腎と透析 97巻4号 (2024年10月発行)

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特集　AIことはじめ

総論：人工知能とは？

人工知能の歴史神田　英一郎 97巻4号 , 2024年10月 , pp.523-528

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はじめに

　デジタルトランスフォーメーション（digital transformation：DX）やデータ活用がいわれるようになり，かなり時間が経過した。しかしながら，わが国のデジタル競争力は他国に比べ劣っており，積極的に推進していかなければならない状況にある。さらに，生成AI（generative AI）が近年リリースされ，ビジネスで活用されるようになってきたが，わが国ではその利用も進んでいない。そこで，経済産業省は生成AIが生産性や付加価値の向上などに寄与する可能性があることを指摘し，生成AIの利用を推奨している^1）。このような状況を考えると，医療においても生成AIが身近なものとなり，活用する機会が増えると容易に予想される。生成AIを使いこなすためには，AI自体についてある程度の理解しておくことが必須となる。そこで本稿では，年代に沿ってAIの発展について記述する。なお，AIブームの年代は文献によって異なっており，決まったものはない。

初心者がAIを理解するために岩藤　和広 , 陣内　彦博 97巻4号 , 2024年10月 , pp.529-533

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はじめに

　医療従事者がAI（artificial intelligence）に関与する場合，エンジニアとしてAIを直接開発するよりも，AI開発の指揮を執ったり，ユーザーとして現場でAIを活用することのほうが多いと考えられる。そこで本稿では，医療従事者がAIを利用するにあたり，どうしても理解しておくべき重要な概念や初心者が知っておくべき入口を紹介していく。

知っておくべき機械学習のアルゴリズム濱田　浩幸 , 野里　蒼天 , 田代　康介 , 友　雅司 , 金　成泰 , 山下　明泰 97巻4号 , 2024年10月 , pp.535-539

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はじめに

　Artificial intelligence（AI：人工知能）という用語は，John McCarthyらが1956年夏に開催したダートマス会議の提案書に初出した^1）。その会議において，「計算機に人間らしさを求めるAI実現への大きな課題5つ」が提言され，その1つに「コンピュータが自己の能力を改善する学習法を開発すること」が含まれた。この課題は，今日，機械学習（machine learning）と呼ばれ，世界規模で研究開発が推進されている。これまでに，データの分類や回帰に資する多種多様な機械学習の手法（アルゴリズム）が構築された。それらの多くは，① 着目している現象や問題にかかわるデータを多量に集め，② そのデータをもとにあらかじめ準備されている計算方法や処理方法を現象や問題に適合させ（教師あり学習），③ 適合させた計算方法や処理方法の汎用性を評価し，④ 社会実装を実現する，という手続きを採用している。本稿では，データの二値分類に焦点を絞り，上記の手続きに沿って，利用頻度の高いアルゴリズムを解説したい。

Generative AIは医療を変えるか河添　悦昌 97巻4号 , 2024年10月 , pp.540-545

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はじめに

　ChatGPTに代表されるgenerative AI（artificial intelligence：人工知能）の進化は加速度的に進んでおり，ニュースなどで耳にしない日はない状況である。柔軟で再利用可能なgenerative AIの並外れた急速な発展は，われわれの生活をより便利で効率的なものにするだけでなく，新たな科学的発見の可能性をもたらすことが期待されている。また，人口の高齢化に伴う医療費の高騰が危惧されるこれからの医療に対しても，新たな可能性をもたらすことが期待されている。本稿では，generative AIの仕組みと医療におけるユースケース，ならびに社会実装に向けた課題について概説する。

AIと医療倫理中澤　栄輔 97巻4号 , 2024年10月 , pp.547-551

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はじめに

　AIが医療のあり方を変えようとしている。医療の領域だけではない。ChatGPTに代表される生成型AIの急速な発達と普及を経て，AIがわれわれの社会を変えようとしている。AIはいったい，どこまでわれわれの社会を変えるのだろうか。AIは，倫理をも変えるのだろうか。AIによって，医療倫理が更新されるのだとしたら，それはどう変わるだろうか。

