特集 公衆衛生の人づくり・1 変わりゆく地域保健の人材育成
[インタビュー]地域保健を支える保健師の人材育成
井伊 久美子
1,2
1日本看護協会
2日本保健師連絡協議会
pp.113-118
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101495
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保健師活動のコアは何か?
本誌編集室(以下,本誌) 地域保健法施行以降,保健衛生部門の再編成が行われ,特に保健師の分散配置が進む自治体においては,保健師の基本的技量であるはずの個別ケア(訪問指導等)を敬遠する保健師がいたり,その逆もあると聞きます.激動する地域保健行政において,公衆衛生マインドを失わず,持てる力を発揮できるような保健師を育成するために,本日は日本看護協会常任理事の井伊久美子先生に,必要な教育カリキュラムや卒後教育,研修などのあり方についてお話を伺いたいと思います.まずは,保健師活動のコアは何かからお話をいただけませんか.
井伊 『保健師活動指針Q & A』(1993年日本看護協会保健師委員会発行)があり,そこで丸山博先生の『乳児死亡』という本を紹介していて,「乳児死亡と示されている数は単なる数字ではなく,その児の生きたいという願いや母親の嘆きが隠されていることを思う時,いっぺんの数字が血の通った数字として迫力をもってその改善を訴えてくる」という文章があります.これは,数で表わされる「1」を見たときに,たとえば1人のお母さんの悲しみ,1人のお母さんの生活の困窮度,その人の存在というものを明確にイメージできるか.個人の問題から,その人の住んでいる地域社会,そこに関わっている様々な社会的な課題などを連動して想像できるか,ということを表していると思います.
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