胃と腸 23巻2号 (1988年2月)

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要旨 十二指腸~空腸にアミロイド沈着が確認された11例を対象とし,治療経過と予後を検討した.麻痺性イレウスを呈した8例では,平均2.8か月間の完全静脈栄養(TPN)が臨床症状の改善のみならず,X線および内視鏡像の著明な改善をもたらした.すなわち,TPN治療後の小腸二重造影像では,治療前に認められた結節状陰影が完全に消失し,微細顆粒状隆起の多発から成る粘膜粗糙像に変化していた.TPN後の長期予後は良好であり,平均4.3年の間イレウス症状の再発はみられなかった.一方,中等度~高度の腹部症状を欠く慢性期の患者8例の小腸X線像は,平均2.7年の経過観察中ほとんど不変であった.以上の成績より,急性期に出現する結節状陰影は粘膜下層の虚血性変化を反映した所見であるのに対し,慢性期に描出される微細顆粒状隆起はアミロイド沈着を直接反映した所見であると推測された.したがって,後者は本症の早期診断上極めて重要な所見と考えられた.

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要旨 患者は56歳,男性で,下血,下腿浮腫,労作時呼吸困難を主訴に来院した.胸部X線写真上,両下肺野に微細顆粒状陰影,軽度の胸水および心拡大を認めた.また尿蛋白は陽性であった.注腸造影では直腸S状結腸移行部に腸管狭小化と不整な粘膜面を認め,内視鏡にて縦走潰瘍,不整潰瘍,粘膜出血斑,血腫が観察された.胃十二指腸造影では,球部に散在する小隆起を示し,内視鏡で,小隆起に加え粗糙な粘膜面と出血斑が観察された.胃,十二指腸,直腸よりの生検組織にアミロイド沈着が確認され,基礎疾患を認めず,過マンガン酸カリ処理抵抗性のCongo-Red染色所見より,原発性アミロイドーシスと診断された.

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要旨 患者は32歳,女性.27歳から発熱,腹痛,29歳に頑固な腹痛,下痢,血便,蛋白尿を訴え,大腸X線検査,内視鏡検査にてHaustraの消失,内腔の狭小化,生検で陰窩膿瘍とアミロイド沈着を認めた.腎生検にてもアミロイド沈着は認められた.salazopyrin投与後,症状は緩解し更に生検で大腸粘膜の炎症およびアミロイド沈着は減少した.salazopyrin減量3か月後再び血性下痢,蛋白尿が出現した.初発後,約6年目にsubileusに肺炎,腎不全を併発し死亡した.剖検所見より本症は続発性アミロイドーシス(全身性AAアミロイドーシス)と判明し,アミロイド沈着は大腸から胃まで連続性に拡がり,粘膜固有層にのみ高度に沈着している点が特徴的であった.

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要旨 患者は56歳,男性.繰り返す上腹部痛と嘔吐を主訴として入院した.小腸X線検査では,大小の粘膜下腫瘍様の隆起病変が空腸に多発していた.小腸内視鏡検査にて十二指腸から空腸にかけ黄色調の隆起病変の多発を認めた.隆起病変からの生検では,粘膜下層を中心に多量のアミロイドの沈着が認められた.隆起病変による重積症状の改善を目的として手術を施行した.術中ファイバーを施行し,狭窄を認める部分の切除を行った.切除標本には大小の腫瘤の多発および皺襞の肥厚を認めた.病理組織学的には,すべての腫瘤,肥厚した皺襞に粘膜下層を中心に多量のアミロイド沈着を認めた.検索の結果,横行結腸にもアミロイドの沈着を認めたが,胃,直腸,肝臓,腎臓には組織学的にアミロイド沈着は認めなかった.本症例は基礎疾患を欠き原発性消化管アミロイドーシスと思われた.本症例のごとく,小腸に腫瘤を形成するアミロイドーシスはまれであった.

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要旨 患者は69歳の女性で貧血の精査目的で1984年11月に入院.1981年に胃切歴あり.血清M蛋白と尿中Bence Jones蛋白を微量検出したが骨髄は異常なし.X線・内視鏡検査にて残胃全域に大小の不整形陥凹と小結節状隆起を認め,小腸では蠕動低下とKerckring皺襞の腫大,点状小陥凹を,大腸では毛細血管像が消失し褪色した粘膜に小陥凹を認めた.胃と直腸生検でアミロイド沈着を認めた.消化管出血が遷延し残胃全摘と空腸部分切除,肝脾の楔状切除を実施.病理学的に残胃と小腸の粘膜筋板から粘膜下層に著明なアミロイド沈着があるも,食道にはEC結合部近傍にごく微量認めるのみで,肝脾に同沈着はなかった.なお,1981年の遡及的資料も呈示した.

