特集 公衆衛生の人づくり・1 変わりゆく地域保健の人材育成
地方自治体における技術職の現任研修の現状と課題―東京都の場合~監視職を中心に
桜山 豊夫
1
1東京都福祉保健局
pp.119-122
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101496
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食中毒,特に細菌やウイルスなど病原微生物の関与が疑われる食中毒が発生した際には,感染症対策,食中毒対策の両面からの対応が必要であり,保健所においても,保健師,食品衛生監視員が協働して調査に当たることが求められている.筆者が八王子保健所長に在職していた折に,腸管出血性大腸菌O157による食中毒が,同時期に,互いに接触のない3家族で散発する事例を経験したが,このときには,保健師と食品衛生監視員が一緒に家庭訪問を行って調査するなど,連携して疫学調査を行い,和風キムチを原因食品と疑って,都の情報交換会議において,同時期に隣接する他の保健所管内で発生していたO157散発事例も含めて,和風キムチを原因食品と断定できた.これによって健康被害の拡大を未然に防ぐことができた1,2).
また八王子保健所管内の病院および老人保健施設で水道施設として利用していた井戸で汚染事故が発生した際には,環境衛生監視員,食品衛生監視員,医療監視員が連携して立入調査を行い,飲料水の使用制限(飲用中止),代用水の確保(市からの給水車の応援),厨房の衛生検査などによって,健康被害の拡大を生じることなく,事態の収拾に至った事例も経験した3).
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