胃と腸 21巻4号 (1986年4月)

今月の主題 Ⅱb型早期胃癌の診断

序説

Ⅱbとのつきあい 白壁 彦夫
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 Ⅱbに関する呼称に,純粋Ⅱb,随伴Ⅱb,類似Ⅱbがある.胃と大腸の癌では,随伴Ⅱbは切除線決定に関係する.いまのところ,常識的になっていて論争はない.食道では,はっきりとは言い切れないが,大きな意味がありそうである.胃よりも食道のほうが癌の進展が早いので,類似Ⅱbがないのかもしれない.純粋Ⅱbと類似Ⅱbの使い分けにルールがないのが,問題となっているのである.なぜなのか.

 早期胃癌の肉眼分類を作ったとき,十分なⅡbの材料はなかった.ミクロの癌を経験していたにすぎない.ⅡaやⅡcは,分類をスタートさせるだけの経験例があった.ⅡaとⅡcの問の前段階だと漠然と考えていたのである.

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要旨 厳しい定義を満たす純粋Ⅱb 16例17病巣のうち,術前に癌の存在が診断されていたものは10病巣で,7病巣は病理組織学的検索で初めて診断された.組織型は13病巣が分化型癌,4病巣が未分化型癌であった.癌の発育様式は,病巣中心部では10病巣(59%)が表層型の拡がりを示し,発育先進部では11病巣(65%)が浸潤型の発育を示した,更に8病巣(47%)は中心部表層型,先進部浸潤型を示し,このような発育型式の組み合わせが,対照として用いた隆起型・陥凹型早期癌に比し多くみられた.他方,中心部で全層型発育を示す例もみられたが,このような例では構造異型の軽度な癌腺管より成っていた.また先進部で膨張型発育を示すものは全例分化型癌で,癌腺管の密度が低い傾向にあった.

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要旨 “癌巣の粘膜面全体が癌巣周囲の正常粘膜面とほぼ同じ高さを示している早期胃癌”と定義された純粋Ⅱb型早期胃癌10個(微小癌を除く)を用いて,本癌の成り立ちと肉眼所見の形成を検討した.この際,癌組織の粘膜内進展様式を,腺窩層間質型,腺窩層全層型,粘膜全層型に分類することが有用であった.その結果,本癌は,①癌組織型別に固有の粘膜内進展の特性,②粘膜内での癌組織の量,③粘膜の腸上皮化生,固有胃腺の萎縮,線維筋症の程度,④胃酸の消化作用,などの総合因子で規定された癌巣粘膜の厚さと周囲粘膜の厚さとが,同じ高さの均衡を保つ場合に形成される肉眼形態であると考えられた.更に,本症癌巣の表面模様の形成には癌巣深部の線維筋症と固有胃腺の多寡が,色調の変化には癌組織の露呈と癌組織内の拡張した毛細血管の増加が大きく関与していると考えられた.

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要旨 早期胃癌の肉眼分類は癌表面の凹凸をもって類別されている.その表面の凹凸はⅠ型→Ⅱc型へと連続的に変化させうるものであるから,早期胃癌肉眼分類は連続体の分割である.したがって,その分類においてはどの類に属するのか不確実な3つの領域が生ずるのは必然である.その3つの不確実領域Ⅰ~Ⅱa,Ⅱa~Ⅱb,Ⅱb~Ⅱcのうち,Ⅱb近傍の癌の分類適用のみが問題とされるのは,“X線・内視鏡診断法の極限を求めて”という命題が残されているからであろう.不確実領域のものの類別においては,観察方法と人のパターン認識の感性とによって左右される.なぜならば,5つの観察方法,組織標本,固定肉眼標本,新鮮肉眼標本,内視鏡写真,そしてX線写真のそれぞれの所見間のⅡbであるとする一致率は50~60%であるからである.したがって,Ⅱb型とするためには条件づけが必要となる.それは,3つ以上の所見がⅡb型である場合をⅡb型癌とすることであろう.もし,5つの観察方法でⅡbであることとすると,胃のおかれた状態像が問題とされるし,またⅡbとは微小癌においてのみ存在するということになってしまう.

