精神医学 58巻2号 (2016年2月)

特集 妊娠・出産・育児とメンタルヘルスケア

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はじめに

 周産期の女性には,心理,社会,生物学的な側面で大きな変化が生じる。妊産婦は,急激な変化に適応しながら心と体のバランスをとる。家族や地域が作り出す生活環境も心身のバランスに大きな影響を及ぼす。わが国では,少子化の傾向が進んでいるが,女性の社会参画に伴う晩婚化により,妊娠・出産を迎える時期が幅広くなっており,女性の人生にとっては自由度も増え好ましい社会になってきた。

 一方で生殖医療技術の進展により不妊治療後の妊娠や出産に伴う不安,低出生体重児の増加による母子分離の影響や母子相互作用の問題,養育機能の障害などを含めた精神医学的な問題も増えてきた。望まない妊娠や若年妊娠は家庭内暴力との関連も大きく,これらの若い女性は,心理社会的な脆弱性を含んだ精神医学の治療の対象ともなり得る。心理・精神医学的なケアや治療が適切に行われないと,次世代の子どもの長期的な予後にも否定的な影響にもつながる。欧米では地域に根ざした養育支援と子ども虐待予防プログラムがあり14),これはKempeが見出した虐待理解と,その発生機序に基づいて編み出した支援方法と周産期からの保健師の家庭訪問による発生予防の提唱をシステム化したものである。支援の対象となる周産期の親と子どもは,メンタル面のハイリスク要因を持つが,ハイリスクという言葉を使用せず,「援助すべき対象in need」と位置付け,支援の理念を明確に打ち出している。子ども,親,家族とその生活環境の特徴によって,ニーズを見極め,多様な専門職による介入の連携をとっている。

 周産期のメンタルケアの重要性については,2000年に開催された国連ミレニアムサミットでも唱えられており,妊産婦の健康の改善も到達目標の一つであった。世界保健機関(WHO)は母親の健康の改善が達成されるには,妊産婦の精神保健の問題に注目し既存の母子保健プログラムに女性へのメンタルヘルスケアを統合する必要性を指摘している16)。このように,周産期医療の中では,いま現実にあるニーズからみても,妊産婦の精神保健の今後のあり方を示している方向性の中でも,精神医学の果たす役割は重要である。

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はじめに

 近年,精神疾患合併妊婦が増加していると思われる。日本産婦人科医会による東京都内の分娩を取り扱う185施設へのアンケート調査(2015年4月)でも,年間約1,800件の精神疾患合併妊婦の分娩があり,出産全体の約2.1%に上ることが分かった17)。自傷他害疑いなど,精神疾患を適応とした妊産褥婦の救急搬送も発生している。

 「妊婦の精神疾患の安定が,胎児さらには新生児・乳児の健康状態の安定につながる」。最近ではこの点が強調されており,たとえば妊娠うつ病では,突然の治療中断により,再発や妊娠継続困難,睡眠障害や不適切な栄養,アルコール・喫煙などへの依存などが指摘されている。さらに産褥期のうつ病との関連や,育児コンプライアンスの低下と育児困難,そして母体の自殺や乳児殺害といった悲劇を来すことがある。「新しい命を迎え入れ,新しい家族を築く」といった本来の意図とはかけ離れ,母親本人だけでなく家族全体の健康が不安定になる。

 本稿では妊婦や授乳婦に薬剤を使用する立場から,妊娠・出産・育児期ごとにその注意点を述べたく思う。

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はじめに

 母子の健康水準を向上させるための国民運動計画である「健やか親子21(第2次)」13)では,基盤課題Aに「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」,重点課題①に「育てにくさを感じる親に寄り添う支援」,重点課題②に「妊娠期からの児童虐待防止対策」が挙げられている。妊娠・出産・育児における切れ目のない支援は,日本の医療・保健・福祉の重要課題となっている。現在,厚生労働省は妊娠期から子育て期にわたるさまざまなニーズに対し,総合的な相談支援を提供するワンストップ拠点「子育て世代包括支援センター」を各地域に設置することを計画している8)。おおむね2020年度までに各自治体が子育て世代包括支援センターを地域の実情などを踏まえながら全国展開をしていくことが目指されている。このような中で「妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援」の仕組み作りができることが期待される。