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要旨 患者は68歳,男性.胃検診目的で近医を受診しⅡc型早期胃癌と診断され,術前検査のため1982年8月31日当院入院.胃X線および内視鏡検査では胃体部に2個の不整形の陥凹と多発するびらんが認められた.不整形の陥凹は双方とも肉眼的にはⅡc型早期胃癌が疑われたが,生検では一方より癌,他方よりアミロイドの沈着が認められた.アミロイドーシスの原因となる基礎疾患は認められず,原発性アミロイドーシスと診断された.切除標本の検索では,胃癌のほかに3個の腺腫を認めたが,これらの病変とアミロイドーシスの合併は偶然と考えられた.アミロイドの沈着によって生じる不整形の陥凹とⅡc型早期癌との鑑別は肉眼所見のみでは困難な場合があり,生検による確診が必要と思われた.

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主旨 患者は66歳の女性で,主訴は6か月前から下痢と腹痛であった.9年前に発症した慢性関節リウマチに罹患した.小腸X線検査で腸管がやや収縮したときにびまん性に小透亮像をはっきりと認めた.このように収縮した状態のX線所見が特徴的であった.大腸X線検査でも粘膜は粗糙で網の目像は消失し,一部にニッシェ像を認めた.胃の内視鏡検査で散在性に粘膜の発赤をみた.大腸内視鏡検査で直腸にびまん性の発赤をみた.通常観察で胃・大腸の正常部でも生検で組織学的にAA型のアミロイドの沈着を認めた.

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要旨 Chediak-Higashi症候群の経過中,特異な消化管の潰瘍性病変を認め,同時に続発性アミロイドーシスをも証明しえた1例を経験した.患者は24歳,女性.生下時より皮膚蒼白があり,口内炎,化膿疹などを繰り返す.好中球遊走能低下,好中球内peroxidase陽性巨大顆粒を認め,Chediak-Higashi症候群と診断された.1984年腹痛を訴え,消化管の検査の結果,回腸末端~結腸に狭窄と多発する潰瘍を認めた.潰瘍は類円形で浅く,周囲に花冠状の発赤を伴っていた.1986年9月,内視鏡的生検によって全消化管からアミロイドの沈着を証明した.X線および内視鏡上,十二指腸と空腸にアミロイドーシスに基づくと思われる粗糙な粘膜像を認めた.

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要旨 Crohn病発症後7~9年でアミロイドーシスを来した1例を報告する.患者は28歳,男性.1975年,腹痛・下痢で発症,1977年,Crohn病と診断され,狭窄のため某病院で右半結腸切除術および回腸部分切除術を施行された.1980年10月,再発のため当科を受診した.イレウス状態に陥り,1981年2月,残存結腸および回腸切除術を施行された.この時期の切除標本の検索では,腸管のアミロイド沈着は証明されなかった,その後の経過観察期間中,1983年8月の外来受診時までは,血清クレアチニンは正常だったが,1984年2月より上昇し,同年3月の再入院時には2.7mg/dlに達し,クレアチニン・クリアランスは20ml/minに低下,尿蛋白は1日約2gを認めた.アミロイドーシスの合併を考え検索したが,消化管の生検で胃と小腸・直腸よりアミロイド沈着を証明した.腎は生検を行っていないが,腎機能低下と尿蛋白陽性より腎アミロイドーシスと考えた.肝・心・甲状腺は,機能検査その他に異常は認められなかった.生検標本のアミロイド蛋白分析はtype AAで,二次性全身性アミロイドーシスと考えられた.

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要旨 左下腹部痛を主訴として来院した50歳の男性に,注腸検査で直腸に7mm大の隆起性病変を発見し,ポリペクトミーを行った.組織学的検索の結果,粘膜固有層に結節状に沈着したアミロイドにより隆起が形成されていた.全身的な検索では,その他の諸臓器にはアミロイドーシスによる症候を認めなかった.また,消化管の他の部位よりat randomに採取した生検組織にはアミロイドの沈着を認めなかった.この結果,直腸の小隆起に限局する非常にまれな限局性のアミロイドーシスの1型と考えられた.

