看護学雑誌 61巻1号 (1997年1月)

特集 家族にどうかかわるか

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なぜ家族看護なのか?

 本誌 最近,家族看護学という言葉がきかれるようになりましたが,その背景や,臨床において今,家族へのかかわりとしてどんなことが求められているのかをお聞かせ下さい.

 渡辺 まず,時代背景として小家族化・核家族化が進み,家族のなかで病気をもった方やお年寄りをケアするという本来の機能が非常に低下しているということがあると思います.

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はじめに

 「家族の誰かが病気になったら,その家族にどのような影響が起こるだろう」

 「たとえばその患者が父親であれば,それまで果たしていた役割を家族の誰が行なっていくのだろう」

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はじめに

 温暖な南総に位置する当院は,透析施設を含む地域に根ざした中規模病院です.しかし,透析施設の不足から,かなり遠くから通院する患者さんもいて,その暮らしも多岐にわたります.

 慢性腎不全による血液透析の導入は,それが生涯にわたるという点で患者さんのショックも大きく,人生を見つめ直し生活を再構築してセルフケアを確立していくことが課題となっていきます.これはまた,生活を共にする家族にとっても同じであり,患者さんの透析の導入は,経済的な問題や食生活,そして家族内の関係や役割意識にも微妙な影響をおよぼします.特に最近は,高齢者や糖尿病性腎不全による視力障害によって自立度の低下した患者さんが増えており,このような患者さんの場合には,家族の協力なしでは透析に通うことさえできず,いかに家族を支えていくか,家族援助のニーズはますます高まってきていると言えます.

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はじめに

 ターミナル期の看護を考えるにあたり,重要なことの1つに,患者のみならず,その患者を取り囲む家族への看護がある.

 文化からみても,また歴史上も,日本人は家族との結びつきが強い.特にがん告知や,予後,治療方針などについては,患者本人よりも,まず家族に話され,本人に告げるかどうかの相談を持ちかけられることも少なくない.がんであることを告げられた家族は少なからず衝撃を受け,さらに患者本人に真実を告げるかどうかの判断をせまられる.そして,どちらの選択をしても家族が大きな責任を負うことになる.

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はじめに

 救命救急センターに入室してくる患者は,重篤な場合が多く,救命救急処置を必要とすることが多々ある.その状況を目の当たりにする家族のショックや不安は計り知れない.この時看護婦が,家族へ精神的なアプローチをすることは,家族にとって大きな心の支えとなる.

 当センターでは,入室時における家族の対応を円滑に行なえるよう,担当の看護婦が主にかかわっている.担当看護婦は,医師と連携をとり,家族の様子や理解度を評価し,不安の除去につとめている.しかし救急場面では,懸命な蘇生にもかかわらず不幸な転帰を迎える場合もあり,その際には短時間での家族に対するアプローチは大変困難を伴う.この時,担当看護婦は治療にかかわっているため,家族へはリーダー看護婦(勤務帯の責任者)が主に対応している.

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はじめに:看護学の家族への接近

 看護学では患者個人から患者の家族を含めて対象とする必要性が,いくつかの点で指摘されている.第一に,患者の健康状態が家族の健康状態に影響を与え,逆に家族の健康状態が患者自身の健康に影響を与えるといった相互作用の観点が,看護や介護において有効であること.第二に,従来の施設中心の医療体制から在宅ケアの志向性が高まり,生活の場としての家族とその家族支援がクローズアップされていること.第三に,がん告知や人生の終末に関することがら,安楽死や尊厳死の問題および脳死・臓器移植問題など新たな「死」の問題などにかかわるインフォームド・コンセントが求められるようになってきたこと.家族単位での認知や合意,判断が以前にもまして必要になってきたこと.これらの背景には,QOL(生活の質)の向上という目標があり,「個人の生活の場である家族」が重要視されている.これらをふまえて,看護の対象として家族をとらえるために前提となる視点を論じていこう.

