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病理学講座 消化器疾患の切除標本―取り扱い方から組織診断まで(14)
組織所見と肉眼所見との対応,病変の再構築(3)腸―その3
Introductory Course of Gastrointestinal Pathology (14)
渡辺 英伸
1
Hidenobu Watanabe
1
1新潟大学医学部第1病理
pp.241-245
発行日 1988年2月25日
Published Date 1988/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403107924
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(2)大腸・小腸の非腫瘍性病変
対象病変かTable 2,3から,肉眼的に非腫瘍性病変(炎症性腸疾患)と推定されると,病変の質的診断を肉眼的に下さなければならない.
肉眼所見から病変の質的肉眼診断を下す場合の基本は,第1に得られた異常肉眼所見がTable 6に示す6つの主肉眼型のどれに属するかを判定すること,第2に主肉眼所見を更に詳細に分析し(潰瘍の深さ,数,分布など),主肉眼所見の周辺にある副肉眼所見の特徴(玉石状所見,炎症性ポリープ,うっ血,出血,浮腫なと)を抽出すること,にある.主肉眼型分類の基本となる異常肉眼所見のうち,縦走債瘍が最優先で,次いで輪状潰瘍,円形~卵円形潰瘍の順となる.すなわち,縦走潰瘍と輪状潰瘍,円形~卵円形潰瘍など他の異常肉眼所見とを伴う病変は,縦走潰瘍型に肉眼分類されることになる.炎症性ポリポーシスや玉石状所見に前述の潰瘍(開放性と治癒性がある)を伴う病変はそれぞれの潰瘍型に肉眼分類されることになる.しかし,密集性の炎症性ポリポーシスの病変(潰瘍性大腸炎とCrohn病)で,潰瘍が小さい場合には炎症性ポリポーシス型に肉眼分類したほうがよい.
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