初心者講座
早期胃癌の見つけ方(4)
八尾 恒良
1
,
渕上 忠彦
2
Tsuneyoshi Yao
1
1福岡大学筑紫病院消化器科
2松山赤十字病院胃腸センター
pp.459-462
発行日 1986年4月25日
Published Date 1986/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110256
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I.胃癌の診断根拠について―その2
前回,未分化型癌の1例を呈示し,その境界線の特徴について述べた.今回呈示した〔症例1〕は,分化型癌(深達度m)の症例である.X線像で,外側に向かって凹で,“けば立ち”を有する境界線が認められ,この所見のみからⅡc型胃癌と診断することができる.この境界線は,通常内視鏡b)では明らかに認識できず,色素内視鏡c)で明瞭に描出されている.
しかし,肉眼標本d)は“自然に柔らかく伸展され固定された”標本ではなく,特徴的な境界線も,その周辺の様相も知ることができない.一般に境界線や小区像の特徴は,生標本の写真や粘液が付いたままの切除標本肉眼写真では検討ができない.“マクロより,X線や内視鏡のほうがよくわかる”という発言をよく耳にするが,本当はマクロの取り扱いが悪いと考えるべきであろう.
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