 家族は私たちにとって最も身近な存在である.それゆえ対象となる家族へのアプローチが,それぞれがいだいている家族像を前提としたものにおちいる危険性がある.また,近年の家族への関心の高まり,家族への人々の思いの強さ,最も大切な事柄として家族の位置づけ,家族を価値的にとらえる傾向は,心の通う満ち足りた家族関係として,その一面だけを過度に強調してはいないだろうか.

連載 カラーグラフ

切手のなかの看護婦たち・13

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1カタール国 国際看護の日を記念して発行された2種のうちの1種(1995.4.24)

2エルサルバドル共和国 看護婦の日を記念して発行された2種のうちの1種(1975.10.24)

なるほど人体—Human Body World・13

尿はためてから出す 坂井 建雄
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 おしっこを出すのは,とても気持ちのいいことです.お酒などを飲んだ後や,身体が急に冷えたときなど,おしっこを出したくなります.そんなときにようやくトイレを見つけて,出したいものを出したときのホッとした感じは,誰もが経験したことがあると思います.今回はそんな,おしっこをためる,出す,というお話をします.

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 入院日数の短縮が進められるなか,在宅ケアが注目されることが多くなった.リハビリの専門職である理学療法士(以下,PT)の仕事場も,病院などの入所施設から地域へ,在宅へと広がっている.

 足立このみさんは,早くから在宅ケアにおける理学療法の必要性を感じていたPTのひとりだ.1994年,11年間の病院勤めをやめ,フリーとして地域に飛び出した.在宅でのリハビリは,普遍的な技術プラス知識と,専門的な技術プラス知識,さらにコーディネート力が必要.それだけに,難しいがやりがいがあるという.「そして,病院のPTとの連携も必要です」.

連載 ケアって何だろう・1【新連載】

ケアの意味するもの 広井 良典
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はじめに

 ケアとは何だろうか.

 「老人ケア」,「ターミナルケア」,「在宅ケア」,「ケアプラン」,「ケアマネジメント」などなど,「ケア」という言葉は現在さまざまなところにあふれていて,とりわけ高齢化社会の今日,新聞やテレビなどでも「ケア」という言葉を耳にしない日はないほどである.

連載 道拓かれて—戦後看護史に見る人・技術・制度・1【新連載】

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 戦後50年と一口に言うが,この間の大きな変化を叙述することは至難である.時代の流れの中で,この道を切り拓いてきた多くの先達に思いを馳せ,歴史を創った看護婦たちの歩みに焦点をしぼりながら,新しい世紀を目前にした現代の課題を探りたい.でき得るならば.幸い,『看護学雑誌』も同時代を歩んできた.その時々の看護の動き,看護業務や技術の変遷をたどるのも面白かろう.

連載 臨床で研究に親しむ・1【新連載】

なぜ研究なのか 金井Pak 雅子
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連載をはじめるにあたって

 「研究」という言葉を聞いた時,読者の皆さんはどのようなことを思い浮かべますか.

 「1回経験したからもういいわ.あの苦しみは,二度と味わいたくない」

連載 Bonjour! パリの看護婦さん・1【新連載】

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フランスとフランス人

 フランスで医療通訳として働くわたしのもとにご縁あってこの連載のお話をいただきましたが,常々フランスの看護職の位置づけが日本のそれとは若干違う事を感じていましたので,それを毎回のインタビューを通して読者のみなさんにお伝えできたらと,願っています.多角度から彼(女)たちの職業意識やその内容を比較し,一歩彼(女)たちの内面にふみ入ったような質問も考えています.

 自由・博愛・平等をうたうフランス人は,個人を尊重する国民で,これは裏を返せばプライバシーにかかわられる事を忌み嫌う国民でもあります.そのようにある中でも日本の『看護学雑誌』読者のみなさんのために,彼女たちは快くインタビューに(時にはフランス社会でタブーとされているような内容にも)応えてくださいました.

