トピックス
クローン性造血と心血管病
小川 隼人
1
,
佐野 宗一
1
1University of Virginia School of Medicine
pp.1344-1346
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207825
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はじめに
心血管病(心筋梗塞や脳卒中)の原因として何を連想しますか? 高血圧症,高脂血症など,悪い生活習慣との結びつきが思い浮かびます.これまでの多くの臨床研究の結果から,高血圧症,高脂血症,糖尿病,喫煙などが心血管病の原因となることがわかりました.しかし,十分に生活習慣を改善し,薬の治療を行っても心血管病を完全に予防することはできません.では,私たちがまだ気づいていない原因はなんでしょうか?
毎年,心血管病と同じくらいの人数ががんで亡くなります.がんの原因としては細胞の遺伝子変異が重要であることが知られています.同じように細胞の遺伝子変異が心血管病を悪化させる可能性はあるでしょうか? 実は,最新の臨床研究の結果から,血液細胞の遺伝子変異が心血管病と関係があることがわかり,注目を集めています.そこで本稿では,血液細胞の遺伝子変異やクローン性造血という現象がどのように心血管病にかかわるのか,私たちの実験結果も含めて説明します.
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