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背景
全国がん(成人病)センター協議会(以下,「全がん協」)1)は,わが国のがんの予防,診断および治療等の向上に資することを目的とした,国内のがん専門医療機関の協議会であり,2008年8月時点で32の加盟施設を持つ.全がん協事務局では,各加盟施設が組織的かつ計画的な喫煙対策を推進し,がん予防に関してロールモデルとなることを目的として2005年度に「全がん協加盟施設禁煙推進行動計画2)」(以下「行動計画」)を策定し,各施設の行動計画の進捗状況を定期的に調査し,その結果を公開していくことを確認した.行動計画においては,職員の喫煙行動に関する行動目標として,「直接患者を指導する立場にある医療従事者の喫煙率を10%以下にする」,「直接患者を指導する立場にないその他の職種における喫煙率を,男性20%以下,女性10%以下にする」,「喫煙している職員に対し禁煙支援がなされる」ことを規定している.
この目標を達成する過程では,全職員対象の喫煙状況調査が必要となるが,全がん協加盟施設のような比較的大規模な医療機関では,通常職員の雇用形態が常勤,非常勤などに分かれ,その職種は多様である.また,医療機関が直接雇用する職員以外にも,派遣や委託契約等による職員も勤務しており,その把握は容易ではない.しかし,患者に接する職員の喫煙状況を確実に把握するためには雇用形態にかかわらずこれらの職員を広く対象にする必要があり,また同時に,高い回収率を達成する必要がある.このため,調査の企画には十分な準備と工夫が必要になる.全がん協加盟施設である大阪府立成人病センターでは,この点を配慮したうえで,2007年1月に職員の喫煙状況調査を企画実施した.この取り組みおよびその結果は,他の医療機関が同様の調査を行う際の参考になると考え,本稿ではその方法と結果の一部を報告する.
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