連載 りれー随筆・154
私らしく生きること
隅田 真理子
1
1JA岐阜厚生連久美愛病院母性病棟
pp.616-617
発行日 1997年7月25日
Published Date 1997/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901750
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風に吹かれで
1970年代,日本にウーマン・リブの風が吹いてきたころ,思春期から青年期の真っただ中にいた私は,少なからず風に吹かれ揺れていました。自分ではすっかりそのことを忘れていましたが,数年前,「『女性学』に興味があるの……」と言う私に,高校時代の旧友は「あの頃もずっとそういったことを話していたわね」と当時のことを思い出させてくれました。
熱い思いで女性の自立について語っていたあの頃,看護職を選んだのも,“男性社会”に挑む勇気は欠けてはいたものの,経済的な自立が目的でした。ボーヴォワールに憧れ,サルトルとの契約結婚に胸をときめかせ,女でもなく男でもなく,ひとりの人間として自由に生きることが私の理想でした。
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