検査と技術 47巻12号 (2019年12月)

病気のはなし

アトピー性皮膚炎 福田 英嗣
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Point

●アトピー性皮膚炎(AD)は,皮膚バリア機能低下,アレルギー炎症,瘙痒が互いに連動しながら関与し,多くが増悪・寛解を繰り返す湿疹・皮膚炎群の一疾患である.

●ADに特有の検査はないが,長期病勢マーカーとしては血清IgE値,短期病勢マーカーとしては末梢血好酸球数や血清LDH値,血清TARC値などがある.

●治療は薬物療法,皮膚の生理学的異常に対する外用療法・スキンケア,悪化因子の検索と対策が基本になる.

技術講座 生理

表在腫瘤性病変の超音波検査 白石 周一
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Point

●近年,表在領域の超音波画質が向上しており,それに伴い表在性腫瘤に対する超音波検査へのニーズが高まっている.

●表在領域の超音波検査を行う際には,検査のチェックポイントや,皮膚および皮下領域の組織構成を理解しておく必要がある.

●まずは遭遇頻度の高い表在腫瘤性病変を超音波検査で鑑別できるようになることが重要である.

技術講座 微生物

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Point

●嫌気性菌検査が必要な場面や病態を理解する.

●嫌気培養検査の基本操作と主要菌の特徴を理解する.

●感染症診断に必要な情報(塗抹所見や簡易同定)の意義を理解する.

技術講座 生化学

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Point

●日本における重炭酸塩測定は血液ガス分析が一般的であるが,静脈血を用いて自動分析装置で測定することも可能である.

●重炭酸塩測定における測定試料は,採血管の規定量に対し採血量が少ないほど低値となる.

●重炭酸塩は大気との接触により測定値が低下するため,速やかに測定を行う必要がある.

●重炭酸塩は代謝性アシドーシスを評価するうえで重要な項目である.

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Point

●液状化検体細胞診(LBC)は病変部の擦過や穿刺吸引で得られた検体を,専用の保存液が入ったボトルに回収し,検査を簡便化・合理化したシステムである.

●LBCは検体の回収から標本作製が標準化され,再現性のある標本を作製する細胞診システムと定義される.一方,検体を直接塗抹後,採取器具に付着した細胞を保存液中に洗い出し,2種類の標本作製をすることをsplit sample法と定義され,純粋なLBCとは異なる.

●LBCは鏡検の阻害となる赤血球,粘液などは除去されるため,標本には目的の細胞が均一に集約される.

●LBC標本作製後の余剰検体は,セルブロック作製,免疫染色,遺伝子検査など,従来法では困難であった検索が可能である.子宮頸部擦過細胞診では,子宮頸癌と関連する高リスクヒト乳頭腫ウイルス(HR-HPV)核酸タイピング検査に利用できる利点がある.

トピックス

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はじめに

 心血管病(心筋梗塞や脳卒中)の原因として何を連想しますか? 高血圧症,高脂血症など,悪い生活習慣との結びつきが思い浮かびます.これまでの多くの臨床研究の結果から,高血圧症,高脂血症,糖尿病,喫煙などが心血管病の原因となることがわかりました.しかし,十分に生活習慣を改善し,薬の治療を行っても心血管病を完全に予防することはできません.では,私たちがまだ気づいていない原因はなんでしょうか?

 毎年,心血管病と同じくらいの人数ががんで亡くなります.がんの原因としては細胞の遺伝子変異が重要であることが知られています.同じように細胞の遺伝子変異が心血管病を悪化させる可能性はあるでしょうか? 実は,最新の臨床研究の結果から,血液細胞の遺伝子変異が心血管病と関係があることがわかり,注目を集めています.そこで本稿では,血液細胞の遺伝子変異やクローン性造血という現象がどのように心血管病にかかわるのか,私たちの実験結果も含めて説明します.

凝固波形解析の有用性 松本 智子
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はじめに

 現在,臨床の現場であるベッドサイドや手術室で,凝固機能は全血を用いたPOC(point-of-care)装置で測定し迅速に評価されている1).古典的な全血を用いた凝固機能評価方法として,トロンボエラストグラフィ(thromboelastography:TEG)は有名だが,検体の保存や測定の再現性などが問題であった.凝固波形解析(clot waveform analysis:CWA)は血漿を用い,自動凝固分析装置によって各種凝固異常症の凝固機能評価が可能であり最近注目されている2).これらの方法の基礎や有用性について概説したい.

