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書評「標準救急医学」
出月 康夫
1
1東京大学第2外科
pp.812
発行日 1992年7月25日
Published Date 1992/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403109894
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救急医学は,医学・医療の先進国であるはずのわが国で最も立ち遅れた領域である.これは救急医療の体制づくりが十分でなかったこともあるが,救急医学とはどういうものかという概念も明確でなく,救急医学,救急医療についての教育が医学校でも,また卒後研修においてもほとんどなされてこなかったことにも原因がある.
救急患者,救急医療は臨床医学のどこの領域にも存在する.外科には外科の,内科には内科の,眼科には眼科の救急患者が存在する.そのため,“救急医学・救急医療”というまとめ方をした場合に,どこまでを,誰が,どのように治療し対処するのかが明確になりにくいことも事実である.救急患者であっても,また救急患者であるからなおさらその初療が重要であり,その道の専門家がなすべきであるという側面がある.したがって,救急医学という学問体系,そしてその担当者がどのような専門家であるのかが,わが国ではまだ広く理解されていなかったように思われる.
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