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要旨 患者は81歳の男性で,10年来繰り返す血便がみられ,非特異性直腸・S状結腸炎として経過観察されていた.入院3日前より1日10回に及ぶ血便がみられ,入院後の大腸内視鏡検査では,直腸S状結腸に浮腫状粘膜に覆われた大小不同の隆起性病変および散在性の出血点,粘膜の易出血性が観察された.その生検組織より原発性アミロイドーシスと診断した.sulphasalazine投与3週間で下血は消退し,大腸X線像においても改善が認められた.

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要旨 患者は51歳の女性で,1979年11月の胃集検で前庭部の異常を指摘された.胃X線,内視鏡検査では,前庭部の粘膜は浮腫状で中心陥凹を伴う小丘状隆起が多発しており,たこいぼ状胃炎と診断された.しかし,胃X線検査による8年間の経過観察では,小隆起が胃角部まで拡がり,皺襞が肥厚し辺縁不整となり前庭部の伸展性が徐々に失われ,スキルス様所見となってきた.1987年4月の内視鏡検査では胃体中部から前庭部にかけて粘膜は浮腫状で光沢があり,顆粒状から結節状の大小不同の隆起も密になり,びらん・陥凹が多発していた.悪性リンパ腫が疑われたが,生検で粘膜下組織に均質無構造物質の沈着を認め,アミロイド物質と診断された.また食道,胃体上部,十二指腸,結腸,直腸の生検では同物質の沈着を認めず,ほかに原因疾患の合併もないことから,胃に限局したアミロイドーシスと診断し,胃全摘術を施行した.粘膜面にはびらんや出血が多発しており,胃体中部から前庭部には,粘膜下層を主体に粘膜筋板から筋層にかけて多量のAL(λ)蛋白のアミロイド物質が沈着していた.なお術中肝生検組織にはアミロイド沈着はみられなかったが,胃体中部小彎側の所属リンパ節には沈着を認めた.以上の所見から本症例は胃原発の限局性アミロイドーシスのまれな症例と考えられる.

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要旨 66歳,男性の続発性アミロイドーシスの1例を報告した.4年前より慢性関節リウマチのために消炎鎮痛剤および金剤による治療を受けていたが,水様下痢,悪心,嘔吐を認めるようになった.診察上は貧血と充進した腸蠕動音を聴取した.入院時検査所見では便潜血が強陽性で,核左方移動を伴う白血球増多,貧血,α2-gl分画の上昇を伴う低蛋白血症,赤沈充進,CRP強陽性を認め,便細菌培養は正常であった.腹部単純X線検査では著明な小腸ガス像とニボー形成がみられた.上部消化管内視鏡検査では胃角部に潰瘍を認めたものの食道,胃,十二指腸の生検では異常は認めなかった.小腸X線検査では充満像でKerckring皺襞の肥厚を,また二重造影では腸管の辺縁不整とびまん性の顆粒状透亮像がみられた.プッシュ式小腸内視鏡検査による上部空腸の観察ではKerckring皺襞の消失と粘膜面の凹凸不整,散在性の出血斑を認め,粘膜生検によりアミロイドの沈着が証明された.また,大腸X線検査では異常所見は得られなかったが,大腸内視鏡検査では下部大腸に散在性の出血斑がみられ,直腸生検によりアミロイドの沈着が証明された.

今月の症例

前壁Ⅱc型早期胃癌の1例 中野 實
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 〔患者〕 66歳,女性.主訴は心窩部膨満感.手術までの経過をFig.1に示す.

学会印象記

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 1987年12月11日と12日の両日,新装なった東京女子医科大学弥生記念講堂を中心に3会場に分かれて,黒川きみえ教授のもとに開催された.本地方会は約2年前から応募演題数が増加して,発表時間の短縮を余儀なくされていたが,2会場を使用しても充足できず,ときには3会場が用いられるようになっていた.このため2日間開催はやむを得ない措置とも思われるが,初めての2日間開催に参会者にも戸惑いの声が聞かれた.実際には初日は午後のみであり1日半であったが,VTRセッションが1会場をとり,2日目の午後は第5回内視鏡パラメディカル研究会関東地方会が行われていた.やがて3会場全2日間開催定着の前兆と言えよう.

 本地方会は消化器内視鏡に関連する学会で最も年末に近く開催されるものとして,関東では最新の力作が発表され,しかも若手医師の登龍門でもあるため活況を呈してきたが,今回は特別講演2題,シンポジウム1題,一般演題171題,VTR示説11題が報告された.

