要旨
目的:子どもの養育には,直接関わる母親自身が療養生活を前向きに捉えられることで,子どもへのケアの質の向上,養育や育児への参加意欲の向上が見込まれると考える.本研究では,養育上の困難を抱える母親のempowermentの概念分析を行い,慢性疾患や障害を抱える子どもの母親への支援として,実践や研究における有用性を検討することである.
方法:1983~2005年の看護学,心理学の領域から47文献を便宜的に抽出し,分析対象とした.Rodgersの分析方法を参考にして概念分析を行った.
結果:「養育上の困難を抱える母親のempowerment」の属性として【知識の獲得】【パートナーシップの構築】【気づき】【ポジティブな感覚】【問題解決能力の取得】【主体的な行動】の6つのカテゴリーが抽出された.先行要因として【母親の属性】【親役割の脆弱性】【子どもの状態】が抽出された.帰結として【親役割の成熟】【精神的な安定】【自己成長】【子どものwell-beingの促進】が抽出された.
結論:「養育上の困難を抱える母親のempowerment」という概念は,慢性疾患や障害を抱える子どもの母親への支援として,実践や研究において有用であると考えられた.