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要旨 (1)肉眼的に判断される純粋Ⅱb,類似Ⅱb,Ⅱc,Ⅱaと周囲粘膜との高低差を測定し,胃小区間溝の深さ,肉眼的には認識できない胃小窩,および萎縮性胃炎で粘膜表面の粗ぞうとして辛うじて認識できる開大した胃小窩の深さとを対比した.純粋Ⅱbは開大した胃小窩と,Ⅱc,Ⅱaは胃小区間溝とほぼ似通った値を示し,それぞれ0.1mm前後,0.2mm前後であった.0.1mm以下の段差は肉眼的に認識し難いと考えられた.(2)大きさは5mm以下から数cmのものまで存在し,胃液酸度は全体に低く,特に大きなⅡbに低い傾向があった.小さいⅡbは胃全体に散在し,大きいⅡbはM・C領域に局在していた.小さいⅡbは発癌初期像を示すと思われるが,いずれ他の型に変わるものも含まれている可能性がある.大きなⅡbは粘膜内側方浸潤を示し,かつ胃酸などによる変化を受け難い状況にある癌と考えられた.(3)組織型は分化型が多く(82.8%),低分化型はほとんどが随伴例であった.分化型は癌が粘膜全層を占めているが極めて分化の高いものか,あるいは異型が強いものは全層を占めないものであり,癌は表面に露出し,実体顕微鏡では指状,網目状,平坦状などの形態を示した.低分化型では表面は被蓋上皮に覆われ,癌は粘膜上層を浸潤し,固有腺の残存がみられ,実体顕微鏡では粘膜模様が浮腫状,やや粗大で,軽度の配列の乱れとして捉えられた.

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はじめに

 近年,胃X線診断および内視鏡診断の進歩に伴い,より小さな,より高低差の少ない早期胃癌が発見されるようになってきている.しかしながら,現在に至っても5mm以下の微小胃癌や高低差のないⅡb型胃癌の診断は極めて難しいと言わざるを得ない.今回,多発胃癌に合併した高低差のほとんどない,いわゆる純粋Ⅱbとみなしうる症例を呈示する.

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はじめに

 Ⅱbに関しては1971年第13回日本消化器内視鏡学会で初めて取り上げられ,われわれも随伴Ⅱbを対象に,Ⅱb・類似Ⅱbの摘出標本レントゲノグラムを検討し,そのX線像を検討した.その後,術前に発見されたⅡbあるいはⅡbに近い症例を報告してきた.

 われわれが摘出標本レントゲノグラムから得たⅡbのX線像は,周辺非癌粘膜と比べて①areaが明るい,②area間溝がはっきりしていて幅が広い,③辺縁に接するとわずかな伸展不良がみられる,④バリウム付着異常,などであった.

 今回われわれは辺縁のわずかな伸展不良を手掛かりとして発見された純粋nbの症例を供覧する.

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症例

患 者:40歳,男性.

主 訴:心窩部痛.

家族歴および既往歴:特記すべきことなし,

現病歴:1か月前から時々空腹時心窩部痛があり,当科外来を受診した.胃X線検査で異常を指摘され,内視鏡検査時,同部のびらんからの生検で胃癌と診断を受け,手術目的で入院した.

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はじめに

 胃ポリープの経過観察中に発見された純粋Ⅱb型早期胃癌の1症例を経験したので報告する.

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はじめに

 近年,X線診断学および内視鏡検査は著しく進歩したが,表面平坦型Ⅱb型早期胃癌は現在においてもなお診断困難な病変である.組織学的に5mm未満の大きさを示す微小Ⅱbについては,癌の存在診断そのものが問題となるが,表層拡大型のⅡb病変ではその拡がりが正しく診断されることが,外科治療の面から特に重要である.われわれはX線検査により粘膜の異常を指摘され,内視鏡検査および胃生検にて術前に診断しえた表層拡大型のⅡb型早期胃癌の症例を経験したので報告する.

