循環器診療におけるAI活用

AI in Clinical Cardiology

はじめに

　人工知能（artificial intelligence：AI）という単語は，今や一度も耳にしない日はないほど「普通」の言葉になった。AI技術もさまざまな場面で使われており，われわれの日常生活に溶け込んでいる。例えば，「スマートフォンのロックを外すための顔認証」，「車の運転中に，車線から外れると戻してくれる機能」，「インターネットで曖昧な単語で検索しても，求める結果を推測してみつけてくれる機能」など，すべてAI技術により支えられている。AIはもう「すごい技術」として認識されるフェーズを通り過ぎ，意識されることなく使われる「普通の」技術になってきている。AI技術の発展は医療領域でもめざましい^1～4）。特にニューラルネットワークにより構築されるAIは，その汎用性の高さから，あらゆる医療データに適用されうるが，なかでも循環器領域はAIの研究が最も進んでいる分野の1つである^4～12）。本稿では，これらの実例に触れつつ，循環器分野でのAI活用の実際と注意点について論じる。