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編集後記
牛尾 恭輔
pp.246
発行日 1988年2月25日
Published Date 1988/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107925
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医学生や研修医の時代“CPCで病変が多臓器にわたり複雑で診断がつきにくい場合は,アミロイドーシスと答えておけば,よく当たるよ”と何度も先輩から言われたものである.それほどアミロイドーシスは暗黒大陸的な疾患であった.これに光を当てて,間接所見と直接所見を整理し,微細病変の視点から初期の病像を診断可能にしようと企画されたのが,昨年の22巻11号と本号である.前者がアミロイドーシスについての総論的なもので,本号は各地から集められた症例を中心とした各論的な意味を持っている.両号をよく読むと,アミロイドーシスの消化管における形態診断の研究が,日本の西側,特に九州地方でなされていることがよくわかる.東側はただ見つけようとする努力が足りないのではないか? と指摘されそうな勢いである.確かに微細病変の診断も,foldの肥厚,粘膜の表面模様の乱れを論ずるまでに発展してきており,X線や内視鏡の所見でアミロイドーシスを疑う時代に入ったようである.
われわれはいつ何時,同様の所見を持った例に遭遇するかもしれない.病変の特徴像を知っておくことと,知らずに過ごすことでは雲泥の差がある.病変が微小・微細になるほど,この傾向は強まる.「胃と腸」は実証主義,美しい写真,世界に通じる先取り主義を重要視した雑誌である.読者の先生方は,所見をじっくり見て,診療の場で大いに役立てていただきたい.
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