切除)が施行された.切除標本の組織学的検索では,各層の欠如のない真性憩室で,異所性胃粘膜と回腸粘膜にUl-Ⅲの潰瘍を認めた.小腸造影検査で術前に異所性胃粘膜と潰瘍が描出されたMeckel憩室の1例を報告した.

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 〔患者〕39歳,女性.1991年1月,めまい・嘔気を主訴に近医を受診したところ,胃内視鏡検査で早期胃癌と診断され,手術目的で当科入院となった.

 〔経過〕術前スクリーニングの大腸X線検査でS状結腸に2個のポリープを認め,2月12日に内視鏡的に切除した.ポリープの1個がsmに浸潤する高分化腺癌で,切除断端癌浸潤陽性およびリンパ管侵襲陽性であったため,2月19日胃部分切除術に加えて,S状結腸部分切除術を施行した.手術時切除標本には癌の遺残を認め,またn,群リンパ節(No.241)に1個のみ転移を有していた.

2.Ⅱc型早期胃癌の1例 中野 浩
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 〔患者〕53歳,男性.主訴:心窩部痛.現病歴:入院1か月前に心窩部痛があり,胃内視鏡検査を受診し胃角前壁に潰瘍を伴う病変を指摘され,H 22ブロッカーを投与された.

 〔胃X線所見〕腹臥位二重造影では,胃角前壁に淡い不整,類円形の陰影斑があり,その辺縁は微細鋸歯状である(Fig.1).また,腹臥位二重造影像で陰影斑を正面像でみると,その中の小彎寄りに大きめの穎粒が集まり,その中に不整形の小陰影斑を認める(Fig.2).

用語の使い方・使われ方

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 Crohn病の診断基準として挙げられている6項目のうちの1つに入っている.X線,内視鏡,切除標本の肉眼像を表現する用語として使用される.

 “外観”と表現されるように,Crohn病で5~10mm大の半球状の隆起の集合した状態が,丸味を帯びた石を敷き詰めた外観に類似していることから用いられている用語である.したがって,1個1個の隆起の外観を示すものではなく,あくまで隆起の集合が敷石状に見える場合に使用されるべきであろう.

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 食道の粘膜病変の診断には,色素内視鏡検査が有効である.特に永い間困難とされていた食道の上皮内癌,粘膜癌の拾い上げ診断を容易・確実にしたことが評価されて,食道癌の早期診断には欠くことのできない補助診断法となった.

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要旨 非ポリポーシス型の大腸若年性ポリープ(juvenile polyp;JP)74例(計79個)を臨床病理学的に検討した.若年性ポリープを母地として,1例に癌,3例に異型上皮が発生していた.異型上皮化した3例では,他の部位に進行癌や多数の異種性ポリープ(腺腫内癌,腺腫,過形成性ポリープなど)を合併していた.特に過形成性ポリープはしばしば異型を示し,豊富な炎症性間質が特徴で,この点でJPに類似していた.JPの腫瘍化や多発する異種性ポリープの合併などの事実は,非前癌病変として処理される傾向にあったJPにも,従来以上に慎重なサーベイランスが必要と思われた.

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要旨 患者は48歳,女性.1988年7月某医で左甲状腺癌摘出術後の化学療法施行直後にショック状態となり急性腎不全,大量の消化管出血を来し,同年9月当科入院.腹部血管撮影で異常なく,小腸X線・内視鏡検査にて,十二指腸第2部から上部小腸にかけて著明な浮腫と多発する深い潰瘍を認めた.中心静脈栄養にて1か月後に下血が消失し,潰瘍は縮小したが,空腸上部の狭窄が高度となったため同部を切除した.切除標本では炎症所見とヘモジデリン沈着が認められ,虚血性小腸炎と診断した.虚血の原因としては敗血症性ショックが考えられた.

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 「早期胃癌1,000例から2,000例へ」の小文を本誌Coffee Break欄に,1991年12月号より1992年6月号までの7号にわたって,①日本の早期胃癌1,000例を越えた施設,②かかる施設の調査の経緯,③早期胃癌1,000例の達成期間,④早期胃癌症例の来院経路,⑤専門施設以外の3施設の奮闘,⑥多発癌の頻度,⑦手術と内視鏡的切除,を連載しました.この小文に,多くの先生から色々と貴重な御意見をいただきまして,厚く御礼申し上げます.第1回に掲載した早期胃癌1,000例を越えた施設は8施設でしたが,この8施設以外に新しく判明した山形県立中央病院,ならびに1987年以降に達成した神奈川県立がんセンター,順天堂大学,東京医科大学,開成病院の5施設を加えて13施設の詳細ならびに達成期間をこのシリーズの最後として,Table 1,Fig.1にまとめました.

 1991年12月にこのシリーズ①を書いた折に,早期胃癌1,000例を越えた施設の御教示をお願いしましたところ,「胃と腸」1991年12月号発行直後の1992年1月21日に,早速かつて癌研で一緒であった染谷守先生より,神奈川県立がんセンターが早期胃癌1,000例を越えたとの連絡を受け,神奈川県立がんセンター,玉井拙夫,本橋久彦両先生から,早期胃癌1,000例を1964年から1990年の27年間で達成し,その祝賀会が1991年4月18日に開催され,そのときに記念のメダルが配布されたとの報告を受けました.

