臨床泌尿器科 21巻9号 (1967年9月)

  • 文献概要を表示

 患者 堀○富○,47才男子,室内装飾家。

 主訴 右腰痛。

図譜・253

原発性尿管癌の1例 杉村 克治
  • 文献概要を表示

 患者 89才の女子。

 既往歴 慢性気管支炎(数年来)。

第55回日本泌尿器科学会総会シンポジアム 膀胱癌—治療を中心にして

電気凝固術 大北 健逸
  • 文献概要を表示

 我々の教室での1947年より1965年末までの膀胱癌入院患者数は572例で,その中本日の議題である早期癌の治療法としての電気凝固術は163例,部分切除術は128例である。しかし今,術後成績として5年生存率を求めるなれば1962年以降の症例は満5年を経過していないので,本日は1961年末までの術後経過の明らかな電気凝固術80例について,また同時に部分切除術72例の成績についても述べ,早期癌の治療法その中殊に電気凝固術の根治性に論及したい。

 電気凝固術の治療成績:浸潤度と生存率では第1表のように,その中早期癌の5年生存率は,0+Aが30/36(83.3%),B1は17/25(68.0%)で早期癌の小計では47/61(77.0%)となり,浸潤度別総数80例の5年生存率は51/80(63.7%)である。

 分化度と生存率では乳頭腫+Ⅰ度乳頭状癌は21/26(80.7%),Ⅱ度乳頭状癌で19/25(76.0%)であり,早期癌の小計で40/51(78.4%)となる。

TUR-Bt 千野 一郎
  • 文献概要を表示

 膀胱癌の治療法は,その腫瘍の発生状態によつて決められるべきであり,現在一定した治療法が存在するわけではない。しかしながら「早期膀胱癌の治療」という問題に限定するならば,経尿道的膀胱腫瘍切除術(以下TUR-Btと略す)は根治性の高い優れた方法であると考える。

 我々が早期癌として扱う場合の目標は下記のごとくである。

粘膜剥離術 原田 直彦
  • 文献概要を表示

 悪性度の低い膀胱癌に対しては,従来TURを行なうか,あるいは膀胱部分切除術を行なうかによつて加療されていた。しかし,腫瘍が多発性である場合には,膀胱全剔除術を施行せざるを得なかつた。これは,余り犠牲が多すぎると考えざるを得ない場合もある。

 この膀胱腫瘍の治療の難問題をできる範囲で解決するために,我々は膀胱粘膜剥離術Mucosaldenudation of the bladderというべき術式を考案し,すでに4年間実施している。

膀胱部分切除術 鈴木 騏一
  • 文献概要を表示

 私共は膀胱癌に対する治療を,膀胱全摘除術ならびに部分切除術を中心に行なつてきたが,とくに早期癌に対しては部分切除術を取り挙げてきた。また同時にその根治性を得るための条件につき,種々検討を行なつたのでその成績をここに述べてみたいと思う。

 さて教室における部分切除術施行例は93例であるが,教室が開設された昭和34,35年度では積極的に適応を拡げて,かなり進行した症例に対しても施行したが,36年度以降は今回の議題に該当する早期癌に対して主として部分切除術を行なつてきた。その生存率をみると,B1までの症例のうち他の疾患で2名死亡しているが,それを除外すれば5年生存率は100%を示している。すなわち,生存率よりみると充分な根治性があると考えられるが,ある程度の再発の認められることより,この再発の問題について種々検討を行なつた。まず年度別にその再発率をみると,36年度以前では37.5%の再発率であるが,36年度以降は22.0%を示し明らかに向上していることがわかる。この理由は積極的に広範囲切除を行なつてきた結果によると考えられる。すなわち,私共は術前30分にエバンスブルーを経尿道的に腫瘍の基部に注入し,その拡がりがほぼ1.5cm以内におこることから,その範囲を必ず切除するように行なつている。

開創照射療法 松本 恵一
  • 文献概要を表示

 早期膀胱癌の治療法は種々あるが,従来再発がめずらしくなく,他臓器の癌に比して治療成績は見劣りする。癌の早期発見が叫ばれている現在,いくら早期発見がなされても,今まで通りの再発頻度が高い状況では,折角の努力もそれ程の意義をもたなくなつてしまうであろう。

