助産婦雑誌 51巻7号 (1997年7月)

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助産婦外来が体重指導のきっかけ

 福井 妊娠中の体重コントロールについて話し合いたいと思います。

 まず,皆様がお持ちくださったご自分の施設の調査データのお話から始めたいと思います。

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はじめに

 この特集のテーマが「妊婦の体重コントロール,どう考える」であり,臨床の医師,助産婦による,「私たちはこう考える」という座談会記事もあるとのこと。筆者は実際にその座談会へ出席していないが,あえて今流行りの“ヴァーチャル(仮想)”出席者として発言してみたい(本誌が発行されるまで実際の座談会の様子は分からないので,的外れなことを言うことになるのかもしれないが……)。

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はじめに

 妊婦の体重コントロールを考えるにあたっては,わが国の現状と今後の状況を正しく理解した上で,今何を最優先になすべきかを選択する必要がある。

 近年,高齢化社会の進行とともに女性の社会進出が著しい。また,ライフスタイルの多様化や国際化も進んでいる。このような社会情勢の変化は,分娩年齢の高齢化と少産化を助長している。高齢分娩が増えるほど難産も多くなり,知的労働(デスクワーク)の増加は体力の低下とともに分娩機能をも低下させる。第三の問題はエネルギー消費とエネルギー摂取のアンバランスである。

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はじめに

 糖尿病妊婦では,母体および児における合併症を防ぐために,血糖の正常化を目標とする。

 妊娠前の肥満,妊娠中の体重増加過多は血糖正常化達成に影響を及ぼし,また妊娠中毒症,遷延分娩,分娩時の出血増加など種々の産科的異常を合併する頻度が高く,児体重も重くなりやすいため1,2),体重コントロールは重要である。

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はじめに

 「妊娠すれば赤ちゃんの分まで2倍食べなさいよ」と昔よく聞かされたが,その風習が今も残っているように思われる。2倍といわなくても「赤ちゃんを大きくするためお母さんが一生懸命食べなさい」という話はよく耳にする。「少し赤ちゃんが小さいですネ」と言っただけで,「親から無理やり食べさせられて困っています。何とかして下さい」とよく妊婦から泣きつかれる。

 戦前には母体の栄養低下が低出生体重児の原因となり,それに伴う様々な疾患をひき起こしていたが,現在は児の過剰発育による母児への悪影響が問題になっている。

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世田谷バースハウスの方針

 妊婦が太り過ぎると,妊娠中毒症になりやすい,鉗子や吸引分娩,帝王切開など異常分娩につながりやすいという理由で,施設によっては,妊婦健診時に厳しい体重管理がなされているようである。

 体重コントロールで大切なのは,指示的な指導ではなく,妊婦一人ひとりのライフスタイルや食習慣,ストレスなど妊婦を取り巻く環境を理解した上での,助産婦によるアドバイスである。単なる脅しでは,妊婦健診そのものが妊婦に受け入れられないものとなってしまう。健診の目的である,妊婦の不安をなくし,安心を得るためのものが,不安材料になってしまっては本末転倒である。妊婦の体重増加が一番重視され,厳しい体重管理がなされているとしたら,妊婦にとってなんとも憂欝で,味気ない健診となってしまう。

妊婦さん15人に聞きました 市川 実紀
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 普段の時でも体重が増えるのは嫌なもの,妊娠中だって太りすぎは避けたい。

 また,健診時に,妊婦は「太らないように」とけっこう厳しくいわれる。そのため,健診日の朝は朝食を抜いてしまうという話も聞く。今回,体重コントロール体験者として,女性たちの経験談をまとめさせていただくことになった。指導にあたる助産婦の方々の参考になれば幸いである。

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 個々の妊婦のニーズに合わせた個別的アプローチが望ましいことは研究結果で出ているが,にもかかわらず,妊娠期間中は妊婦に対してルーティーンに(つまり当然の日常的手順として)体重測定が行なわれている。個別的な患者ケアこそがすべての助産婦の目標である。体重測定のような儀式的な行為が本当に必要かどうかを吟味するだけでも,助産婦はその大きな目標に一歩近づくことができるであろう。きちんとした証拠をもとに,この行為を評価することができるし,これをめぐる論議を喚起することができる。妊婦の体重測定を批判的視点から評価するのに先立って,まずこの問題に関する現実がどのようなものかを検討してみる必要があろう。

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はじめに

 21世紀を目前にして,第100回日本小児科学会学術集会ならびに創立百周年記念式典が,約4000名の参加者を得て,新装なった東京国際フォーラムにおいて1997年(平成9年)4月18〜20日に開催された。2日目の創立百周年記念式典は皇太子殿下,雅子妃殿下の行啓を得て盛大に開催された。

 日本小児科学会の前身の小児科研究会は1896年(明治29年)12月,日本橋偕楽園において発足した。当時の会員は107名,第1回研究会の参加者はわずか22名であったが,現在は会員数1万6千,17分科会を有する大学会に成長している。

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 本誌 この4月,厚生省健康政策局看護課助産婦係長・看護婦係長に新野由子さんが就任なさいました。

