公衆衛生 73巻2号 (2009年2月)

特集 公衆衛生の人づくり・1 変わりゆく地域保健の人材育成

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 平成6年に新たに制定された地域保健法に基づき,保健所は地域の専門的・技術的拠点として位置づけられました.また,全国の市町村には保健センターが整備され,住民に身近な健康診査等の保健サービスは市町村が担うことになりました.

 各市町村は健康診査の受診率を向上させるなど,地域保健に関するさまざまな取り組みを行ってきましたが,生活習慣病の増大を阻止するには,日本人の豊かで便利な生活を健康づくりの視点で見直す必要があります.

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 戦後GHQの指導の下に,保健所法による地方の公衆衛生行政の枠組みが構築された.それからの約50年間は都道府県の出先である保健所を中心として公衆衛生行政が展開されてきたが,その間に急激な人口の高齢化と出生率の低下,疾病構造の変化,国民のニーズの多様化や生活環境問題に対する住民意識の高まり等の要因を背景に,保健所を中心とした保健サービスの供給体制がこのような変化に対応していないという基本認識に基づき,平成6年に地域保健対策の見直しが行われた.平成6年の地域保健対策見直しの基本的な視点は,それまでの都道府県中心の体系から市町村の役割重視への転換,保健所の機能強化,保健・医療・福祉の連携,マンパワーの確保・充実であった.

 その後,住民に身近な基本的な保健サービスは市町村が担うべきであるという考え方の下に,介護や精神保健をはじめ多くの分野で制度改正が行われた.一方,SARSや新型インフルエンザをはじめとする感染症対策,食品保健等の課題に対処するため,保健所の危機管理対応への体制強化が検討課題となっている.さらに,平成18年の医療制度改革では,それまで公衆衛生,地域保健行政の体系の中で実施されてきた生活習慣病の健診,保健指導が医療保険の保険者に義務付けられる制度改正が行われた.この制度改正は,戦後わが国の保健医療行政の基本的考え方,つまり公衆衛生,保健サービスは一般衛生行政で,疾病の治療は医療保険でという基本的枠組みの一部が大転換された.併せて,平成18年度の医療制度改革では,医療計画制度の見直しが行われた.この医療計画制度の見直しは,糖尿病等の生活習慣病やがん対策の分野では地域保健に直接関連する多くの課題と役割が投げかけられており,保健所や市町村の一般衛生行政部門の側からどのように医療計画の策定プロセスに関わっていくかという新たな課題が突きつけられている.このような地域保健や医療制度改正の流れを踏まえて,地域保健の現状と課題を整理し,今後の方向について私見を述べたい.

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 地域の保健活動の主体が保健所から,市町村,そして平成20年度からは特定健診・特定保健指導の導入により保険者に位置づけられるようになるなど,地域保健従事者(都道府県および市町村の行政機関において,地域保健・福祉部門に所属している医師,歯科医師,保健師,管理栄養士等の,主に対人保健分野に従事する者)が業務を遂行するために必要な能力を開発するための教育(現任教育)と,その位置づけに,どのような課題が生じてきているだろうか.

 本稿では,地域保健の現場を支える人材の育成を取り巻く現状と課題について,筆者らの視察事業や人材育成研修実践の経験等を踏まえて考えてみたい.

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 人の健康を取り巻く環境は時代の変遷と共に絶え間なく変化するものであり,常により良い公衆衛生対策を実行するためには不断の探求心が不可欠だ.また,住民が住まい生きる地域社会の実情は様々であるため,画一的な方法論は通用せず,各自治体が独自の工夫を行うことが求められている.結果として純粋な研究職でなくとも,公衆衛生技術職が常に理論と実践を包括して活動することは,至極当然な帰結である.公衆衛生はウィンスロウの定義の通り「疾病を予防し健康を増進する『科学』でありかつ『技術』」なのだ.

 しかしながら,現在,地域の第一線で活動する公衆衛生技術職の研究活動が非常に厳しい環境に置かれている.もちろん非常に闊達な研究活動を行っている保健所・保健センター,あるいは職員も存在するが,全体的には沈滞感が感じられる.それを象徴しているのは日本公衆衛生学会総会ではないだろうか.まだ昭和と呼ばれていた頃の総会抄録集を開くと,日々の活動の中からの疑問や探求心など発表者の高揚感や現場の熱気が,肉筆のB5版の紙面から湧き出してくるような錯覚を感じる.会場においても,学会の大家から就職したての青臭い新人職員まで,健康問題の「現実」にこだわった様々な価値観が交錯し,種々の分野で公衆衛生に関わる者が一堂に会して意見交換がなされる,これが公衆衛生の研究の魅力そのものではなかったか.

