いま,筆者の手もとに2つの大学の早期胃癌診断の資料がある.1つは東京女子医科大学消化器病センターのもので,鈴木が中心になってまとめてくれたものである.昨目着いたばかりである.もう1つは山口大学第1内科のデータで,永富が中心になって整理したものである.いよいよ書くかなとペンを握った現在では,まだ資料をパラパラとめくってみたに過ぎないし,内容もしっかりつかんでいるわけではない.もちろん,症例の数は,東京女子医科大学のほうが,紹介外来制をとっており,内視鏡診断がある程度形がととのった最近10力年の症例に限定した山口大学より圧倒的に多い.
これからこれら2つの材料を分析し,早期胃癌の内視鏡診断の限界をさぐってみようというわけである.整理した結果は,思ったより安心できるような成績かもしれないし,あるいは,無茶苦茶な診断成績で,よくまあこんな診断成績でもって,内視鏡を専門にしているなどと,うそぶけるものだなあと,諸先生をあきれさせるような結末になるかもしれない.そして,内視鏡診断の現況のだらしなさに怒りと悲しみを感ずるようなことになるかもしれない.