第55回日本泌尿器科学会総会シンポジアム 膀胱癌—治療を中心にして
膀胱部分切除術
鈴木 騏一
1
Kiichi SUZUKI
1
1東北大学医学部泌尿器科学教室
pp.769-771
発行日 1967年9月20日
Published Date 1967/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200240
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私共は膀胱癌に対する治療を,膀胱全摘除術ならびに部分切除術を中心に行なつてきたが,とくに早期癌に対しては部分切除術を取り挙げてきた。また同時にその根治性を得るための条件につき,種々検討を行なつたのでその成績をここに述べてみたいと思う。
さて教室における部分切除術施行例は93例であるが,教室が開設された昭和34,35年度では積極的に適応を拡げて,かなり進行した症例に対しても施行したが,36年度以降は今回の議題に該当する早期癌に対して主として部分切除術を行なつてきた。その生存率をみると,B1までの症例のうち他の疾患で2名死亡しているが,それを除外すれば5年生存率は100%を示している。すなわち,生存率よりみると充分な根治性があると考えられるが,ある程度の再発の認められることより,この再発の問題について種々検討を行なつた。まず年度別にその再発率をみると,36年度以前では37.5%の再発率であるが,36年度以降は22.0%を示し明らかに向上していることがわかる。この理由は積極的に広範囲切除を行なつてきた結果によると考えられる。すなわち,私共は術前30分にエバンスブルーを経尿道的に腫瘍の基部に注入し,その拡がりがほぼ1.5cm以内におこることから,その範囲を必ず切除するように行なつている。
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