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 不易流行という言葉がある.時代が大きく変化するにつれて,保健所に求められる役割も変わらざるを得ない.しかし,本質的に維持すべきものも忘れてはならない.激動の時代には,本質的なコアの役割を見据えながら,時代の要請にも応えられるしっかりとした専門機関としての土台を築くことが,間違いのない方法と考える.まさに「人は石垣,人は城」であり,頼りになる専門家集団こそがその土台である.

 時代に流されず,現実的な限界にも縛られず,直面する議論から少し離れて,公衆衛生の本質に立ち帰りながら,保健所の役割と価値,さらに人材育成のポイントを考えたい.

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保健師活動のコアは何か?

本誌編集室(以下,本誌) 地域保健法施行以降,保健衛生部門の再編成が行われ,特に保健師の分散配置が進む自治体においては,保健師の基本的技量であるはずの個別ケア(訪問指導等)を敬遠する保健師がいたり,その逆もあると聞きます.激動する地域保健行政において,公衆衛生マインドを失わず,持てる力を発揮できるような保健師を育成するために,本日は日本看護協会常任理事の井伊久美子先生に,必要な教育カリキュラムや卒後教育,研修などのあり方についてお話を伺いたいと思います.まずは,保健師活動のコアは何かからお話をいただけませんか.

井伊 『保健師活動指針Q & A』(1993年日本看護協会保健師委員会発行)があり,そこで丸山博先生の『乳児死亡』という本を紹介していて,「乳児死亡と示されている数は単なる数字ではなく,その児の生きたいという願いや母親の嘆きが隠されていることを思う時,いっぺんの数字が血の通った数字として迫力をもってその改善を訴えてくる」という文章があります.これは,数で表わされる「1」を見たときに,たとえば1人のお母さんの悲しみ,1人のお母さんの生活の困窮度,その人の存在というものを明確にイメージできるか.個人の問題から,その人の住んでいる地域社会,そこに関わっている様々な社会的な課題などを連動して想像できるか,ということを表していると思います.

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 食中毒,特に細菌やウイルスなど病原微生物の関与が疑われる食中毒が発生した際には,感染症対策,食中毒対策の両面からの対応が必要であり,保健所においても,保健師,食品衛生監視員が協働して調査に当たることが求められている.筆者が八王子保健所長に在職していた折に,腸管出血性大腸菌O157による食中毒が,同時期に,互いに接触のない3家族で散発する事例を経験したが,このときには,保健師と食品衛生監視員が一緒に家庭訪問を行って調査するなど,連携して疫学調査を行い,和風キムチを原因食品と疑って,都の情報交換会議において,同時期に隣接する他の保健所管内で発生していたO157散発事例も含めて,和風キムチを原因食品と断定できた.これによって健康被害の拡大を未然に防ぐことができた1,2)

 また八王子保健所管内の病院および老人保健施設で水道施設として利用していた井戸で汚染事故が発生した際には,環境衛生監視員,食品衛生監視員,医療監視員が連携して立入調査を行い,飲料水の使用制限(飲用中止),代用水の確保(市からの給水車の応援),厨房の衛生検査などによって,健康被害の拡大を生じることなく,事態の収拾に至った事例も経験した3)

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 「全国いきいき公衆衛生の会」は,主に保健所や市町村で公衆衛生活動に携わっている医師,歯科医師,保健師,栄養士,歯科衛生士,獣医師,薬剤師,理学療法士,作業療法士,事務吏員,さらには住民等がそれぞれの地域での特徴ある活動について学ぶため,自主的かつ定期的に交流を行い,公衆衛生活動の方向性やその具体的な進め方について検討していこうと活動をしている組織です.地域での実践事例を共有化して,地域保健活動の質的向上に向けた現場からの方法論を提案し,人材育成にも繋がる活動をしています.現在「全国いきいき公衆衛生の会」(以下,「いきいきの会」)の会員は約500名.日本公衆衛生学会自由集会の他,サマーセミナーの開催,出版活動,ニューズレターの発行もしています.特に,現場での公衆衛生活動から実践的方法論を構築することを主眼としており,そのための交流の場を確保することも大切にしています.共通する理念としては,全国の「事例から学ぶ」こととしており,「住民から学ぶ」あるいは「住民とともに学ぶ」という姿勢を信条にしています.九州,中四国,東海等ではそのブロック内で仲間が集まり,全国と同様に事例から学ぶ活動をしています.