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はじめに

 胃癌の早期診断の進歩には目を見張るものがある.特に内視鏡の機能的向上により,色調の変化を容易に捉えられる.病変全体の形態を診断するにはX線写真の細かい読影や内視鏡での注意深い観察が必要である.Ⅱb病変はより詳細な注意深い診断が必要である.

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はじめに

 通常内視鏡検査にてⅡb型早期胃癌の診断指標が得られるとすれば,それはより浅いⅡcやより低いⅡaの診断指標の延長線上にのみ得られるものと考えられる.すなわち,内視鏡所見としては粘膜面の槌色,発赤といった色調異常や,わずかな凹凸異常の中にⅡbの診断指標を求めうると考えられるのである.今回われわれは褪色所見から術前Ⅱc型早期胃癌と診断したが,切除標本の病理組織学的検討から純粋Ⅱbとされた1例を経験したので,若干の知見を加え報告する.

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はじめに

 胃診断学が確立すると共に,胃癌もできるだけ小さい状態で発見しようという試みが多くの人によりなされてきたが,内視鏡検査や生検がルーチン化してきた今日,決して至難のわざではなくなってきた.しかしⅡb型早期胃癌は肉眼形態的な変化に乏しく,通常の内視鏡検査のみではその把握は極めて困難である.そこで筆者らは色素法の併用,すなわちインジゴカルミン(IC)コントラスト法およびメチレンブルー(MB)染色法を同時併用することによりⅡb型早期胃癌を発見しえたので,その1例を報告する.

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はじめに

表面平坦型早期胃癌Ⅱbは従来組織学的に初めて診断されるような微小癌が主体を占め,Ⅱb=微小胃癌と考えられてきたが,谷口は微小癌としての点状Ⅱb以外に,数cmに及ぶ拡がりを持った面状Ⅱbが存在することを指摘している.内視鏡的には点状Ⅱbでは存在診断そのものが問題となり,面状Ⅱbではその拡がりを正確に診断することが問題となる.

 内視鏡的には類似Ⅱb,1cm以上のⅡb,単発Ⅱbでは術前に"癌"と診断可能なものが多いが,典型Ⅱb,1cm以下のⅡb,副病変としてのⅡbの内視鏡診断成績は著しく不良である,特に典型Ⅱbでは内視鏡的には,粘膜の褪色,アレア像の異常,低凹凸,異常発赤,易出血など慎重に撮影し読影しなければ見逃されてしまうような軽微な所見を呈し,背景胃粘膜としての胃炎性変化との鑑別が困難なものが多く,また病変存在部が撮影されているにもかかわらず,何らの異常所見も指摘できないものも少なくない.

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Ⅱc型早期胃癌

〔患者〕54歳,男性.

大きさ:53×40mm.

組織型:tubular adenocarcinoma, moderately differentiated.

深達度:m.

中心部:Ul-Ⅱs.

 早期胃癌の肉眼分類,とりわけⅡbの判定には慎重でなければならない.切除胃の取り扱い,観察条件によってはⅡbとも,ごく浅いⅡcとも,またわずかな高まりのⅡaとも言える病変があるからである.

 Ⅱb病変と言い切るためには,それなりの観察記録が必要だと思う.

 本例では種々の条件下で肉眼観察,写真撮影をしてみた.そのうち,二重造影像の所見に対応できるのは低位光源撮影の半固定Fig.5であった.

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 アメリカのThe Society of Gastrointestinal Radio-logistsは,1971年にMargulis ARとMarshak AHらが提唱し創設された学会で,今回が第15回目に当たり,アカプルコで開かれた.学会の謳い文句は,新しい研究のreviewと新知識の普及,1974年以降は協会のpostgraduate courseも兼ねているという.