FOCUS

onco-cardiology—腫瘍循環器学 赤澤 宏
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はじめに

 がんの罹患率は年々増加を続けており,いまや男女ともに約2人に1人が一生のうちにがんと診断される時代である.一方で,がん治療は目覚ましい進歩を遂げ,がんは“不治の病”ではなく治療と回復が十分に可能な病気となりつつあり,その結果がんサバイバーが急速に増加している.また,がん化学療法や放射線治療による心血管合併症が,がん患者やがんサバイバーの生命予後やQOL(quality of life)を左右する大きな要因となっており,心血管合併症に対する専門的な対応を必要とするケースが増えている.がん治療による心血管系への影響は多岐にわたり,心機能障害・心不全,冠動脈疾患,心臓弁膜症,不整脈,高血圧,血栓塞栓症,末梢動脈疾患,肺高血圧症など,ほぼ全ての循環器疾患の発症あるいは悪化要因となりうる(図1)1)

 このような状況のなか,がんと循環器の両者が重なった領域を扱う新しい臨床研究分野としての腫瘍循環器学(onco-cardiology)が提唱され,国内外で大きな注目を集めている.がん診療科と循環器科,さらに看護師や薬剤師,放射線技師など多職種が連携・協働して,有効ながん治療の継続のための心血管リスクの管理や心血管合併症への対応,さらにがんサバイバーの心血管モニタリングや予防的介入を行う(図2)2)

 そこで本稿では,がん治療によって起こりえる循環器疾患を疾患別に解説する.

臨床に伝わる報告のスキル 山内 桂子
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はじめに

 医療現場ではさまざまな職種の多数のスタッフが役割を分担して,患者の診療にあたっています.医療の高度化,複雑化に伴い,医療を円滑に安全に行うために,これらのスタッフ間の連携がますます重要となっていることは言うまでもありません.多くの医療事故の原因の1つに,コミュニケーションの問題があるとの認識も高まっています.

 連携に必要なコミュニケーションは“ノンテクニカルスキル”の1つです1).ノンテクニカルスキルとはテクニカルスキル(専門の技術や知識)に対する言葉で,チームで仕事をするうえでメンバーが共通してもつべきスキルです.ノンテクニカルスキルであるコミュニケーションスキルは,皆さんの臨床検査技師としての専門技術・知識を診療に生かすための土台となるスキルともいえます.

過去問deセルフチェック!

血液形態検査
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 過去の臨床検査技師国家試験にチャレンジして,知識をブラッシュアップしましょう.以下の問題にチャレンジしていただいたあと,別ページの解答と解説をお読みください.

解答と解説
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 近年の臨床検査技師国家試験問題から血液形態学を取り上げた.血液検査室の技師においては,まずこれらの細胞の全てを判定できなければならないが,それ以外の読者におかれてはいかがだろうか?全ての細胞を判定できただろうか?

 問題1のマクロファージは,単球から分化した細胞でほぼ全ての組織に存在し,各組織において特有の名称〔骨:破骨細胞,肝臓:クッパー(Kupffer)細胞,中枢神経:ミクログロリア,肺:肺胞マクロファージなど〕で呼ばれ,免疫応答や組織の恒常性の維持に関与している.各組織のマクロファージは骨髄から流入した単球が各組織において分化したものと考えられていたが,近年の研究において,常在している組織により,異なる3つの起源(卵黄囊,胎児肝臓,骨髄)をもつことが明らかになった.

疾患と検査値の推移

肺MAC症 北田 清悟
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Point

●肺MAC症は近年増加傾向にあり,その診断管理の重要性が増している.

●確定診断は診断基準を用いて行うが,抗GPL core抗体測定が補助診断として有用である.

●治療の目標は自覚症状の改善と重症化防止のための病勢コントロールである.

●抗GPL core抗体は病勢モニタリングにも有用である.