 「いきいきの会」は昭和63年,日本公衆衛生学会(札幌)自由集会後に結成され,「さあ,今!いきいきとした保健所活動を!」をテーマに,星旦二先生(首都大学東京)らの呼びかけで約500名が参加しました1).私自身この会と出会って早18年.振り返ってみると「いきいきの会」を通じて多くの出会いがあり,その時その時の出会いが今の自分を支えてくれているネットワークとなっています.まさにこの会に育てていただいたと感謝しています.

視点

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管理栄養士の専門性

 本年度より,生活習慣病対策として特定健診・特定保健指導が始まり,その指導の担い手として医師,保健師とともに,管理栄養士が名を連ねた.また,食育推進基本計画では,管理栄養士らが住民の地域での生涯にわたる適切な食生活の実践を支援することが求められている.生活習慣病の予防や食育の推進などに,管理栄養士がその専門性を発揮するときが来た.

 平成13年の栄養士法の一部改正により,管理栄養士の業務が定義づけられ,また平成15年には健康増進法の施行により,特定給食施設における栄養管理基準が示された.傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導,個人の身体状況や栄養状態等に応じた専門的な栄養の指導,特定の多数人を対象に,利用者の身体状況,栄養状態,利用の状況等に応じた特別の配慮を必要とする給食管理等々が盛り込まれている.つまり,個々人の身体状況,栄養状況等に応じてアセスメントを十分に行い,計画を立て,実践できるように支援し,モニタリングをしながら評価も行っていく職種が管理栄養士であると明示されたのである.さらに平成17年に策定された日本人の食事摂取基準は,従来から続く国民健康・栄養調査とともに栄養管理や栄養指導を行っていく上で,強いエビデンスとなった.

連載 Health for All―尾身茂WHOをゆく・50【最終回】

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 私の事務室は今,日本への帰国準備のため,書類でごった返している.この中には本連載に5年にわたり投稿してきた49回の連載も含まれている.この書類の山を前にしていると,WHOでの20年間の様々な出来事が脳裏に去来してくる.40歳でWHOに赴任した私も,来年は還暦を迎える.いささかの感慨を覚えざるをえない.

 曲がりなりにも,20年間のWHOでの仕事を無事終えることができるのも,厚生労働省,外務省を始めとする日本政府,保健医療関係者を始め,多くの日本の方々のご支援のお陰であります.この場を借りて,皆様に心から御礼を申し上げます.

 さて,本連載の最終稿を,次の時代を担う若い方々へのメッセージで終えたい.

連載 働く人と健康―精神科臨床医の立場から・2

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はじめに

 1989年に新語部門金賞に「セクシャル・ハラスメント」が選ばれて以来2),セクシャル・ハラスメント(セクハラ)は,一時的な新語・流行語として消えることなくわが国にすっかり定着した.その後,アカハラ,アルハラ,ドクハラ,モラハラといったいくつもの態様の「ハラスメント(心理的暴力や嫌がらせ)」が指摘されるようになった.中でも,上司の部下に対するハラスメントの態様としてパワーハラスメント(パワハラ)という和製英語が,人口に膾炙し今日に至っている3~5).2006年2月,筆者らは,その著訳書6,7)によりわが国にハラスメントの概念を普及・定着させたフランス人精神科医イルゴイエンヌさんをお招きし,東京と大阪で国際シンポジウムを開催した8).会場は収容しきれないほどの参加者であふれ,いずれも大盛況であった.わが国の職場において,いかにハラスメントが喫緊の課題であるか再認識させられた.

 本稿では,ハラスメントが原因と認定された労働関連自殺事例に触れ,わが国の職場にハラスメントが蔓延していることを示唆する調査結果を紹介する.また,ハラスメントとメンタルヘルス(不全)の関係を解明した研究を紹介する.

連載 パートナーシップ時代の国際保健協力―これから国際保健協力を志す若者への10章・5

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 第1章から第4章の中で取り上げてきたように,現在,国際保健のランドスケープの変化が起きている.WHOなどの国連機関や,国際開発金融銀行などの多国間援助機関,そしてUSAID(米国),DFID(英国),CIDA(カナダ),JICA(日本)といった二国間援助機関に加え,ゲイツ財団などの民間財団,国境なき医師団のようなNGO,そして様々な種類のパートナーシップが出現してきている.本稿と次稿では,これらの相互に協力し,あるいは競合しながら国際保健を支えている組織・団体を具体的に紹介することとしたい.まず今回は,古くから国際保健分野に貢献してきた,主要な多国間援助機関および二国間援助機関に焦点を当てて,その種類や役割等を紹介しつつ,それらの資金の流れや最近の動向などについて言及する.

