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編集後記
牛尾 恭輔
pp.864
発行日 1992年7月25日
Published Date 1992/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109926
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顕出血,潜出血を問わず消化管出血が認められた場合,まず上部消化管,次いで大腸検査が行われ,共に異常がなければ小腸の検査に移るというのが日常の診療であろう.この小腸検査の際にはざっと小腸を診るだけではだめである.圧迫を加えた丁寧なX線造影,またはゾンデを使った小腸造影を行ってはじめて,責任ある小腸検査となる.
丸山が序説で「小腸の診断においては,臨床的な思考と意志決定という段階を経て,実際上の診断的検索へと移ってゆくプロセスが,他の消化管よりも一層,重要視される」と述べているように,小腸の器質的な疾患の有無を診断するには,種々の画像診断の役割を熟知し,実際の画像を目に焼き付けておく必要がある.今号の企画には,診断的検索へのプロセスに必要な知識と実際の画像が掲載されている.種々の小腸疾患と出血との関係,経口法やゾンデ法による小腸造影像,血管造影,99mTcや赤血球をラベリングしたシンチグラフィーなどの像が示された.一方,疾患もblind-loop syndrome,虚血性小腸炎,悪性リンパ腫,薬剤性小腸潰瘍,Meckel憩室,肺癌の小腸転移,von Recklinghausen病,脂肪腫,平滑筋腫,Schönlein-Henoch紫斑病など多岐にわたる画像が載っている.
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