 日本人の学会のメンバーには白壁教授のほか,市川平三郎氏(国立がんセンター),有山囊氏(順天堂大学),大藤正雄氏(千葉大学),丸山雅一氏(癌研)が名を連らねておられる.

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要旨 患者は16歳女性,主訴は心窩部痛,病悩期間約6か月.入院時理学的ならびに臨床検査所見は糞便潜血反応陽性のほか特記すべき所見は認められなかった.胃X線,内視鏡および生検組織診断では,いずれも悪性リンパ腫と診断,手術された.切除標本肉眼所見は胃角より前庭部にかけて表層型悪性リンパ腫の像を呈した.病理組織検査では主として粘膜層内に,核の偏在,異型を伴う大小不同の形質細胞のびまん性の増殖がみられ,形質細胞腫と診断され,更に免疫組織学的検索によってIgM-λ型免疫グロブリンが同定された.そこで単クローン性免疫グロブリン産生の形質細胞腫と診断された.術前・術後の全身骨,骨髄像,他臓器,器官組織には異常は全く認められなかった.

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要旨 患者は26歳,男性.主訴は食後の腹部膨満感,悪心・嘔吐.中学のころより過食後に悪心・嘔吐あり症状が増強したため,1983年6月当科受診.上部消化管造影の結果,十二指腸下行脚内腔に2mmの透明帯によって囲まれた西洋梨状の陰影あり,intraluminal duodenal diverticulum(IDD)と診断された.7月22日内視鏡下で憩室切除術を施行した.吸引によりIDDを口側へ翻転させポリペクトミーと同様の手技でスネアーをIDDの基部にかけ,高周波電流を通電し憩室底を切除した.憩室は両側とも十二指腸粘膜で覆われ粘膜筋板を有していた.IDDは世界で約100例,本邦で26例の報告があり,本邦では内視鏡的憩室切除を施行したのは本例が4例目である.

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要旨 潰瘍性大腸炎は直腸を含めて,びまん性にびらん・潰瘍を形成する慢性炎症でありその典型例のX線・内視鏡診断は容易である.しかし区域性大腸炎や右側結腸炎型の非典型的な病像を呈する場合にはCrohn病や腸結核との鑑別が問題になる.下痢を主訴とする18歳の女性に対する注腸・内視鏡検査で,横行結腸から盲腸にかけての右半結腸にびまん性のびらん,Haustraの消失と腸管の短縮・狭小化がみられた.経過観察中に横行結腸に小さな偽憩室も形成された.右半結腸切除術により本例はright-sided型潰瘍性大腸炎と診断されたが,遡及的にX線・内視鏡像を振り返ってみると,病変部が右側結腸に限局していたことを除いて,その炎症所見は潰瘍性大腸炎の所見に合致すると考えられた.

胃と腸カンファレンス

この症例をどう考えるか 松田 正樹
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症例の概要 患者.38歳,女性,主婦.主訴:心窩部痛.現病歴:2年前から,胃潰瘍の診断のもとに近医で薬物治療を受けていたが,数日前から心窩部痛が増悪したため,当科を訪れた.X線検査では陥凹縁におけるひだの中断と,陥凹底の粘膜模様の破壊像が著明であり,Ⅱc型早期胃癌と診断された.また内視鏡検査では病巣の口側の境界が不鮮明な点に問題は残るが,ひだのやせ・中断像や陥凹内の粘膜の発赤,小白苔の付着,粗ぞうさなどから,やはりⅡc型早期胃癌が最も強く疑われた.しかし生検ではno malignancyと診断された.3か月後,内視鏡による経過検査が行われたが,内視鏡像は前回と同様,悪性を疑わせる像を示しており,一方,生検はno malignancyであった.

 以上のように,本例はX線および内視鏡では早期胃癌を疑いながら生検で悪性が証明されないため,3か月ごとの経過観察を行っているが,このような症例に対する老え方,扱い方,今後の治療方針などについて御教示願いたい.