連載 ドラマティックな公衆衛生―先達たちの物語・2

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…医学は社会科学である.そして政治とは医学の規模を大きくしたものにすぎない1)

 

社会科学としての医学

 ルドルフ・ルートヴィヒ・カール・ウィルヒョー(Rudolf Ludwig Karl Virchow, 1821年10月13日~1902年9月5日)は,ドイツ人医師,病理学者,先史学者,人類学者,生物学者,政治家であり,白血病の発見者,病理学の父としてよく知られている.

 冒頭の言葉は1846年のエッセイの一部である.ただし,ここでいう「医学は社会科学である」という表現は現代のとらえ方とは若干異なる.当時,この言葉が意味したのは,「人類の洞察力の最高の形」とされていた医学の一分野として社会科学があるということであった.この考え方は1820年代フランスの衛生学者の間にすでに広がっており,「生理学的な人間に関する知識は,自動的に心理社会学的な人間に関する知識と理解をもたらす」という仮定の上に成り立っていた(文献2)のp53).

連載 地域における自殺対策の新展開―自殺は予防できる・11

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 ハンガリー共和国は,現在のOECD諸国の中でも自殺率の高い国であるが,同国の自殺率は1980年代前半には世界で最も高い水準[人口10万人あたり46.0人/年(1984年)]にあった.これは,日本国内では秋田県の自殺率が最も高かった2003年(44.6人/年)と同レベルの高さである.その後,80年代末から自殺率は減少に転じ,その後90年代を通して減少が続き2005年には26.0人/年と,近年の日本に近い死亡率まで低下してきた.この減少の背景および同国での自殺対策に関して,われわれはハンガリーでの自殺研究および対策に関わるキーパーソン2名にインタビューを行う機会を得たので,その内容を紹介する.

連載 衛生行政キーワード・52

ウイルス性肝炎について 岩田 浩史
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わが国の肝炎

 ウイルス性肝炎は,その原因となるウイルスの型から,A型,B型,C型肝炎などに分類され,このうち,慢性肝炎から肝硬変,肝がんへと移行する可能性があるのはB型,C型肝炎である.わが国にはB型肝炎ウイルスのキャリアが110~140万人,C型肝炎ウイルスは200~240万人存在するとされる(表1,2).

連載 研修医とともに学ぶ・10

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 新医師臨床研修制度における地域保健・医療研修において,地域精神保健・福祉研修は極めて重要なメニューです.私はこの分野の研修目標として,精神障害者が地域で安心して暮らせるために,研修医は医師として精神保健福祉法の趣旨を理解するとともに,各種制度や社会資源を活用して,精神障害者やその家族に対して適正な対応ができる能力を身につけていただきたいものだと思っています.精神緊急対応や家庭訪問,社会復帰教室などはこの分野での重要な方略になると考えられ,地域保健研修のメニューとして全国的に取り入れられているかと思います.私も前任地の滋賀県高島保健所では,精神の社会復帰教室の一環として,農業体験をする機会があり,研修医には定例的に参加してもらっていました(写真1).

 しかしながら,地域精神保健・福祉分野で対象となる方々は,統合失調症などいわゆる狭義の精神疾患だけではありません.今や周辺疾患や薬物依存,アルコール依存症などで苦しむ人々は全国で何万人とも言われる時代であり,誰もが陥る可能性がある社会全体の問題となっています.そこで,甲賀保健所では,研修医がアルコール依存症の方々やその家族らの「ありのままの姿」に対峙して,辛かった,あるいは辛い気持ちを傾聴し,共感できるような方略を研修メニューに取り入れるようにしています.そのひとつが定例的に行われている「断酒会」への参加です(写真2).

公衆衛生オピニオン

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 第67回日本公衆衛生学会「特別講演1」の,堤修三大阪大学大学院教授「わが国の保健医療制度の現状と展望」のお話の最後に,「この学会は,Public healthの学会ですので」と言われて,簡単にPublicとPrivateについて触れておられた.この発言は,暗に衛生行政として現在すすめられている生活習慣病対策の一環として,健康診査・保健指導などを通じて個人的な生活に踏み込んでいることについて言われたのではなかろうかと私には感じられた.講演会場を出た後に,公衆衛生学会の中での主だった方数人にこのことの意見を伺っても,ほとんど反応が見られなかったが.