 ご着任後間もないのですが,さっそく厚生省でのお仕事や看護行政について,そして助産婦係長としての抱負などお聞かせいただきたいと思います。ところで,ご着任後のオリエンテーションなどはもうお済みになったのでしようか。

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世界を飛び回る理論派助産婦

 本誌 今回,トンプソンさんは2度目のこ来日ですね。お元気そうで何よりです。

 トンプソン はい,ありがとうございます。最初に日本に来ましたのは神戸のICM大会のときで,今回は徳島で開かれている第11回日本助産学会学術集会のために参りました。

研究・調査・報告

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はじめに

 近年,産前準備教育に,イメジェリーを使う施設も出始めている。

 「イメジェリー」とはリラックス状態において心の中にある映像を思い描くことにより,心身のコントロールをはかる1)というイメージトレーニングである。

クローズ・アップ

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 厚生省看護課は日本の看護行政の要め。助産婦・保健婦・看護婦の養成所の設置等,教育面を中心に,すべての基本的な施策は看護課で決まるといってよい。

 その看護課の助産婦係長(看護婦係長兼任)に,この4月から新野由子さんが着任なさった。新野さんは神戸出身の助産婦。8年前に渡米,サウスダコタ州のオーガスターナ大学修士課程を修了,ニューヨークで生命倫理を研究中だったが,厚生省着任のため一区切つけて帰国。本誌にも,アメリカから何度か寄稿されているので,ご存知の方も多いことだろう。

連載 おニューな地球人・62

花さか赤ちゃん きくち さかえ
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 春爛漫のある日曜日。そぼ降る雨に,桜が乱れ舞い,花びらが地面をピンク色に染めていた。その朝,愛知の吉村病院付属のかりがね荘という民家で,ひとりの赤ちゃんが生まれた。

 和室の布団に横たわる産婦を,家族が見守る。上のお兄ちゃんが,緊張ぎみに「がんばれ,がんばれ」と母を応援する。赤ちゃんが生まれた瞬間,お兄ちゃんは「うわあ,うわあ」と叫びながら,小躍りして手をたたき,全身で喜びを表わした。

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 正常分娩を助産所で取り扱うことは,法律で認められているところであり,また,多くの助産婦と少なからざる妊婦が希望するところでもある.しかし現実には,平成4年度の総分娩数121万のうち1万1千(0.9%)が助産所分娩であった.昭和60年度には,総分娩143万のうち2万8千(2%),昭和50年度には188万中13万7千(7.3%)であったから,助産職の願いにもかかわらず,助産所分娩は衰退の方向にあることを認めざるを得ないであろう.

 助産所分娩のメリット,デメリットについては他の機会に述べたいと思うが,救急体制の整備は,助産所運営の最大の関心事であろう.

連載 りれー随筆・154

私らしく生きること 隅田 真理子
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風に吹かれで

 1970年代,日本にウーマン・リブの風が吹いてきたころ,思春期から青年期の真っただ中にいた私は,少なからず風に吹かれ揺れていました。自分ではすっかりそのことを忘れていましたが,数年前,「『女性学』に興味があるの……」と言う私に,高校時代の旧友は「あの頃もずっとそういったことを話していたわね」と当時のことを思い出させてくれました。

 熱い思いで女性の自立について語っていたあの頃,看護職を選んだのも,“男性社会”に挑む勇気は欠けてはいたものの,経済的な自立が目的でした。ボーヴォワールに憧れ,サルトルとの契約結婚に胸をときめかせ,女でもなく男でもなく,ひとりの人間として自由に生きることが私の理想でした。

今月のニュース診断

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がん遺伝子診断の指針

 「家族性がんの遺伝子診断,文書同意が必要」(神戸新聞5月14日)。特定の家系で発症しやすいがんの遺伝子研究・遺伝子診断について,「家族性腫瘍研究会倫理委員会」は詳細なガイドライン指針案をまとめた。

 近い将来,日本でも4人に1人ががんで死亡する時代が来るといわれている。がんは今でも十分に「なじみ深い」病気だが,その発生機序の解明,予防法開発のためにも,発症確率の高い「家族性がん」家系を調査する意義は少なくないと,研究者たちは考えている。

Medical Scope

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 羊水塞栓症は非常にこわい分娩時の合併症として私たちは教わってきました。何らかの原因で主として分娩中に発症するのですが,羊水が母体の血中に侵入して血液を凝固させて血栓をつくり,多くは肺動脈血栓症となり,80%以上の母体死亡率を示す疾患とされていました。

 原因はともかくとして,8,000〜80,000例の分娩に1例ぐらいの割合で発生し,急に産婦が「ウーン」とか,「苦しい!」とか叫んで呼吸困難となり,心肺機能不全でほとんどが発症後60分以内に死亡するといわれています。血栓は羊水中に多量に含まれる組織トロンボプラスチンが母体のフィブリノーゲンをフィルブリンにするために形成され,母体は無フィブリノーゲン血症となり,DICの病態となり,子宮からの出血は止血しにくくなり,やがて多臓器不全になるようです。

基本情報

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助産婦雑誌
51巻7号 (1997年7月)
電子版ISSN:2188-6180 印刷版ISSN:0047-1836 医学書院

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