早期胃癌研究会

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 早期胃癌研究会の5月例会は5月20日,松山赤十字病院消化器科・渕上と北里大学内科・西元寺の司会で行われた.

 〔第1例〕58歳,勢性.早期食道癌(症例提供;都立駒込病院内科門馬久美子).読影はX線,内視鏡ともに鈴木(岐阜大放射線科)が担当した.X線上は小穎粒状隆起を伴う陥凹性病変で径3cmの粘膜癌(mm)と読影したが,色素内視鏡ではこれより狭い範囲の0-Ⅱc型早期癌という意見であった.病巣周囲の小隆起の成因として神津(千葉大2外)より,癌のもぐり込み,リンパ濾胞の増生などを考えなければならないとのコメントがあった.粘膜切除術(strip biopsy)で摘出された病変の病理は岩崎(駒込病院病理)が説明した.病変は15×7.5mmの0-Ⅱc型早期癌で,ヨード染色で見ると馬蹄型の不染帯とその肛門側に縦走する病巣を認め,わずかにmmに浸潤していた(Fig.1).食道癌の深達度診断に関して"たたみ目模様",トルイジンブルーによる染色の態度などが特にep癌とmm癌の鑑別に重要だというコメントが神津,吉田(駒込病院外科)よりあった.

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欧文目次

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 Intestinal metaplasia and Helicobacter pylori: an endoscopic bioptic study of the gastric antrum: Craanen ME, et al (Gut 33: 16-20, 1992)

 腸上皮化生とHelicobacter pylori(以下,HP)感染との関連性を明らかにする目的で,533例の患者の胃前庭部から2,274個の生検標本を採取し,組織学的な検討を行った.

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 今度,医学書院から“Lewin, et al: Gastrointestinal Pathology and Its Clinical Implications”という,1,488ページにも及ぶ膨大な本が出版された.

 この本は,2巻からなり,極めて内容が豊富である.第1巻ではまず,生検や手術材料の取り扱い,固定法,染色などを含む技術について,次いで,血管障害,放射線障害,免疫不全などを含め消化管全体を通して共通な疾患などが総論的に,そして,食道,胃,十二指腸,虫垂の疾患について,それぞれ各論的に記述されている.第2巻では,小腸,大腸の疾患について書かれているが,2巻とも,マクロ・ミクロと,X線写真あるいは内視鏡写真とがよく対応されており,しかもほとんどカラーである.

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 救急医学は,医学・医療の先進国であるはずのわが国で最も立ち遅れた領域である.これは救急医療の体制づくりが十分でなかったこともあるが,救急医学とはどういうものかという概念も明確でなく,救急医学,救急医療についての教育が医学校でも,また卒後研修においてもほとんどなされてこなかったことにも原因がある.

 救急患者,救急医療は臨床医学のどこの領域にも存在する.外科には外科の,内科には内科の,眼科には眼科の救急患者が存在する.そのため,“救急医学・救急医療”というまとめ方をした場合に,どこまでを,誰が,どのように治療し対処するのかが明確になりにくいことも事実である.救急患者であっても,また救急患者であるからなおさらその初療が重要であり,その道の専門家がなすべきであるという側面がある.したがって,救急医学という学問体系,そしてその担当者がどのような専門家であるのかが,わが国ではまだ広く理解されていなかったように思われる.

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 Familial occurrence of inflammatory bowel disease: Orholm M, et al (N Engl J Med 324: 84-88, 1991)

 著者らは,デンマークのコペンハーゲン郡における炎症性腸疾患(IBD)の家族発生について研究調査した.

編集後記 牛尾 恭輔
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 顕出血,潜出血を問わず消化管出血が認められた場合,まず上部消化管,次いで大腸検査が行われ,共に異常がなければ小腸の検査に移るというのが日常の診療であろう.この小腸検査の際にはざっと小腸を診るだけではだめである.圧迫を加えた丁寧なX線造影,またはゾンデを使った小腸造影を行ってはじめて,責任ある小腸検査となる.

 丸山が序説で「小腸の診断においては,臨床的な思考と意志決定という段階を経て,実際上の診断的検索へと移ってゆくプロセスが,他の消化管よりも一層,重要視される」と述べているように,小腸の器質的な疾患の有無を診断するには,種々の画像診断の役割を熟知し,実際の画像を目に焼き付けておく必要がある.今号の企画には,診断的検索へのプロセスに必要な知識と実際の画像が掲載されている.種々の小腸疾患と出血との関係,経口法やゾンデ法による小腸造影像,血管造影,99mTcや赤血球をラベリングしたシンチグラフィーなどの像が示された.一方,疾患もblind-loop syndrome,虚血性小腸炎,悪性リンパ腫,薬剤性小腸潰瘍,Meckel憩室,肺癌の小腸転移,von Recklinghausen病,脂肪腫,平滑筋腫,Schönlein-Henoch紫斑病など多岐にわたる画像が載っている.

基本情報

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胃と腸
27巻7号 (1992年7月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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