 妊娠期からはじまる切れ目のない支援において,メンタルヘルス不調の母親を早期に発見しケアすることは重要である。母親のメンタルヘルスの不調は母子関係4)や子どもの発達1,5)にも大きな影響を及ぼす。メンタルヘルスの不調の妊産褥婦には,周産期の管理で産科医・助産師・看護師など,新生児健診で小児科医,体調不良で内科医,保健相談で保健師,治療で精神科医といったように多職種が関わるが,対応がまちまちで,見過ごされたまま対応がなされないケースも多く,連携が不十分であるのが現状である。メンタルヘルス不調の妊産褥婦に各機関で一定水準の統一した対応や他機関との連携が望まれる。近年,うつ病の早期発見,治療推進のため,地域のかかりつけ医(General Physician)をうつ病発見のゲートキーパーとして,精神科医(Psychiatrist)との連携を強化するシステムであるG-Pネットが各地で展開されている6,9)。同様に,メンタルヘルス不調の妊産褥婦やその児の養育の問題に対し関わるさまざまな職種が早期発見・早期介入のゲートキーパーになり,医療・保健・福祉が連携してサポートするような仕組みを母子保健の領域で構築していくことが必要であると考えられる17,18)

 現在,地域の母子保健・児童福祉の領域では,妊娠期から家族全体を支えていく仕組みが各地域でまさに模索されている。医療・保健・福祉がどのように協働し,妊娠期から母と子,その家族全体を支え,精神的な問題の予防・早期発見・早期介入を行っていくかが現在の重要な課題であろう。本稿では,妊娠・出産・育児に関わる各時期の保健福祉システムの現状とあり方について述べる。併せて,東京都世田谷区の母子保健関係者の協議会が作成した母子保健における医療・保健・福祉の連携のモデルも紹介する。

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はじめに

 精神科医療は入院治療から地域での生活という流れと,薬物療法の目覚ましい進歩により,精神疾患を持つ女性の恋愛,結婚,妊娠,出産がより可能となり,彼女たちと家族や周囲に対する心理教育も行われるようになっている1)。青年期に発症し慢性の経過を取る精神疾患の軽症化と,リカバリーという概念が広まる中で,女性患者が人生の選択肢を当たり前に持つことができるための教育的取り組みや地域での支援が始まっている。一方で,今日のストレスの多い社会背景の中で女性の精神科診療所への受診が増加し,男女比は2:1となっている。その中でも,不安障害とうつ病圏の受診者は全体の70〜80%を占めている。これに連動して妊娠可能年齢の受診者が多くなっている。

 しかし妊娠・出産への精神科医の対応は無策ともいえるのが現状である。母子保健の取り組みの中では,産後うつ病の啓発教育と産後うつ病スクリーニングの講習が重ねられ,出産後の保健師などによる母子訪問で彼女たちへのケアと育児支援の実践がなされている3)。この流れの中で,精神科医は,他の周産期医療や保健に関わるスタッフと協同して,専門家としての役割を遂行できていないのが現状である。2015年第111回日本精神神経学会学術総会のプログラムの中で妊娠,出産に関するシンポジウムと発表があり,「まずは妊娠中の患者が来院しても断らないという姿勢を持つように」という言葉があった。しかし筆者の経験からかえりみると,診療所で毎日診察している外来者から妊娠の報告を聞くや消極的な治療に傾き,総合病院への転院を考える苦い経験をしてきた。治療継続に苦労している上に遠方への転院は治療中断につながることが予想されるが,妊婦への薬物療法などによる治療は,催奇形性,胎児毒性,母乳への安全性などが頭をよぎる。そのため,治療者として確実な答えを持たないままに,この時期に積極的に関わることを避けてきた。筆者も拝聴する機会を得た産後うつ病の講演会などを契機に,筆者のような精神科クリニックの医師が周産期のメンタルヘルスに関わる地域のスタッフと連携する方法や連携の広がりが少し実感できるようになった。その中で筆者が見えてきた内容も含め,これまでの活動について報告する。

