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視界ゼロの家族—夫婦・親子の行方
坂間 以津美
1
1茨城県立医療大学
pp.84-85
発行日 1997年1月1日
Published Date 1997/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905262
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不確実性の時代を家族がどう生きるか
コンテナー家族,ホテル家族…….時代を象徴する家族のありようをいとも明快に表現してきた家族精神医学の第一人者,小此木啓吾氏が出版したこの本は,ついつい足を止めてしまうタイトルである,
視界ゼロとは何か.現代の家族は,真っ暗闇で後にも先にも進めない所に立たされているのか,と一瞬絶望感を覚えてしまうが,どうもそうではない.「クルマの運転にたとえれば,霧の中でヘッドライトで照らされるわずか30メートル,50メートル先ぐらいしか見えないという状況」が著者の言う「視界ゼロ」である.すなわち,長年にわたって自明のものとされ,私たちが生き方について選択し適応するうえでよりどころとしてきた価値観や知識がすっぽりとくつがえることも否めない,先を見通せない不確実性に満ちた時代ということである.
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