第29回日本看護科学学会学術集会 教育講演Ⅰ
現代日本社会は看護科学の発展に期待する
死生学と看護科学―なぜ,市民は注目するのか
島薗 進
1
1東京大学大学院
pp.90-95
発行日 2010年6月21日
Published Date 2010/6/21
- 販売していません
- 文献概要
1.「死生学の構築」に取り組む
看護科学の発展に大いに期待しております.それは私自身も,2002年から死生学というものに取り組んでおり,関連領域だと考えているからです.死生学として催しを行いますと,市民から反響が大きいです.講演会などをやっても,たとえば『犠牲』を書かれた柳田邦男さんとか,『納棺夫日記』の著者の青木新門さんとか,欧米のグリーフワークの専門家などをお招きすると,たくさんの聴衆が来られます.そこで「なぜ市民は注目するのか」という副題をつけさせていただきました.
私の想定は要するに看護科学と死生学はひじょうに近いということです.人文学は看護科学の方へ今近づいているというふうに思っています.また,人文学に携わる者として,看護科学会のテーマが文化を重視するものであることはうれしいです.つまり文化研究と看護学は相互に近づいている.医学や看護科学など,従来科学志向だった学問の方からも人文学の方へ近づいてこられると期待しております.
Copyright © 2010, Japan Academy of Nursing Science. All rights reserved.