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はじめに

 周産期における精神科的な問題については,妊娠前から精神疾患に罹患している場合と,妊娠中もしくは出産後に新たに精神疾患を発症する場合の大きく2つに分類される。前者は精神疾患合併妊娠として,妊娠前からの精神症状のコントロール,適正な薬物療法,周産期特有の精神症状の変化への対応,また,養育機能の評価や養育支援などを進めていくための多職種による連携が求められる。後者は産後うつ病への対応が中心となるが,妊娠期から精神症状を呈することが少なくないため,産科スタッフによる早期発見,早期支援により,速やかな精神科医療につなぐためのシステムが必要とされている。

 精神疾患合併妊娠には,気分障害,神経症性障害,統合失調症が一般に多くみられるが,それぞれの疾患の特性,個々の重症度,さらには,中心となる治療薬も異なるため,疾患ごとの評価や対策を要する。妊娠後の発症の精神科的な問題に関しては,特に産褥期に顕在化してくることが多く,マタニティブルーズ,うつ病,産褥精神病などに大別されている。重症度や頻度からは,うつ病が最も重要視され,自殺予防対策が課題となると考えられる。なお,これら精神疾患に対する治療は,多くは外来での精神療法や薬物療法を継続するが,希死念慮が切迫している場合や幻覚妄想状態では入院を検討することになる。

 昨今の産科医の積極的な活動により,妊娠期からのメンタルヘルスへの関心の高まりがあり,産科スタッフによる妊産婦への早期介入の動きがみられ始めている。ただ,東京都内では,一部の総合病院精神科に依頼が集中している状況があり,いくつかの病院からは,緊急性を要する症例だけでなく精神科治療を必要としない症例まで含まれており,対応に苦慮しているという声も上がってきている。

 このような背景のもと,本稿では,周産期の各時期におけるリエゾン活動について症例を提示しながら概括し,続いて現在のリエゾン活動の課題と今後のあり方を東京都の精神科診療所・精神科病院,分娩取扱施設を対象としたアンケート調査をもとに,国内外の情報も交えつつ論じる。

 なお,症例については,患者本人に承諾を得た上で,匿名性を保持するために論旨に影響しない範囲において細部に若干の変更を加えた。

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周産期医療の特徴

 妊婦は無事に妊娠期間を過ごし,元気な赤ちゃんが生まれてくることを待ち望み,出産と同時に家族と一緒に幸せと希望に包まれる。これらの妊娠・分娩・産褥期(産後6週間)を色々な面からサポートするのが周産期医療である。妊娠は元来,生理的なものであり,病的な状態は少ない。妊娠・分娩・産褥期は,女性の一生の中で短期間に起こる最も大きなホルモンバランスをはじめとした身体的変化の時期である。それに伴い心理的にも劇的な変化が起こる時期といえる。すなわち,心理的には,妊婦自身と家族は妊娠したことを喜び,身体の変化とともに生まれてくる子への期待が高まる。しかし,一方で,見えないものには期待以上に不安も大きくなり,正常に経過し分娩に至る妊婦ですら妊娠中,うつ状態を認めることがある。

 今から半世紀以上前の日本では,妊娠中から家族や隣人,産婆(助産師)の助けを借りて,ほとんどの出産は自宅で家庭的な雰囲気の中で行われており,妊婦の精神的負担もこのような状況で軽減されていた。現在では大家族による妊婦へのサポートは少なくなり,95%以上の妊婦の健康診査(妊娠中一定期間ごとの診察)や分娩は病院や診療所で行われている。日本では妊娠10か月間で健康診査は平均14回行われ2),正常分娩では5日間の入院,帝王切開でも約1週間の入院をもって退院し,通常は産後1か月目の1回の診察で妊婦の身体復帰の確認をもって終了する。これは,他の先進国と比べても密度の濃い診療形態である。この間,超音波装置や出生前診断などの高度な周産期医療技術の発展により胎児情報が豊富に提供され,まだ胎動を感じない時期より胎児を認識でき,母性や父性は以前より早く感じるようになった。このことは,妊婦に心理的好影響を与えている。

