連載 帰ってきた やなさん。・5
座敷わらしのお宿とやなさん。(前編)
柳田 絵美衣
1
1慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット
pp.1414
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207846
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同僚と座敷わらしの話をしながらエレベーターに乗り込もうとした瞬間,電気が消え,「ドアが開いたら外に出てください」というアナウンスが流れた.ドアが開いたままなのに,「ドアが開いたら……」とは,不思議だった.その原因は……座敷わらしかもしれない.不思議現象から一週間後に,私は岩手県にある旅館に宿泊する予定だった.実は,その旅館に宿泊を予定している人のなかで宿泊日の数日前から不思議なことが起こることがあるらしい.
旅館の隣に座敷わらしを祀っている神社があり,参拝することにした.すると,いきなり右の足首を何かに握られているような感覚が…….参拝後,座敷わらしがいるという“槐の間”へ向かい,持参したオモチャやお菓子を座敷わらし像の前に供えた.その後,自分の部屋に入り,しばらくすると,突然壁から“どん,どん”とノック音が.その直後,部屋中からパキッ,ピキッ,パンというラップ音が激しく鳴り始めた! キター! 柳田はカメラを向けた.すると音が一斉に鳴りやんだ.そこで柳田は,部屋を飛び出し,槐の間へ! 床の間に置かれた座敷わらし像に向かってシャッターを切る! しかし,特に何も写らない…….取りあえず,夜になるのを待つことにして,温泉に入った.浴場には私のみ.湯船に浸かっていると,コンコンとノック音がした.そっと,ドアを開けると……誰もいない!…….すると,どこからともなく声が聞こえてきた.人の話し声だった.もう,シャレになってないわ……と浴場からも足早に去った…….
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