AI関連技術の発展と医学への応用

透析患者の生涯医療を支えるサイバニクス医療健康イノベーション山海　嘉之 97巻4号 , 2024年10月 , pp.552-562

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はじめに

　日本透析医学会では，慢性腎臓病（chronic kidney disease：CKD）患者の日常医療に関して，「合併症からの救済，克服とQOLの向上によるwell beingの獲得」の重要性が掲げられている。CKD患者にとっては，病院と患者の生活空間がシームレスにつながり，日常的に，透析治療・機能改善・健康管理・介護支援を異業種連携・異分野連携で実現していく取り組みが重要となる。

バイオインフォマティクス技術の医学への応用櫻井　鉄也 , 今倉　暁 , 二村　保徳 , 叶　秀彩 97巻4号 , 2024年10月 , pp.563-566

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はじめに

　近年の大規模言語モデル（large language model：LLM）の発展など，人工知能（artificial intelligence：AI）に新たな技術が登場し，AIの活用範囲が急速に拡大している。これまでのAIの主要なタスクであった予測と分類に生成が加わり，また，膨大なデータによるトレーニングで構築された基盤モデル（foundation model）を前提とした多様な作業をこなすAIの利用も可能となってきている。医療分野においても，データ分析や予測，検索といった使い方だけでなく，コミュニケーション支援，レポート生成，教育ツールやトレーニングプログラムの開発などといった作業を支えるツールとしての利用の検討も拡がっている。

AI問診で実現する医療現場の働き方改革阿部　吉倫 97巻4号 , 2024年10月 , pp.567-571

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はじめに

　2024年4月に「医師の働き方改革」が施行され，医師の時間外労働に上限が設定された。これを受けて各医療機関では，DXの推進や医師の業務の一部をほかの医療従事者に移管する「タスク・シフティング」，業務を共同化する「タスク・シェアリング」など，さまざまな手法での効率化が進められている。

治療アプリの社会実装：保険適用までの道のり阿河　光治 , 佐竹　晃太 97巻4号 , 2024年10月 , pp.572-576

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はじめに

　2023年6月に閣議決定された規制改革実施計画では「プログラム医療機器（SaMD）等の開発・市場投入の促進」が盛り込まれ，治療アプリを含むプログラム医療機器の承認制度や償還価格の評価方法が大きく見直されようとしている^1）。これまでプログラム医療機器は，ハードウエア医療機器や医薬品と同様の枠組みで薬事承認や保険適用が行われていた。治療アプリには，ハードウエア医療機器や医薬品と比較して人体へのリスクが少なく企画開発サイクルが短いといったメリットがあるが，これらの利点が現状では十分に生かしきれていない。その結果，2024年6月現在，わが国で保険適用となり処方可能な治療アプリは2つにとどまっており，これは米国やドイツと比較すると少ない状況である^2）。今後制度の見直しが進むなかで，二段階承認や選定療養の活用などが行われ，治療アプリを社会実装するハードルが下がると考えられる。本稿では，ハードウエア医療機器や医薬品と同様の古典的プロセスを経て保険適用となった治療アプリに関して記述し，治療アプリ保険適用の「現在地」を概観する。

各論

画像診断におけるAI活用郭　森 , 菊田　潤子 , 高林　海斗 , 鎌形　康司 , 青木　茂樹 97巻4号 , 2024年10月 , pp.577-583

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はじめに

　X線，CT，MRIなどの医用画像は体内組織を詳細に視覚化できるため，臨床診断において重要な役割を果たしている。さらに近年，デジタル技術の進化に伴い，これらの医用画像の撮像速度や解像度が飛躍的に向上し，疾患の早期診断や治療効果の評価に不可欠なものとなっている。

臨床診断におけるAI活用志水　太郎 97巻4号 , 2024年10月 , pp.584-588

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はじめに：診断支援システムが重要となる文脈～診断エラーとは何か

　今回のテーマは診断である。診断は常にエラーのリスクを伴う。実は診断エラーは患者安全全体における最大規模の脅威とされている^1）。米国での最近の研究であるが，成人患者の約5％が，毎年外来診療で診断エラーを経験していると推定されるという事実は驚嘆に値する^2）。その予後も軽視できるものではなく，同じ研究で，これらの診断エラーの33％が「重大な永久的損傷」または「即時もしくは避けられない死亡」をもたらしていることが判明している^2）。世界保健機関（WHO）も近年，プライマリケアにおける安全性と診断精度の重要性を指摘しており^3），実際筆者も参画するWHO/World Patient Safety Day 2024のテーマはimproving diagnostic safetyというように，話題としても世界の中心的なものとなっている。