 さて,それではどうしたら再発を防止できるかということであるが,早期癌に対して私のところで,20例に膀胱全摘除術,廻腸導管による尿路変更を行なつた結果,手術死2例,他病死2例で,残り16例は健康な生活をしている。最長生存は4年1ヵ月である。かかる治療を行なうならば治療成績は極めて良好と思われるが,もつと患者に対する負担を軽くし,膀胱の正常機能を完全に保持でき,しかも根治性を有する治療法を求めるのが人道的にも要求されるわけである。

討論
  • 文献概要を表示

Ⅰ.各々の治療法における根治性の問題

1)根治性のある根拠について

 大北 電気凝固術の根治性について:先刻は早期癌の病像を仮に4型に区分して適応を選び,処置すべきであると述べたが,そのことに関し私は次のような形態学的な裏付けがある。すなわちP型は膀胱鏡で必ず発見される有茎性,限局性の乳頭状腫瘍の性格があり,組織学的にもPapillo-epitheliomaの傾向が強く,low grade,low stageであることが多く,周囲の粘膜には変化をきたし難い特殊性がある。したがつて根治性が高いわけである。

 S型は嚢胞形成,陰窩形成を主体とする組織像をもつ型で,癌性変化の進展,拡大は遅いが,充分な広範囲の前癌性変化となりうるPotencyをもつている。

  • 文献概要を表示

 著者等は76名のVasectomy症例について精管再吻合を試み,その臨床成績について観察した。

 再吻合を行なつた理由は再婚のため37例,子供の死亡によるもの28例,その他11例となつている。症例の年令は27才〜55才までで,精管結紮後再吻合までの経過期間は5年以内50例,10年以内19例,10年以上9例である。再吻合の術式は外鼠径輪より陰嚢に至る3吋の皮切を加えて線維性結合織内に埋沒された精管を周囲より剥離游離する。この際睾丸の精管断端にはミルク様液が圧出されることが多く,これを顕鏡すると精子および大型喰細胞が見られる。精管端から生食水を注入して通過障害の有無を確認する。次いで精管の端々吻合を行なうが,この際は丸針により管腔内に絹糸が露出しないように配慮する。吻合後はNylone糸を4ないし5吋にわたつて管腔内に留置し,一端を陰嚢外に出し管腔を確保する。このNylone糸は8日目に抜去する。

検査法

  • 文献概要を表示

Ⅰ.はしがき

 前立腺癌の診断法としては,細胞診の他に直腸内触診法,生検法,X線診断法(尿道膀胱撮影,精嚢撮影,骨盤部単純撮影),酵素学的診断法(血清酸フォスファターゼ測定その他)などがあるが,後2者は主として局所拡大または転移に対する診断法に属する。直腸内触診法は,前立腺癌の初発部位が前立腺周辺部でしかも後面に好発する関係上最も重要視され,スクリーニング法として不可欠であるが,あくまでも疑診の域を脱しない。また生検法は,確診法としての価値が大きく,前立腺への到達径路により種々の術式があるが,侵襲度の大きい開放性会陰式生検法を除いては,小病巣の組織採取が必ずしも容易でない。以下前立腺癌の細胞診につき,われわれの経験を中心として記述する。

Urological Letter

捻転後の壊死性睾丸垂の石灰化,他
  • 文献概要を表示

 泌尿器科医の誰もが,時々睾丸周囲の陰嚢水腫の中に浮遊している滑らかな小さい石灰化物のある例を経験しているにちがいない。しかしそれらは何であろうか。

 著者は最近まで,これらの起原について厳密に考えたことはない。

  • 文献概要を表示

Ⅰ.はじめに

 泌尿器料領域における内視鏡検査法は古い歴史をもち,膀胱鏡検査法をはじめ,すでに前世紀の末に完成されたかの観がある。そのため現在でも,一部では古い形のNitze式膀胱鏡が使用されて居り,最近まで写真用膀胱鏡,手術用膀胱鏡など二,三改良が加えられたに過ぎない。ところが極く最近glassfiberscopeが出現するに及び,今までと全く異なつた方式の膀胱鏡を作製できるようになつた。ひとつはガラス線維を導光体として利用し,体外光源より強力な光を膀胱内に導き照明しようとするものであり,もうひとつはガラス線維は曲つた状態でも像を伝達することを利用し,直線状の内視鏡が挿入できない体腔内をも見ようとするものである。

