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編集後記
西沢 譲
pp.464
発行日 1986年4月25日
Published Date 1986/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110257
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Ⅱbの診断については,本誌でも既に3回目の企画である.そのたびごとにⅡbの定義が問題になった.臨床と肉眼標本と切片断面の所見が一致しないからである.胃癌の初期像という観点からは,組織発生からみればⅡbは5mm以下の微小癌の中にほとんど入ってしまうし,臨床の極限を極めたいという意味からは,5mm以上の病変でも診断の非常に難しいⅡbあるいはⅡbに近いもの(類似Ⅱb)がある.浸潤範囲の難しいものと言えば,もう1つ随伴Ⅱbが入ってくる.
今回の特集では,肉眼所見,切片断面所見ともにかなり統一されたⅡb病変が集められている.臨床所見も,負けずにそれなりの工夫と眼によって術前に捉えられている.このあたりを中心にⅡb病変あるいは類似Ⅱb病変と決めてもよさそうな気がする.もっと平坦なものを探すのもよいが,逆に甘いほうには厳しくしたいものである.少なくとも,臨床的にみてⅡbあるいは類似Ⅱbと言えば,それだけで深達度はmでなければならない.
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