病理診断におけるAI活用松井　功 , 松本　あゆみ , 猪阪　善隆 97巻4号 , 2024年10月 , pp.589-593

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はじめに

　近年，医療分野におけるAI（人工知能）の活用が急速に進展している。特に画像診断領域では，深層学習（ディープラーニング）技術の発展により，人間の専門医に匹敵する，あるいはそれを上回る性能を示すAIが次々と報告されている。腎臓病学の分野でも，腎生検標本の病理診断にAIを応用する試みが活発に行われており，その潜在的な有用性が注目を集めている。本稿では，腎病理診断におけるAI活用の現状を概説するとともに，この分野における最新の技術動向や今後の展望，さらには実臨床応用に向けた課題について論じる。

消化器内視鏡診療におけるAI活用菊池　亮佑 , 中井　智子 , 小澤　毅士 , 柴田　淳一 , 多田　智裕 97巻4号 , 2024年10月 , pp.594-599

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はじめに

　医療現場における人工知能（artificial intelligence：AI）を応用する研究が加速し，消化管内視鏡分野では，病変の検出や鑑別の補助を行う内視鏡AIの開発が行われてきた。現在では臨床現場での実装化が進んでおり，特に下部消化管領域において，大腸ポリープを検出および鑑別する内視鏡AIがすでに複数臨床で使用されている。また，上部消化管領域においても，2022年9月，富士フイルム株式会社（富士フイルム社）が開発した病変可能性部位への観察者の注意を喚起して，観察者が画像を解釈し病変検出することを支援する内視鏡AIが製造販売承認された。さらに2023年12月，株式会社AIメディカルサービス（以下，AIM社）が開発した，観察者が胃粘膜から発生する上皮性腫瘍（腺腫，粘膜層または粘膜下層にとどまっている早期胃癌）を疑う病変検出することを支援するgastroAI^TM-model Gが，厚生労働省より承認された。今回は，内視鏡AIの有用性および各消化管領域（食道，胃，大腸）における最新の内視鏡AIに関する報告を概説する。

デジタル技術によるCKDを含めた生活習慣病の医療DXの進歩佐藤　直市 , 山下　貴範 , 中島　直樹 97巻4号 , 2024年10月 , pp.600-604

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はじめに

　慢性腎臓病（chronic kidney disease：CKD）をはじめとする生活習慣病の医療では，患者個人が長期にわたり自発的に療養行動に取り組むことへの支援が望まれる。一方でCKDの重症化予防においては継続的な治療が求められるが，治療を継続しない患者が多数いることが課題となっている^1）。またわが国における2022年の高齢化率は29.1％に達し，高齢CKD患者では多職種による介入，地域医療連携を円滑に進めることが課題となっている。こうした課題を解決するために，標準規格を用いたシステム連携により保健・医療・介護の情報の相互運用性を担保し，その利活用を積極的に推進していくことが重要である。国は，医療DX政策を推進する基盤として「全国医療情報プラットフォーム」の整備（図1）^2）を進めている。一方で，医療におけるDX（digital trans-formation）を進めるためには，疾患ごとの臨床項目の標準化，病状を客観的に理解しやすい形で示す診療データの収集，患者自身が保健医療情報をPHR（personal health record）として生涯にわたり活用するためのユースケース（use case：UC）を整備することで，患者エンゲージメントの向上につなげることが重要となる。また筆者らは，診療プロセス管理モデルとして標準クリニカルパス（ePath）システムの開発・実装を進めてきた。ePathにより構造化された診療データでは，迅速な解析と臨床現場へのフィードバックが可能であり，AIへの親和性も高い。本稿では，診療情報を標準化し利活用することで期待される，生活習慣病の医療のDXの進歩について概説する。

