IgA腎症におけるエンドセリン受容体拮抗薬の腎保護効果

Endothelin receptor antagonist inhibits the progression of renal damage due to IgA nephropathy

はじめに

　IgA腎症は発見されてから50年以上経過したが，20年以内に30～40％のIgA腎症患者が末期腎不全に至る^1）。最近まで疾患特異的な治療法は存在していなかったが，その病態生理が解明されていくにつれ，エンドセリン-1（endothelin-1：ET-1）がエンドセリンA（endothelin A：ETA）受容体（ET_AR）を介してIgA腎症による炎症のcommon pathwayに寄与することが明らかとなってきている。本稿では，IgA腎症におけるET-1の役割，そしてET受容体拮抗薬（ETRA）の新規治療薬としての可能性に焦点を当て，概説する。