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はじめに
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)をはじめとする生活習慣病の医療では,患者個人が長期にわたり自発的に療養行動に取り組むことへの支援が望まれる。一方でCKDの重症化予防においては継続的な治療が求められるが,治療を継続しない患者が多数いることが課題となっている1)。またわが国における2022年の高齢化率は29.1%に達し,高齢CKD患者では多職種による介入,地域医療連携を円滑に進めることが課題となっている。こうした課題を解決するために,標準規格を用いたシステム連携により保健・医療・介護の情報の相互運用性を担保し,その利活用を積極的に推進していくことが重要である。国は,医療DX政策を推進する基盤として「全国医療情報プラットフォーム」の整備(図1)2)を進めている。一方で,医療におけるDX(digital trans-formation)を進めるためには,疾患ごとの臨床項目の標準化,病状を客観的に理解しやすい形で示す診療データの収集,患者自身が保健医療情報をPHR(personal health record)として生涯にわたり活用するためのユースケース(use case:UC)を整備することで,患者エンゲージメントの向上につなげることが重要となる。また筆者らは,診療プロセス管理モデルとして標準クリニカルパス(ePath)システムの開発・実装を進めてきた。ePathにより構造化された診療データでは,迅速な解析と臨床現場へのフィードバックが可能であり,AIへの親和性も高い。本稿では,診療情報を標準化し利活用することで期待される,生活習慣病の医療のDXの進歩について概説する。
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