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はじめに

 超高齢社会に対応するべく,国は多額の税金を投入しているが,その高齢化の背景の1つが少子化であると言うことができ,実際,2014年のわが国の出生数は13年より2万人以上減り,過去最少の100万台,65歳以上となったベビーブーム世代の年間出生数,260万台の40%以下となってしまっている。このため,2025年までには沖縄を除くすべての都道府県で人口減少が始まると予測されている。これまでも少子化対策については,さまざまな提案がされているが,危機的状況を打破するためにはいかに財政投資を行い実行に移すかが喫緊の課題である。2015(平成27)年3月20日に閣議決定された内閣府の少子化社会対策大綱は,少子化社会対策基本法に基づく総合的かつ長期的な少子化に対処するための施策の指針であり,2004,2010(平成16,22)年に続き今回が3回目の策定である。結婚,妊娠,子ども・子育てに温かい社会の実現に向けて,各段階に応じた切れ目のない支援と社会全体での取り組みを目標としており,各段階に応じた支援では,周産期医療の確保・充実などと産後ケアの充実を推進することが取り上げられている。実際,妊娠,出産の時期は女性の生涯の中で最も精神障害の発症が多く,女性精神疾患罹患の人口動態調査では周産期うつ病の罹患率は20%弱に及んでいる。また,妊娠・分娩・産後期は精神疾患が最も発症・悪化・再燃しやすいこともよく知られている。しかも妊産婦の精神疾患発症を含めた強いストレス負荷は,胎児や乳幼児,その後の子どもの発達や精神疾患発症の予後に大きく影響することが大規模前方視的研究で明らかにされている。したがって妊娠,出産・産後のメンタルヘルス対策は医学的な少子化社会対策の根幹を成すものと言える。日本産科婦人科学会(以下,産婦人科学会)と日本精神神経学会(以下,精神神経学会)は,周産期のメンタルケアおよび治療について診療報酬改定要望事項を共同提案することになり,内科系学会社会保険連合(以下,内保連)としてもこの取り組みを支持することになった。

 そこで,本稿では両学会の提案内容とその提案を通して実現しようとしている周産期メンタルケアについて概説し,議論を活発化させて,実現を図っていくこととしたい。

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抄録

 鏡現象とは,自己鏡像を実在する他者と誤認し,話しかけるなど鏡像と積極的な交流を持つ現象である。今回,大脳皮質基底核症候群の経過中に鏡現象を呈した初めての症例を報告する。鏡現象を呈する疾患の多くは,アルツハイマー病(AD)であり,びまん性病変の進行期にみられることが,その神経基盤の同定を困難にしてきた。しかし本例の観察から,認知症の進行に伴って重篤となった視空間認知操作障害ならびに自己認知障害が,不安や抑うつといった情動因子が動因となって,鏡現象というより高次の視空間認知操作障害に進展した可能性が考えられた。こうした条件が揃えば,典型的なAD以外の認知症例でも鏡現象が出現し得ると考えられる。

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抄録

 長野県でアルコール依存症社会復帰プログラム(Alcohol Rehabilitation Program;ARP)を提供している北アルプス医療センターあづみ病院において,アルコール依存症入院患者を対象に,その年齢分布や併存精神疾患,断酒率などを調査した。特にARPに参加した症例(ARP参加群)と参加しなかった症例(ARP不参加群)との二群間での比較を行った。平均年齢は,ARP参加群に比して不参加群が高齢であり,併存精神疾患は,ARP参加群ではうつ病が,不参加群では認知症が多かった。調査時点での断酒率は,ARP参加群が39.8%,不参加群が12.5%であった。今日のアルコール依存症治療においては,高齢化社会に伴う老年期症例の増加や認知症の併存,社会福祉や地域でのサポート体制のあり方などが,特に検討すべき課題になっていると考えられた。

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抄録

 米国ジョンズホプキンス大学附属病院(JHH)児童青年精神科病棟と東京都立小児総合医療センターの児童思春期精神科病棟の運用状況およびスタッフ配置を比較検討した。またそれぞれの医療機関における具体的な取り組みについても紹介した。JHH児童青年精神科の平均在院日数は8.4日で,豊富なスタッフ配置の下,危機介入を主とした入院治療が行われていた。対する都立小児総合医療センターでは,米国と比較し少ないスタッフ配置ながら,医療的介入に加え家族関係の調整などのケースワークや,教育機関等の地域資源との連携体制がとられ,平均在院日数は90日前後となっていた。これら相違について,日米の医療保険制度の違いを含め検討し考察を行った。