早期胃癌研究会

1987年12月の例会から 牛尾 恭輔
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 1987年12月の早期胃癌研究会は,12月16日(司会担当:小林絢三)に開催され,胃2例,食道1例,大腸2例が呈示された.

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要旨 われわれは79歳男性に胆囊原発の内分泌細胞癌と腺癌の共存例を経験した.腫瘍は胆囊体頸部に位置し,25×25×10mmの大きさで結節浸潤型を呈し,肝床部へ直接浸潤していた.組織学的には高分化腺癌が腫瘍表層部に存在し,これに連続して深部に内分泌細胞癌が存在していた(いわゆるcomposite tumorの形態をとっていた).本例の組織像は胃の内分泌細胞癌のそれに類似していた.免疫組織化学染色ではセロトニン,ガストリン,GRP陽性細胞が少数認められた.本症例を報告すると共に,これまでに報告された胆囊内分泌細胞腫瘍25例を踏まえて,文献的考察を行った.

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要旨 大腸リンパ管腫は極めてまれな疾患である.本邦例では第40回日本消化器内視鏡学会関東地方会(1985.6)までに39例40病変が報告されている.最近,注腸X線検査の段階で胃癌(Borrmann 2型)に併存したS状結腸リンパ管腫と読影(診断)した1例を経験したので報告する.患者は64歳,男性(生検でも深達度がm~smのため診断できた宮本例に次いで2例目).切除標本肉眼所見はSのventに大きさ60×30×20mm,P3の2峰性の腫瘍で表面平滑,手で圧追すると凹み波動も認める.病理組織学的所見は大小の囊腫状拡張を示した壁の薄いリンパ管増生が粘膜下層にみられ,粘膜固有層にもリンパ管の拡張増生が著明であり内皮細胞の腫瘍性増殖はなく海綿状リンパ管腫と診断した.

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 潰瘍が治った後,再発を防止するために,何がしかの期間維持療法をする.薬の使い方,治療期間,効果の評価などについて問題があるとしても,維持療法をすること自体は目下の臨床の常識と言ってよかろう.

 ところで,たまたま発見された潰瘍瘢痕は治療の対象であろうか.例えば,集団検診の要精検例などで,たまたま発見した潰瘍瘢痕を治療の対象とするだろうか.筆者も含めて,答はおおかた“No”であろう.

初心者講座 食道検査法・2

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 1.食道切除標本の開き方

 食道が切除されるのは癌などの悪性疾患がほとんどなので,ここでは食道癌の切除標本の整理方法を中心に述べる.切除標本の開け方は,進行癌の場合は内腔に指を入れて病変のない軟らかい部分を選んで開き,全周性の場合はできるだけ中心部を避けて開く.一方,表在癌ではびらん型や微小癌の場合は外から触れても全くわからないことが多い.そこでわれわれは粘膜面を反転させて,内腔を直接観察しながら病変部を避けて切り開くようにしている(Fig.1a, b).また標本に付いているリンパ節は術中所見を参考にして外し,番号別にホルマリン液入りのびんに入れ整理しておく.

病理学講座 消化器疾患の切除標本―取り扱い方から組織診断まで(14)

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 (2)大腸・小腸の非腫瘍性病変

 対象病変かTable 2,3から,肉眼的に非腫瘍性病変(炎症性腸疾患)と推定されると,病変の質的診断を肉眼的に下さなければならない.

 肉眼所見から病変の質的肉眼診断を下す場合の基本は,第1に得られた異常肉眼所見がTable 6に示す6つの主肉眼型のどれに属するかを判定すること,第2に主肉眼所見を更に詳細に分析し(潰瘍の深さ,数,分布など),主肉眼所見の周辺にある副肉眼所見の特徴(玉石状所見,炎症性ポリープ,うっ血,出血,浮腫なと)を抽出すること,にある.主肉眼型分類の基本となる異常肉眼所見のうち,縦走債瘍が最優先で,次いで輪状潰瘍,円形~卵円形潰瘍の順となる.すなわち,縦走潰瘍と輪状潰瘍,円形~卵円形潰瘍など他の異常肉眼所見とを伴う病変は,縦走潰瘍型に肉眼分類されることになる.炎症性ポリポーシスや玉石状所見に前述の潰瘍(開放性と治癒性がある)を伴う病変はそれぞれの潰瘍型に肉眼分類されることになる.しかし,密集性の炎症性ポリポーシスの病変(潰瘍性大腸炎とCrohn病)で,潰瘍が小さい場合には炎症性ポリポーシス型に肉眼分類したほうがよい.