 泌尿器科医として,膀胱鏡所見をカラー写真に収録したり,テレビに受像したり,または腎盂を何ら手術侵襲を加えずに明視しようと願うのは当然であろう。われわれはカラーテレビに用い得るほど明るい膀胱鏡を作製するには,この新しいglassfiber方式を採用すべきであることを知り,それぞれの試作器を作製することにより一応の望みをとげることができた。すなわち数年前より東北大式写真用膀胱鏡を使用し,鮮明なカラー写真の撮影を行なつてきたが,最近改良を加え,テレビ兼カラーシネ用膀胱鏡,カラーテレビ用膀胱鏡を作製した。また昨年は尿管腎盂鏡を完成,腎盂内病変の内視鏡的診断確立に一歩近づくことができた。

後腹膜平滑筋肉腫の1例 峰山 浩忠
  • 文献概要を表示

Ⅰ.緒言

 後腹膜腫瘍はこれまで我国では約700例報告され,現在ではさほど稀なものではなくなってきているが,一般に後腹膜腔に発生する筋肉腫は稀とされている。

 著者は最近,後腹膜に発生した平滑筋肉腫の1例を経験したので報告するとともに,若干の文献的考察を加える。

  • 文献概要を表示

Ⅰ.緒言

 尿管ポリープは原発性良性尿管腫瘍の中でも比較的稀な疾患で,最近の報告では欧米例についてScott(1963)の144例中27例(18.8%),本邦例では斉藤・浦野(1963)の87例中16例(18.4%)の頻度が掲げられている。著者は最近,尿管結石を合併した本症の1例を経験したので,ここに発表し併せて本邦における尿管ポリープ31症例を中心に若干の考察を行なうことにする。

  • 文献概要を表示

はじめに

 妊娠腎として大きく取り扱われるものの中には,いわゆる内科的腎実質障害性のもののみならず,妊娠子宮の増大による尿路通過障害に起因した二次的な腎障害の例も案外少なくないように思われる。

 このことに関して,産科方面ではすでに1930年代,ようやくX線が臨床上盛んに用いられるようになつてから大いに研究され,洋の東西を問わず,その業績は決して少なくない。一方,泌尿器科領域においては,これらの患者に接する機会の少なかつたためか,一部の外国の成書に散見されるのみで,報告例は少ない。しかし今日Gyneco-logical Urologyがようやく盛んになり産婦人科と泌尿器科との積極的な連携が提唱されだしてからこれらは最も注目される問題の1つである。

  • 文献概要を表示

 外傷性脊髄損傷による神経因性膀胱機能障害患者の尿路管理は原則として保存的治療方針をとるべきであり,頸髄損傷以外では外傷直後より適正な尿路管理を行なつておれば特別な神経外科的または泌尿器科的手術療法の必要なしに一定期間後ほぼ満足すべき排尿状態に至るものが多い。しかし中には保存的療法のみではいつまでたつても効率良好な膀胱を斎らすことができない例もあり,特に外傷直後の尿路管理不良の場合は何等かの積極的排尿効率改善手術を必要とする例が多くなる。

 外尿道括約筋切開術は,Ross, Damanski & Gi—bbon (1958,A,B)が積極的排尿効率改善手術の1つとして提唱したものであるが,彼等が最初に発表した時の成績は必ずしも良好とは言えなかったため多くの追試をうけるわけにはいかなかった。しかしその後の技術的改良により彼等の1963年の発表では成績は飛躍的に向上し,更に1965年の成績では外尿道括約筋切開術57例中86%に満足すべき排尿をみとめているという。

  • 文献概要を表示

Ⅰ.緒言

 膀胱ヘルニアとは膀胱壁の一部が腹壁のヘルニアロより外方皮下に脱出するのをいい,欧米での報告は1605年Platerの第1例以来現在までに400例の多きに達している1)が,本邦における報告例はまだ20例に満たない。

 最近我々は本症の1例に遭遇したのでこれを報告する。

  • 文献概要を表示

 昭和42年8月4日,恩師楠隆光教授は,私達現教室員20数名を残して,突然この世を去られた。今や,大阪大学医学部のみならず,日本泌尿器科学会の誇りであつた楠教授に最後のお別かれをして早くも10日を過ぎ,現在の私達は,やる瀬ない虚脱感におそわれている。