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 心因性非てんかん性発作(Psychogenic Non-Epileptic Seizure:PNES)とは,感情的問題が引き金で生じる発作であり,脳の電気的興奮が原因のてんかん発作とは病態が異なる。てんかん発作と酷似するためベテラン医師でも鑑別が難しく,患者によっては真のてんかん発作に合併する場合もあり,臨床現場では診療に苦慮する場合が少なくない。本書は米国の臨床心理士が執筆した書籍を,てんかんを専門とする精神科医の谷口豪先生が訳したものである。谷口先生は,てんかんとその周辺疾患の心の問題について造詣が深いだけでなく,患者の生活全般にわたる広い視野を持ちつつ社会全体に対しての啓発活動にも積極的に取り組んでいる。

 原著者は執筆の「第1の目的はPNESの患者の教育」であるとして,「教育を受けた患者は(中略)ドクターショッピングをするのをやめ(中略),患者自身が治療を強力に主導できるようになるのです」と書き出している(「原書の序」より)。さらに「第2の目的は,患者の家族や愛する人たち,医療従事者,そして一般の多くの人にこの病気を知ってもらうこと」と述べられている。

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 2013年,米国精神医学会(APA)よりDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th Edition(DSM-5®)が発表され,翌2014年に日本語版が紹介された。しかしながら,現状はわが国でまだ広く浸透したとはいえず,いまだにその変更点,利点あるいは問題点についての特集が学術雑誌で組まれるほどである。

 それはなぜだろうか。わが国の診断でこれまでより重んじられて来たのが世界保健機関(WHO)による国際疾病分類(ICD)であることも影響しているだろうが,それ以上に今回疾患カテゴリー群があまりに増えすぎてしまい鑑別が難しい,あるいはいまだに各カテゴリーがどのようなものか不明な点が多いことなどが理由として挙げられる。またわが国の精神科医は「うつ状態」「不安状態」など,旧来からの状態像診断が好きなことも一因として考えられる。

学会告知板

論文公募のお知らせ

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「精神医学」誌では,「東日本大震災を誘因とした症例報告」(例:統合失調症,感情障害,アルコール依存症の急性増悪など)を募集しております。先生方の経験された貴重なご経験をぜひとも論文にまとめ,ご報告ください。締め切りはございません。随時受け付けております。

ご論文は,「精神医学」誌編集委員の査読を受けていただいたうえで掲載となりますこと,ご了承ください。

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次号予告

編集後記
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 人口減少社会を迎え,出生や成育に関わる医療的支援がますます重要になってきている。そして母子の身体的・精神的なリスクを管理しながらこの時期を乗りきることは,今や医療の中でも最重要の課題の一つである。本号の特集「妊娠・出産・育児とメンタルヘルスケア」は,現在の医療・保健・福祉が抱える問題点や対策が詳しく紹介されている。この時期に陥りやすい精神保健的問題や精神疾患の理解,妊娠から育児までの各段階における支援のあり方,産科医療と精神科医療の連携,プライマリーレベルでの支援体制のあり方,望ましい保険診療の体制など各論が詳しく論じられ,この問題の持つ重要性をあらためて認識させられた。先進工業国では妊娠期から子どもの成長にかけての健康を育てていくことを最重要課題の一つとしており,精神医療もその重要な一環となっていることがあらためて教えられた。

 今月の原著論文は2編である。中村敏範先生は北アルプス医療センターにおけるアルコール依存症の社会復帰プログラムを研究された。そこでの活動には地域性があり,薬物依存の併存が少なく,治療成績が良い。しかし一方で老年期の患者が多く認知症併存などのためにプログラムに乗りにくい問題点もある。高齢者のアルコール依存症に対しては今後ますます難しい対応を迫られることをあらためて教えられた。清水秀明先生は鏡現象を呈した大脳基底核症候群の1例を提示し鏡現象の発生機構について考察された。視空間認知や自己認知の障害されるこの現象が不安・抑うつといった感情の影響を受けると考察され説得力がある。症例研究の大切さが教えられる報告であった。

基本情報

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精神医学
58巻2号 (2016年2月)
電子版ISSN:1882-126X 印刷版ISSN:0488-1281 医学書院

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