Medical Scope
軽症の羊水塞栓症はあるのか?
島田 信宏
1
1北聖大学医学部産婦人科
pp.619
発行日 1997年7月25日
Published Date 1997/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901751
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羊水塞栓症は非常にこわい分娩時の合併症として私たちは教わってきました。何らかの原因で主として分娩中に発症するのですが,羊水が母体の血中に侵入して血液を凝固させて血栓をつくり,多くは肺動脈血栓症となり,80%以上の母体死亡率を示す疾患とされていました。
原因はともかくとして,8,000〜80,000例の分娩に1例ぐらいの割合で発生し,急に産婦が「ウーン」とか,「苦しい!」とか叫んで呼吸困難となり,心肺機能不全でほとんどが発症後60分以内に死亡するといわれています。血栓は羊水中に多量に含まれる組織トロンボプラスチンが母体のフィブリノーゲンをフィルブリンにするために形成され,母体は無フィブリノーゲン血症となり,DICの病態となり,子宮からの出血は止血しにくくなり,やがて多臓器不全になるようです。
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