連載 「付添看護」とは何だったのか・8(最終回)

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 「付添看護」とは何だったのか.医療法に定められた低い看護基準のもと,不足しがちな看護体制を支えてきたのが「付添看護」である.これが,私の結論である2)

連載 わかる!使える!Bed Side Medicine・7

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Question

鉄剤を服用させて便が真っ黒になったり,リファンピシンで尿が真っ赤になったりして驚かされることがあります。尿や便の色をかえる薬にはほかにどのようなものがありますか?

連載 —海外文献紹介—Current Nursingピックアップ・34

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 自分の健康をみずから維持・増進させることは慢性疾患患者はもとより,現在健康な人にも求められる.そのため,多くの研究者が保健行動の成立を解明すべく,モデルを作成し実証に取り組んできた.しかし,それらのモデルでは,成立要因に看護婦との関係が考慮されているものはなかった.

 すべての看護婦は,自分たちが行なっている看護が,本当に患者に影響を与えているのだろうかという疑問に駆られ,それを確認したいと思っているといっても過言ではないと考える.筆者も,病院でスタッフナースとして勤務していたとき,自分のはたらきかけが患者に影響を与えているのかどうかを確認したいと考えたのも大学院進学の理由の1つである.

連載 買いたい新書

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不確実性の時代を家族がどう生きるか

 コンテナー家族,ホテル家族…….時代を象徴する家族のありようをいとも明快に表現してきた家族精神医学の第一人者,小此木啓吾氏が出版したこの本は,ついつい足を止めてしまうタイトルである,

 視界ゼロとは何か.現代の家族は,真っ暗闇で後にも先にも進めない所に立たされているのか,と一瞬絶望感を覚えてしまうが,どうもそうではない.「クルマの運転にたとえれば,霧の中でヘッドライトで照らされるわずか30メートル,50メートル先ぐらいしか見えないという状況」が著者の言う「視界ゼロ」である.すなわち,長年にわたって自明のものとされ,私たちが生き方について選択し適応するうえでよりどころとしてきた価値観や知識がすっぽりとくつがえることも否めない,先を見通せない不確実性に満ちた時代ということである.

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治療行為へのフィードバック

 東京都世田谷区にある国立小児病院には,「おもちゃライブラリー」が開設されている.病院内のおもちゃライブラリーは,日本ではめずらしいことだ.

 このおもちゃライブラリーは,心身の発達が遅れた子どものために,治療行為の一環としている点が特徴的なところである.診察室での数十分の診療行為では判断できない,または気がつかない点をこのおもちゃライブラリーで補っていくという貴重な場でもある.同病院の神経科の二瓶健次医長は「診察室ではとうてい発見することができない,その子本来の姿を,ライブラリーでは垣間見ることができる.こうした生の情報を治療行為に還元していくことは大変重要なことになる」と,おもちゃライブラリーのフィードバック機能を高く評価している.

連載 私がデイケアに魅かれる理由・1【新連載】

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白衣をぬいだら見えたこと

 透析室,手術室,ICU-CCU,内科,外科,整形外科,放射線科,NICU,小児科,病棟勤務….

 これぜーんぶ,わたしが経験した職場です.われながらすごい経歴.まるで,野戦病院の頃から働いているかのようですが,まだまだ夢見る12年目ナースなのです.私ってしょっちゅう勤務移動させられていたのですね.

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 患者と一言で言っても、いろ〜んな人柄の人がいて…。長年看護婦をしていると、耐え難いことも多いんだけど、それだけに、ほっとさせてくれる人がいると、救われた気持ちになりませんか?

 本当に、看護婦ってそうゆうとこ人がいいのかなあ。

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 「ペイント・イン」という運動をご存じだろうか.米国アトランタに本拠を置くホスピタル・アート財団の主宰者,ジョン・ファイト氏が提唱し実践している「病院に絵を贈る」運動で,これまでに世界60か国以上の250以上の病院に,約5000枚の絵を贈りつづけている.運動を支えるのはボランティアで,これまでに2万人以上が参加.財団の経費は企業や一般からの寄付である.

 11月,ファイト氏が5度目の来日,3病院で「ペイント・イン・ジャパン」が行なわれた.

基本情報

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看護学雑誌
61巻1号 (1997年1月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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