連載 私と読書
日本人の看護に大きな示唆—「甘え」の構造を読んで
堀尾 カツ子
1
1北海道大学医学部付属看護学校
pp.61
発行日 1973年4月1日
Published Date 1973/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204513
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先日テレビで結婚をテーマとした1時間半にわたる番組の中で,結婚という形式を否定し同棲している1組の男女へのインタビューで,司会者の「子供ができちゃったらどうするの?」という質問に「子供はできるできないの問題じゃなくって,つくるかつくらないの問題だと思う……云々」という女性の答えを印象深く聞いた。
今やわれわれ専門家だけでなく,広く受胎調節の知識が一般化され,もはや子供は神の授かりものでもなんでもなく,もっぱら両親の意志によって子供をつくるかつくらないかが決定されるのである。もっともつくると決定したからといって必ずしも授かるとは限らないことが,自然に対して人間はもっと謙虚でなければならないゆえんであるが…。
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