書評
—Michael B. First 原著,髙橋三郎 監訳,下田和孝,大曽根彰 訳—DSM-5®鑑別診断ハンドブック
渡邊 衡一郎
1
1杏林大学医学部・精神神経科学
pp.189
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205122
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2013年,米国精神医学会(APA)よりDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th Edition(DSM-5®)が発表され,翌2014年に日本語版が紹介された。しかしながら,現状はわが国でまだ広く浸透したとはいえず,いまだにその変更点,利点あるいは問題点についての特集が学術雑誌で組まれるほどである。
それはなぜだろうか。わが国の診断でこれまでより重んじられて来たのが世界保健機関(WHO)による国際疾病分類(ICD)であることも影響しているだろうが,それ以上に今回疾患カテゴリー群があまりに増えすぎてしまい鑑別が難しい,あるいはいまだに各カテゴリーがどのようなものか不明な点が多いことなどが理由として挙げられる。またわが国の精神科医は「うつ状態」「不安状態」など,旧来からの状態像診断が好きなことも一因として考えられる。
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