連載 生理検査のアーチファクト・30

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聴覚検査のアーチファクトとは

 気導・骨導聴力検査は,純音を検査音として用いて聞こえる最も小さな音の強さ(聴力閾値レベル)を調べる検査である.この検査の原理は単純で,検者は被検者に音を提示して被検者は音が聞こえたら応答する.その繰り返しである.しかし,調べる音の強さは,被検者が聞こえる最も小さな音であるため,検者の一つ一つの作業が正確に行われなければ,再現性のある正確な結果は得られない.また,この検査はよく野球のキャッチボールに例えられる.検者は被検者にボール(検査音の提示)を受け取りやすいタイミングと強さで投げることによって,被検者はうまくボールを捕ること(音が聞こえたとの自覚的な判断)ができる.さらに,被検者には積極的にボールを捕ろうという気持ちをもってもらい,検者に対してボールをうまく投げ返して(応答)もらわなければならない.例えば,子どもや高齢の方とキャッチボールするときには,ゆっくりとボールを投げてやること(検査音の提示を長くしてあげる)でボールをしっかりキャッチ(音が聞こえるとの判断)してくれる.また,被検者から検者へボールを投げる(応答)までの時間も患者によってはさまざまである.聴力検査を円滑に正確に行うには被検者の調子や被検者にとってやりやすい方法で検査を行える技術も必要である.

 そこで本稿から3回にわたり聴覚機能検査のアーチファクトについて紹介していく.第1回目は,検査手技の未熟さによる影響,第2回目は知識不足による影響,第3回目は患者の協力・理解度による影響について解説する.

連載 帰ってきた やなさん。・5

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 同僚と座敷わらしの話をしながらエレベーターに乗り込もうとした瞬間,電気が消え,「ドアが開いたら外に出てください」というアナウンスが流れた.ドアが開いたままなのに,「ドアが開いたら……」とは,不思議だった.その原因は……座敷わらしかもしれない.不思議現象から一週間後に,私は岩手県にある旅館に宿泊する予定だった.実は,その旅館に宿泊を予定している人のなかで宿泊日の数日前から不思議なことが起こることがあるらしい.

 旅館の隣に座敷わらしを祀っている神社があり,参拝することにした.すると,いきなり右の足首を何かに握られているような感覚が…….参拝後,座敷わらしがいるという“槐の間”へ向かい,持参したオモチャやお菓子を座敷わらし像の前に供えた.その後,自分の部屋に入り,しばらくすると,突然壁から“どん,どん”とノック音が.その直後,部屋中からパキッ,ピキッ,パンというラップ音が激しく鳴り始めた! キター! 柳田はカメラを向けた.すると音が一斉に鳴りやんだ.そこで柳田は,部屋を飛び出し,槐の間へ! 床の間に置かれた座敷わらし像に向かってシャッターを切る! しかし,特に何も写らない…….取りあえず,夜になるのを待つことにして,温泉に入った.浴場には私のみ.湯船に浸かっていると,コンコンとノック音がした.そっと,ドアを開けると……誰もいない!…….すると,どこからともなく声が聞こえてきた.人の話し声だった.もう,シャレになってないわ……と浴場からも足早に去った…….

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はじめに

 血流感染症は今日においても死亡率の高い重篤な疾患である.血液培養検査は血流感染症の診断にとって最も重要である.血液培養検査結果は診断,患者の治療や転帰に大きく影響するため,正確性と迅速性が求められる.

 血液培養検査が陽性となった際,最初に実施,報告されるのがGram染色による塗抹検査の結果である.塗抹検査結果報告の重要性は,CUMITECHの「血液培養検査ガイドライン」1)や日本臨床微生物学会の「血液培養検査ガイド」2)などで述べられている3,4)

 血液培養検査では全自動血液培養装置が広く普及している.装置ごと専用のボトルに血液を接種して装塡すると,培養とともに菌の発育を経時的にモニタリングし,陽性か陰性かを自動的に判定する.全自動培養装置による菌発育の検出原理は,菌の増殖に由来する炭酸ガス(CO2)センサーによるCO2量の増加かボトル内ガス圧変化の検出である1,2)

 血液培養陽性検体の検査は,装置から菌発育の陽性サインが出たときから始まる.最初にボトル内培養液の塗抹標本を作製してGram染色を行うと同時に,血液寒天培地などへの分離培養,直接法による薬剤感受性検査を行う.