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欧文目次

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 周知のように,わが国では肝癌が増加する一方である.日本肝癌研究会は,1965年以来全国症例を集積し追跡調査を行ってきたが,わが国の肝癌は,その大半(90%)が肝細胞癌であり,50歳台の男性に多く(男女比5:1),高率(85%)に乙型肝硬変を合併し,B型肝炎ウイルスHBs抗原保持者が多い(約30%)という特徴を持っている.

 このような肝癌は,欧米には極めて少ないが,アジア諸国に特徴的である.したがって,その診断と治療に指針を与えることは,わが国の消化器内科・外科医に課せられた世界的使命であると言いうるが,肝癌が治療しうる時期に診断しうるようになったのは,まだ最近のことである.

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 A new prognostic classification of rectal cancer: Jass JR Love SB, Northover JMA(Lancet l: 1303-1306, 1987)

 直腸癌根治的手術例の予後を計る理想的な分類法は,確実に治癒が見込める“予後良好”群と,死の転帰をとることが予測される“予後不良”群の2群に大別できるものが望ましい.直腸癌の根治的手術例の60%は予後良好で残りの40%が死の転帰をとるが,Dukes分類では予後良好とされるDukes Aは15%にすぎず,予後不良のC2は10%以下である.そこで,種々の予後判定因子が提唱されてきている.著者らは,過去20年間の直腸癌手術例の再検討から,長期予後に影響を与える因子を明らかにし,それに基づく新しい予後分類法を提唱している.

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 「引用」の範囲を超えて他人の著作物を,自身の著作物へ取り込む場合(“転載”)には相手方(著作権者・出版社)の許諾が要ります.(許諾の条件として著作権使用料を請求される場合もあります)但し,「引用」の条件を満たして利用する場合は自由に利用できます.

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 Effective intravenous cyclosporin therapy in a patient with severe Crohn's disease on parenteral nutrition: Allam BF, et al(Gut 28: 1166-1169, 1987)

 cyclosporin(CyA)療法は,各種の自己免疫疾患で有効である.CyAの経口投与がCrohn病の患者で緩解に導いたとの報告が若干みられる.著者らも1例を経験している.

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 Migration of gallstones: Tylor TV, Armstrong CP(BR Med J 294: 1320-1322, 1987)

 胆囊結石が胆囊管を通り,総胆管へ遊出する機序はいまだ明らかでなく,また総胆管結石が総胆管内で新生されるのか否か,に関しても意見の統一がみられていない.著者らは,この疑問を解明するために,胆囊摘除を受けた患者331名を対象にprospectiveな検討を行った.著者らは,切除された胆囊を術直後に指で圧迫し,内容物を噴出させ,胆囊管を通過した胆石,および胆砂(debris)の直径を計測した.また,胆囊管最小径,総胆管径,および総胆管結石を認めたものはその直径を夫々計測した.

編集後記 牛尾 恭輔
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 医学生や研修医の時代“CPCで病変が多臓器にわたり複雑で診断がつきにくい場合は,アミロイドーシスと答えておけば,よく当たるよ”と何度も先輩から言われたものである.それほどアミロイドーシスは暗黒大陸的な疾患であった.これに光を当てて,間接所見と直接所見を整理し,微細病変の視点から初期の病像を診断可能にしようと企画されたのが,昨年の22巻11号と本号である.前者がアミロイドーシスについての総論的なもので,本号は各地から集められた症例を中心とした各論的な意味を持っている.両号をよく読むと,アミロイドーシスの消化管における形態診断の研究が,日本の西側,特に九州地方でなされていることがよくわかる.東側はただ見つけようとする努力が足りないのではないか? と指摘されそうな勢いである.確かに微細病変の診断も,foldの肥厚,粘膜の表面模様の乱れを論ずるまでに発展してきており,X線や内視鏡の所見でアミロイドーシスを疑う時代に入ったようである.

 われわれはいつ何時,同様の所見を持った例に遭遇するかもしれない.病変の特徴像を知っておくことと,知らずに過ごすことでは雲泥の差がある.病変が微小・微細になるほど,この傾向は強まる.「胃と腸」は実証主義,美しい写真,世界に通じる先取り主義を重要視した雑誌である.読者の先生方は,所見をじっくり見て,診療の場で大いに役立てていただきたい.

基本情報

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胃と腸
23巻2号 (1988年2月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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