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あとがき・次号予告
大楠 清文
pp.1420
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207850
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この「あとがき」を10月1日に書いていますが,今年の話題となったニュースや新語・流行語を取り上げるには時期尚早ですので,“マスギャザリングと感染症”の話題に触れたいと思います.現在,国内で開催されており,日本チームの大活躍でフィーバーしているラグビーワールドカップ2019,そして来年の夏には東京オリンピックが開催されます.このような国際的なイベントで“一定期間,限定された地域において,同一目的で集合した多人数の集団”のことをマスギャザリングと呼んでいます.多くの方々が集まると感染症が問題となることがあります.例えば,2000〜2001年にメッカ巡礼者に関連した髄膜炎菌感染症の集団発生がありました.毎年200万人もの人が巡礼に訪れるとのことですが,この集団感染を教訓として,メッカ巡礼が目的でのサウジアラビア入国には,髄膜炎菌ワクチン接種を受けたことの証明が必要となりました.2015年7月に山口市で開催された世界スカウトジャンボリー(いわゆるボーイスカウトのキャンプ大会)でもスコットランド隊とスウェーデン隊の4名が母国に帰国後,侵襲性髄膜炎菌感染症を発症しました.“国際的なマスギャザリングがある”イコール“何か感染症が起こる”というわけではありませんが,来年の東京オリンピック開催に向けて,感染症のためのリスクアセスメントにも注目してもらえればと思います.
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