初心者講座

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I.胃癌の診断根拠について―その2

 前回,未分化型癌の1例を呈示し,その境界線の特徴について述べた.今回呈示した〔症例1〕は,分化型癌(深達度m)の症例である.X線像で,外側に向かって凹で,“けば立ち”を有する境界線が認められ,この所見のみからⅡc型胃癌と診断することができる.この境界線は,通常内視鏡b)では明らかに認識できず,色素内視鏡c)で明瞭に描出されている.

 しかし,肉眼標本d)は“自然に柔らかく伸展され固定された”標本ではなく,特徴的な境界線も,その周辺の様相も知ることができない.一般に境界線や小区像の特徴は,生標本の写真や粘液が付いたままの切除標本肉眼写真では検討ができない.“マクロより,X線や内視鏡のほうがよくわかる”という発言をよく耳にするが,本当はマクロの取り扱いが悪いと考えるべきであろう.

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欧文目次

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 Non-surgical control of upper gastrointestinal bleeding:Ihre T(Scand J Gastroenterol(Supple) 110:105-108, 1985)

 著者は上部消化管出血に対する非外科的治療法として,内視鏡的止血法,特にレーザー光凝固法と電気凝固法の成績をreviewし,更にSomatostatinの止血効果について報告している.簡便性についてはレーザーのほうが電気凝固より優れているが,止血効果は両者とも90~95%で変わりがない.費用はレーザー装置(アルゴンレーザー,YAGレーザー)は高価(US5,000ドル)であるのに対し,電気凝固ははるかに安い.安全性はYAGレーザーでは穿孔の危険性は低いといえどもありうる.アルゴンレーザーとbipolar electrodeはより安全である.

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 Double blind controlled trial of oral vancomycin as adjunctive treatment in acute exacerbations of idiopathic colitis:Dickinson RJ, O'Conner HJ, Pinder I, et al(Gut 26:1380-1384, 1985)

 特発性大腸炎の急性増悪時の臨床像は,多くの点で急性感染性大腸炎に類似しており,特発性大腸炎の病因に細菌が何らかの役割を担っていることが示唆されている.最近,特発性大腸炎の一部の患者において,C. difficileが増悪因子として関与していると言われている.

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 Pancreatic phlegmon, clinical features and course:Sostre CF, Flournoy JG, Bova JG, et al(Dig Dis Sci 30:918, 1985)

 膵蜂巣織炎(pancreatic phlegmon)という名称は1973年のKeeneらの文献以後,膵の炎症性腫瘤の鑑別の際にしばしば用いられるが,その臨床的特徴はあまり明確でない.病理学的には“膵とその周囲の後腹膜組織が浮腫,炎症性細胞浸潤,および組織壊死により,硬結し腫瘤を形成した状態”と定義されている.

編集後記 西沢 譲
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 Ⅱbの診断については,本誌でも既に3回目の企画である.そのたびごとにⅡbの定義が問題になった.臨床と肉眼標本と切片断面の所見が一致しないからである.胃癌の初期像という観点からは,組織発生からみればⅡbは5mm以下の微小癌の中にほとんど入ってしまうし,臨床の極限を極めたいという意味からは,5mm以上の病変でも診断の非常に難しいⅡbあるいはⅡbに近いもの(類似Ⅱb)がある.浸潤範囲の難しいものと言えば,もう1つ随伴Ⅱbが入ってくる.

 今回の特集では,肉眼所見,切片断面所見ともにかなり統一されたⅡb病変が集められている.臨床所見も,負けずにそれなりの工夫と眼によって術前に捉えられている.このあたりを中心にⅡb病変あるいは類似Ⅱb病変と決めてもよさそうな気がする.もっと平坦なものを探すのもよいが,逆に甘いほうには厳しくしたいものである.少なくとも,臨床的にみてⅡbあるいは類似Ⅱbと言えば,それだけで深達度はmでなければならない.

基本情報

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胃と腸
21巻4号 (1986年4月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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