 しかし,Gram染色標本の鏡検において,菌が認められないことが経験される.このようなときに,短絡的に“陰性または偽陽性反応”と判断してはならない.

 そこで本稿では,血液培養陽性検体の塗抹検査で菌が認められない場合の原因と,その対応について解説する.

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凝固線溶検査の背景と採血手技

 凝固線溶検査に用いる採血検体は,人工的に血管を傷つけ血液を採取している.この時点で凝固反応が進む条件を満たし,連動して線溶反応も進む環境下にある.採血手技による過剰な凝固活性や線溶亢進に対し反応停止剤がないため,検体採取および保存条件に影響を受ける.その影響度は一定でなく,検体固有の状態および過剰凝固過程の状況により左右されるため解釈に苦慮する.凝固線溶検査は複数の要因が反応経路をたどって得た活性値や質量・代謝産物が検査結果値となる.したがって,採血手技の影響を含めて総合的に判断をするためにも,基礎的な凝固線溶反応の機序と測定装置および測定試薬の原理・特徴を把握して検査を行うことが必要である.また,採血方法および検体の前処理はJCCLS(Japanese Committee for Clinical Laboratory Standards)標準採血法ガイドラインGP4-A31)および日本検査血液学会標準化委員会凝固検査用サンプル取扱い標準化ワーキンググループから報告された凝固検査検体取扱いに関するコンセンサス2,3)に準拠して取り扱うことが重要である.

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Q 生理機能検査機器の精度管理はどのように行うのですか?

A 生理機能検査機器の精度管理については,その方法が確立していません.しかし,医療法の一部改正に伴い,検体検査に限らず精度管理の重要性が増しており,生理機能検査でも必須の業務と考えられます.そのため,施設ごとに方法を検討する必要があり,どのように評価してよいのか悩んでいる施設も多いと思います.基準が定まっていないため,現状では各施設ができる範囲で取り組んでいくことが必要となります.そこで本稿では,最も汎用されている生理機能検査の1つである標準12誘導心電図について,当院の取り組みをご紹介します.

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はじめに

 脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide:BNP)は主に心室から分泌される32個のアミノ酸からなるホルモンで,心血行動態的負荷,特に心室負荷において主要に産生,分泌刺激される.血管拡張作用,利尿作用,ナトリウム利尿作用を有し,心筋障害や心筋負荷を呈する各種疾患,腎疾患において血中濃度が増加する.BNPは心筋細胞のストレスを反映するマーカーとして,心不全の診断や重症度評価,治療効果判定,予後予測ならびに潜在性心不全のスクリーニングに,日常臨床で広く利用されている1〜3)

 一方BNPは血中のプロテアーゼによる分解を受けやすいため,保存安定性は良好ではなく経時的に低下することが知られている.したがって,BNPの分解を阻止するため血液へのEDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)-2Naやアプロチニン(aprotinin)の添加,PET(polyethylene terephthalate)製採血管の使用,血漿の速やかな分離と凍結保存などの対策が行われている.現在では一般的にEDTA塩を添加することによりエンドペプチダーゼの補因子の金属をキレートし,その活性を阻害する方法が採られており,BNP測定には血清ではなく,EDTA加血漿が用いられる.しかしEDTA加血漿でもBNP分解を完全に阻止できるわけではなく,また溶血の影響(負誤差)も受ける.

ラボクイズ

生化学検査 大川 龍之介

書評

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現場での重要点を的確に網羅した「おねだん以上」の書

 本書は,救急のマニュアルとしては最も有名なものの一つである,田中和豊先生の『問題解決型救急初期診療』(医学書院)の姉妹本にあたる同著者の「検査版」の第2版である.

 検査と銘打たれているが,本書の本質は検査の解説本やマニュアル的な内容ではない.

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甲状腺細胞診に携わる検査技師,病理医,臨床医に

 このたび,坂本穆彦氏の編集による『甲状腺細胞診アトラス—報告様式運用の実際』が発行された.