透析医療へのAIの活用宮田　敏男 , 加藤　翔 , 佐々木　友謙 , 朝倉　敬喜 97巻4号 , 2024年10月 , pp.605-609

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Ⅰ　AIの医療応用の課題

　医療分野への人工知能（artificial intelligence：AI）の応用は大きな可能性を秘めたテーマであるが，研究開発に重要な役割を担うステークホルダーが，個々に課題を抱えている状況である。医療者（医療機関）は，医療の課題や問題（ニーズ）を熟知し，豊富な医療データやアイデアなどを有してはいるものの，AIの手法やAIベンダーとのネットワークが乏しく，研究開発に具体的に着手できない状況である。一方，AI技術を有するITベンダーは，成長が見込める医療分野への応用に興味はあるものの，医療者（医療機関）とのネットワークが少ないために医療ニーズや医療データにアクセスしにくく，さらに薬機法など薬事行政の経験も不十分なために実用化は簡単ではない。AIの医療応用を事業化したいと考える製薬・ヘルステック企業も，研究から事業開発まで自社単独ですべて対応することは，時間的にもリソースの観点からも困難な場合も多いといえる。そこで，課題を有する医療者（医療機関），AI技術を有するITベンダー，出口の製薬・ヘルステック企業が当初から連携し，開発を進める枠組みが重要になる。

バスキュラーアクセスにおけるAI活用長沼　俊秀 97巻4号 , 2024年10月 , pp.610-612

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はじめに

　慢性腎不全の治療として血液透析は広く行われているが，透析の効率と患者の生活の質は，バスキュラーアクセス（vascular access：VA）の管理に大きく依存している。VAのトラブルは透析の質を直接的に低下させるため，その診断と管理の精度向上は透析医にとって重要な課題である。最近では，人工知能（artificial intelligence：AI）がこの分野でも注目されはじめ，診断から治療計画，予後予測に至るまで，多方面での利用が模索されている。本稿では，AI技術がバスキュラーアクセス管理にもたらす進歩の可能性を紹介する。

循環器診療におけるAI活用後藤　信一 97巻4号 , 2024年10月 , pp.613-617

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はじめに

　人工知能（artificial intelligence：AI）という単語は，今や一度も耳にしない日はないほど「普通」の言葉になった。AI技術もさまざまな場面で使われており，われわれの日常生活に溶け込んでいる。例えば，「スマートフォンのロックを外すための顔認証」，「車の運転中に，車線から外れると戻してくれる機能」，「インターネットで曖昧な単語で検索しても，求める結果を推測してみつけてくれる機能」など，すべてAI技術により支えられている。AIはもう「すごい技術」として認識されるフェーズを通り過ぎ，意識されることなく使われる「普通の」技術になってきている。AI技術の発展は医療領域でもめざましい^1～4）。特にニューラルネットワークにより構築されるAIは，その汎用性の高さから，あらゆる医療データに適用されうるが，なかでも循環器領域はAIの研究が最も進んでいる分野の1つである^4～12）。本稿では，これらの実例に触れつつ，循環器分野でのAI活用の実際と注意点について論じる。

腎臓リハビリテーションにおけるAI活用上月　正博 97巻4号 , 2024年10月 , pp.618-622

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はじめに

　人工知能（artificial intelligence：AI）の進歩のスピードが加速している。AIは記憶力や計算能力がヒトより勝っており，医学情報などを網羅的に解析するテキストマイニングや，ビッグデータ分析（データサイエンス）・機械学習・深層学習などが行われている。腎臓病に対しても，腎生検の画像分析，重症化予防，透析機器のための重症化進行予測分析，腹膜透析の在宅管理，エリスロポエチン最適投与管理など，さまざまな試みがされている。腎臓リハビリテーション（腎臓リハビリ）は，腎臓病患者の日常生活動作（ADL）・QOLの向上，腎不全・心不全重症化予防などの効果で最近注目を集めている医療である。本稿では，腎臓リハビリに果たすAIの役割について，今後の期待も込めながら解説する。

リアルワールドデータ活用におけるAIの可能性髙山　厚 , 川上　浩司 97巻4号 , 2024年10月 , pp.623-627

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はじめに

　近年，リアルワールドデータ（real world data：RWD）と人工知能（artificial intelligence：AI）技術の融合による革新的な技術開発が進んでいる。医療におけるRWD，AI技術に関する各国行政の対応，および関連する医学研究を通して，RWD活用におけるAIの可能性についての最新知見を共有する。