 多くの公衆衛生学の教科書に引用されているWinslowの定義の中にある,「through organized community efforts(共同社会の組織的努力)」を私流に解釈して,自治組織・団体とすれば,それは,わが国では,国は国会の定めに基づき,自治体は自治体議会の定めに基づき,事業体は事業体の規約に基づく意思決定機構の定めに基づいて行うことと理解できよう.衛生行政を見ると,労働衛生では,労働基準法に規定されている労働条件の原則は,労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならないとされ,労働者と使用者が,対等の立場において労働条件を決定すべきものであると定めている.労働者に対して定期健康診断とその他の必要により特殊健康診断が行われ,平成9年「労働者健康状況調査」によれば,定期健診は87.7%,がん検診・人間ドックは34.3%受診しているとある.学校保健では,学校教職員生徒に対して,学校保健法に基づき学校における保健管理および安全管理に関し必要な事項を定め,幼児,児童,生徒及び学生ならびに職員の健康の保持増進を図り,もつて学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資することを目的とし,発育状態,健康状態,肥満傾向児および痩身傾向児の出現率が測定されている.

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背景

 全国がん(成人病)センター協議会(以下,「全がん協」)1)は,わが国のがんの予防,診断および治療等の向上に資することを目的とした,国内のがん専門医療機関の協議会であり,2008年8月時点で32の加盟施設を持つ.全がん協事務局では,各加盟施設が組織的かつ計画的な喫煙対策を推進し,がん予防に関してロールモデルとなることを目的として2005年度に「全がん協加盟施設禁煙推進行動計画2)」(以下「行動計画」)を策定し,各施設の行動計画の進捗状況を定期的に調査し,その結果を公開していくことを確認した.行動計画においては,職員の喫煙行動に関する行動目標として,「直接患者を指導する立場にある医療従事者の喫煙率を10%以下にする」,「直接患者を指導する立場にないその他の職種における喫煙率を,男性20%以下,女性10%以下にする」,「喫煙している職員に対し禁煙支援がなされる」ことを規定している.

 この目標を達成する過程では,全職員対象の喫煙状況調査が必要となるが,全がん協加盟施設のような比較的大規模な医療機関では,通常職員の雇用形態が常勤,非常勤などに分かれ,その職種は多様である.また,医療機関が直接雇用する職員以外にも,派遣や委託契約等による職員も勤務しており,その把握は容易ではない.しかし,患者に接する職員の喫煙状況を確実に把握するためには雇用形態にかかわらずこれらの職員を広く対象にする必要があり,また同時に,高い回収率を達成する必要がある.このため,調査の企画には十分な準備と工夫が必要になる.全がん協加盟施設である大阪府立成人病センターでは,この点を配慮したうえで,2007年1月に職員の喫煙状況調査を企画実施した.この取り組みおよびその結果は,他の医療機関が同様の調査を行う際の参考になると考え,本稿ではその方法と結果の一部を報告する.

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 近年,ハイリスクアプローチとしての保健事業やモデル事業に関する評価の重要性が再認識され,事業評価に関する報告が蓄積されつつある.しかし,その多くは評価の指標として身体的データ(健康状態)を用いたものであり,医療費を評価指標として事業の明確な効果を示した報告は少ない1~4).その要因の1つは,事業の効果が医療費の減少として捉えられにくいことにあると考えられる.

 本研究の目的は,慢性疾患患者を対象に主病と主病以外の疾患による受診(受療)状況について検討し,事業の効果が医療費の減少として把握されにくい要因の一端を明らかにすること,ならびに主病に対する処方内容の変更状況を検討し,事業による医療費節減の可能性について検討することである.

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あとがき 品川 靖子
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 私は医学生の頃,公衆衛生にはまるで縁がなく,1日だけの保健所実習も若い私の心を引き付けるものではありませんでした.

 その後,卒後数年を経て公衆衛生行政の道に進もうと考えるようになったわけですが,先輩の公衆衛生医から母校の恩師に相談するよう勧められたときは,もう少しまじめに授業に出ておけばよかったと後悔したのを今でも覚えています.

基本情報

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公衆衛生
73巻2号 (2009年2月)
電子版ISSN:1882-1170 印刷版ISSN:0368-5187 医学書院

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