 編集の坂本氏は細胞診断学の重鎮であり,これまでさまざまな細胞診に関する書籍を発行している.特に甲状腺の細胞診に関しては,坂本氏は本邦のパイオニアといっても過言ではない.本書の目玉である「診断カテゴリーに特徴的な細胞所見」は,坂本氏の教授を受け,甲状腺細胞診の第一線で活躍する細胞検査士が執筆を担当している.選び抜かれた多数の細胞写真とともに,日々の業務の中で役に立つ診断のポイントが解説されている.甲状腺に特化した細胞診アトラスとして価値が高く,甲状腺の細胞診に携わる全ての検査技師,病理医,臨床医にとって有用と考えられる.

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革命的に進化した解剖学教育の書

 解剖学は医学生が医学に接する最初の関門であり,医学に対する期待を実感する場でもあります.しかし,同時に膨大な専門用語に最初に接する場でもあり,暗記に陥りやすい場でもあります.場合によると無味乾燥に陥ってしまう“難関”でもあります.私自身の経験でも骨の突起の一つひとつをスケッチしてラテン語を付すという延々と続く作業にうんざりしてしまったことがあります.このたび発刊された『プロメテウス解剖学エッセンシャルテキスト』は,まさにこの解剖学の難関を突破する書であると思います.

 監訳者の中野隆先生は,おそらく解剖学の教育にかけては,わが国の第一人者であると思います.

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説得力のあるスケッチで細胞所見の特徴を的確に捉えられる

 『細胞診を学ぶ人のために 第6版』が上梓された.1990年6月の初版第1刷から29年という年月が過ぎ,第5版の上梓からも8年経った.まず,細胞診従事者でこの本を知らないものはいないと言って過言ではないと思う.かくいう私も細胞診専門医の資格を持とうと決めた時にこの本を購入した.それも記念すべき初版第1刷であり,この本のおかげで細胞診専門医になることができたと感謝するとともに,第6版を拝読し,細胞診に従事した自らの年月を振り返る貴重な機会をいただいた.初版は現在も座右の書として大切にしている.

 今回の第6版は初版より100ページも増加しており,内容がますます充実した.編集の坂本穆彦先生が第6版の序で書かれているように,本書では細胞診や病理診断を取り巻く新しい動向が盛り込まれている.特に液状処理法やOn-site cytologyなどがその一例であり,さらに,免疫細胞化学的染色の進歩にも対応している.また,各分野の細胞診の報告様式(国際あるいは国内の)が次々と公にされており,それに即した記載や紹介もなされている.

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目次

『臨床検査』12月号のお知らせ

「ラボクイズ」解答/読者アンケートFAX

あとがき・次号予告 大楠 清文
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 この「あとがき」を10月1日に書いていますが,今年の話題となったニュースや新語・流行語を取り上げるには時期尚早ですので,“マスギャザリングと感染症”の話題に触れたいと思います.現在,国内で開催されており,日本チームの大活躍でフィーバーしているラグビーワールドカップ2019,そして来年の夏には東京オリンピックが開催されます.このような国際的なイベントで“一定期間,限定された地域において,同一目的で集合した多人数の集団”のことをマスギャザリングと呼んでいます.多くの方々が集まると感染症が問題となることがあります.例えば,2000〜2001年にメッカ巡礼者に関連した髄膜炎菌感染症の集団発生がありました.毎年200万人もの人が巡礼に訪れるとのことですが,この集団感染を教訓として,メッカ巡礼が目的でのサウジアラビア入国には,髄膜炎菌ワクチン接種を受けたことの証明が必要となりました.2015年7月に山口市で開催された世界スカウトジャンボリー(いわゆるボーイスカウトのキャンプ大会)でもスコットランド隊とスウェーデン隊の4名が母国に帰国後,侵襲性髄膜炎菌感染症を発症しました.“国際的なマスギャザリングがある”イコール“何か感染症が起こる”というわけではありませんが,来年の東京オリンピック開催に向けて,感染症のためのリスクアセスメントにも注目してもらえればと思います.

基本情報

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検査と技術
47巻12号 (2019年12月)
電子版ISSN:1882-1375 印刷版ISSN:0301-2611 医学書院

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