 故楠教授の医学者としての数々の業績上の偉大さに就いては,今更弟子の私が申し上げる迄もないことであるが,我が国に於ける古典的泌尿器科から近代的泌尿器外科への発展,尿路結石症,泌尿器科的内分泌学並びに腎移植の領域に至る迄の極めて広範囲に及ぶ功績は,日本泌尿器科学会の至宝的存在であると信ずる。

--------------------

  • 文献概要を表示

—学会規則及び役員について(1)—

 明治45年(1912年)に日本泌尿器病学会が創立され,同年4月3,4日東大東講堂に第1回総会が開催された。その際に朝倉文三会長はまず会長就任の挨拶を述べた後に議事として学会規則を会員に諮り,それが承認可決された。このことは総会記録に明らかであるが,規則そのものが全然掲載されていない。規則がはじめて雑誌に掲載されたのは第6巻第4号(大正7年1月)で,つづいて第7巻第3号にも掲げてあるが,それはいずれも次に挙げる規則摘要である。

外国文献
  • 文献概要を表示

ZEITSHRIFT FÜR UROLOGIEUND NEPHROLOGIEBand 60 Heft 2, Februar 1967

Der EinfluB der Ischämie auf die Funktion von Nierenhomotransplantaten unter Anwendung einer neuen Methode der Nierentransplantati-on. Eine tierexperimentelle Studie.Erdma-nn, Th.,G.Schneider, K.Buchali, E.Neupert, B.v.Broen und D.Strangfeld 81

Hypernephrommetastase in das gegenseitige Nie-renbecken. Stapor, K.99

内国文献
  • 文献概要を表示

副腎,後腹膜

 ○ 褐色細胞腫と循環血液量,遊佐津根雄,他:麻酔,16;396, 1967.

 ○ 高血圧症とCatecholamine,芹生陽一:最新医学,22;1108, 1967.

  • 文献概要を表示

 「小児の下部尿路疾患に対する手術の適応」はDr.R.Keith Water-house (N.Y.State Univ.)が司会して,Drs.Guy W, LeadbetterJr.(Massachusetts General Hosp.),Alexander J.Michie (Pennsylva-nia Univ.),John H.McGovern(Cornell Univ.),James F. Glenn(Duke Univ.)がパネリストで行なわれた。Dr.McGovernは尿路感染症を有する小児に膀胱頸部Y-V形成術のみを行ない,4年以上follow-upし得た患者の結果について述べた(第3表)。このうち術前41あつた逆流が,Y-V形成術のみにより,尿管再移植術なしに,23になつたのは注目に価する。Dr.Glennは膀胱頸部狭窄の外科的治療法として,TUR,Y-V形成術,尿道切開術を行なつているが,尿道ブジーによる拡張術には疑問を持つていた。Dr.Leadbetter Jr.も尿道ブジーによる拡張術よりも,尿道切開術の方が良いといつていた。その理由は,尿道切開術は切開線が規則的で,最小の瘢痕組織を残して治癒し,長期間十分な内腔を有している。これに反して尿道ブジー拡張術は組織の切れ目が不規則で,多くの瘢痕組織を残す。

教室だより

群馬大学 篠崎 忠利
  • 文献概要を表示

 我が教室は昭和36年9月1日東京医科歯科大学より志田圭三先生の着任により発足した教室である。同年10月に千葉大学泌尿器科教室より助教授として島崎淳先生を迎え,37年4月には群大医学部卒業の新しい医局員4人が入局しようやく教室の体制ができ上がり,昭和38年10月に教室の指導陣強化のために高崎国立病院泌尿器科部長浦野悦郎先生,社会保険川崎中央病院泌尿器科部長林朴一先生が講師陣として加わつて更に充実し,現在に至つている。教室開設以来6年毎年若い人達が入局し現在教室員総勢は志田圭三教授以下17名となり臨床,研究,レジヤーと各方面に大いに若さを発揮してハッスルしている所である。

 教室の特徴は,とにかく全員が若いということであろう。教室開設以来患者数は年々増加し,しかも症例が非常に豊富であることは,当教室の特徴といえるようである。42年度は新入医局員が1人であつたのは残念であるが,すでに来年度入局者2人確定しているのは当教室の発展にとつて心強いと感激している。

基本情報

03852393.21.9.jpg
臨床泌尿器科
21巻9号 (1967年9月)
電子版ISSN:1882-1332 印刷版ISSN:0385-2393 医学書院

文献閲覧数ランキング(
6月7日~6月13日
)