胃と腸カンファレンス
この症例をどう考えるか
松田 正樹
1
Masaki Matsuda
1
1都立墨東病院・内科
pp.455-458
発行日 1986年4月25日
Published Date 1986/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110255
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症例の概要 患者.38歳,女性,主婦.主訴:心窩部痛.現病歴:2年前から,胃潰瘍の診断のもとに近医で薬物治療を受けていたが,数日前から心窩部痛が増悪したため,当科を訪れた.X線検査では陥凹縁におけるひだの中断と,陥凹底の粘膜模様の破壊像が著明であり,Ⅱc型早期胃癌と診断された.また内視鏡検査では病巣の口側の境界が不鮮明な点に問題は残るが,ひだのやせ・中断像や陥凹内の粘膜の発赤,小白苔の付着,粗ぞうさなどから,やはりⅡc型早期胃癌が最も強く疑われた.しかし生検ではno malignancyと診断された.3か月後,内視鏡による経過検査が行われたが,内視鏡像は前回と同様,悪性を疑わせる像を示しており,一方,生検はno malignancyであった.
以上のように,本例はX線および内視鏡では早期胃癌を疑いながら生検で悪性が証明されないため,3か月ごとの経過観察を行っているが,このような症例に対する老え方,扱い方,今後の治療方針などについて御教示願いたい.
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