巻頭言

小児腎移植の変遷を経験して濱崎　祐子 97巻4号 , 2024年10月 , pp.521-522

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　筆者が小児腎不全医療に携わるようになったのは，今から約20年前になる。東京都立清瀬小児病院（現東京都立小児総合医療センター）で小児の腎不全医療を学ばせていただいたのがはじまりである。当時は小児の維持透析を行える施設が少なかったため，全国から症例が集まってきており，さまざまな年齢や疾患の症例を管理していた。そして，小児の腎不全医療では腎移植が最も生理的な治療であるため，腎移植を行うことを目標に管理され，透析を導入してから数年後に腎移植を計画していた。先行的腎移植（透析をせずに移植をする方法）がほとんど行われていなかった時代である。

東京腎生検カンファランス

腎生検所見から何を学ぶか(No.66)　感染性心内膜炎に合併した多彩な免疫沈着物を認めた腎症の1例原　理沙 , 飯島　桃子 , 関根　章成 , 井上　典子 , 田中　希穂 , 乳原　善文 , 澤　直樹 , 長谷川　詠子 , 河野　圭 , 大橋　健一 , 多月　卓 , 植木　力 , 山本　暁邦 , 佐藤　敦彦 , 松本　重文 , 冨田　茂樹 , 佐伯　春美 , 上田　裕之 97巻4号 , 2024年10月 , pp.629-635

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臨床診断名

感染性心内膜炎に伴う感染関連糸球体腎炎

腎生検所見から何を学ぶか(No.67)　急激な腎機能障害，心機能障害を呈しcrystalglobulin-induced nephrologyが疑われた1例潮　雄介 , 関　桃子 , 須山　真弓子 , 小林　静佳 , 眞部　俊 , 片岡　浩史 , 星野　純一 , 井藤　奈央子 , 吉澤　佐恵子 , 種田　積子 , 本田　一穂 , 小池　淳樹 , 清水　章 , 高野　秀樹 97巻4号 , 2024年10月 , pp.636-644

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臨床診断名

Crystalglobulin-induced nephropathy

研究

3年間に外来透析施設で経験した新型コロナウイルス感染症松本　博 , 村井　誠三 97巻4号 , 2024年10月 , pp.646-649

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はじめに

　透析患者において2020年3月1日に国内最初の新型コロナウイルス感染症（coronavirus disease 2019：COVID-19）が発生し，当院では同年4月に患者3名，看護師3名のクラスターを経験した^1）。それ以後，ウイルス変異，新型コロナワクチンの薬事承認，モルヌピラビルの特例承認など，医療環境は変化した。当院における第1波から第8波までの感染状況を明らかにするために検討を行った。

症例

急性巣状細菌性腎炎を呈した若年成人女性の2例栗原　功 , 西岡　宏泰 , 石川　綾子 , 小原　克也 , 山岸　俊夫 97巻4号 , 2024年10月 , pp.650-653

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はじめに

　急性巣状細菌性腎炎（acute focal bacterial nephritis：AFBN）は腎盂腎炎の炎症が腎実質に波及し，その病変が画像診断にて明らかになったものであり，腎盂腎炎と腎膿瘍の中間的な疾患概念である^1）。その定義は，「腎臓の急性局所性感染による膿瘍形成を伴わない腫瘤性病変」であり，腎感染症のなかで「膿瘍を伴わず，局所的あるいは全体的な腎実質の高度異常を呈して臨床経過が長引き，障害された実質の萎縮を呈した急性腎感染症の患者」を，「合併症をもたずに抗菌薬治療に速やかに反応する急性腎盂腎炎の患者」と，「腎膿瘍または腎外膿瘍を呈する患者」から区別してつけられた病名といえる^2）。

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目次 97巻4号 , 2024年10月 , pp.518-519

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投稿規定 97巻4号 , 2024年10月 , pp.654-655

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バックナンバー 97巻4号 , 2024年10月 , pp.655-655

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あとがき・次号予告 97巻4号 , 2024年10月 , pp.656-656

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基本情報

腎と透析
97巻4号
(2024年10月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0385-2156 東京医学社

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