手術 72巻12号 (2018年11月)

特集 腹腔鏡下膵体尾部切除の手術手技

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腹腔鏡下膵体尾部切除術(laparoscopic distal pancreatectomy;Lap-DP)は,2012年に良性,低悪性度腫瘍に対しての施行が保険収載され,2016年には膵体部腫瘍に対する定型的なリンパ節郭清において切除する範囲(結腸間膜,副腎など)で治癒切除可能と予想される悪性腫瘍に対しても適応が拡大された。Lap-DPの施行症例は今後さらに増加してくるものと考えられる。

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腹腔鏡下膵体尾部切除(laparoscopic distal pancreatectomy;LDP)は,1990年代前半から北米,欧州,ニュージーランドなどで行われるようになった術式である1)。わが国でも1990年代後半からLDPが散発的に行われるようになった2)。その後,先進医療として行われたLDPは,その安全性を担保することにより,現在では腹腔鏡下膵体尾部腫瘍切除術(K702-2)と診療報酬点数表に記載されるようになった。その実施にあたっては,以下の条件を満たし,所定の届け出を行った施設において行うことが条件となっている。

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以前の術前シミュレーションは撮像した二次元(2D)画像データをもとに術者が三次元(3D)イメージを構築し,臓器の位置関係を認識する必要があった。しかし3Dイメージを頭のなかで構築するには慣れが必要であり,また客観性に乏しく,チーム内でまったく同じ3D画像を共有することは不可能であった。

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腹腔鏡下脾温存膵体尾部切除(laparoscopic spleen preserving distal pancreatectomy;Lap-SPDP)は,良性あるいは境界悪性の膵疾患に対して行われる術式である。脾臓の温存は,脾摘後重症感染症(overwhelming post-splenectomy infections;OPSI)の回避のみならず1),門脈血栓症や発癌リスクの軽減の観点から2),リンパ節郭清を要さない膵体尾部切除症例に対しては勧められる術式である。Lap-SPDPには,脾動静脈を温存する術式 (laparoscopic spleen-preserving distal pancreatectomy with splenic vessels preservation;Lap-SPDP-SVP)と脾動静脈を合併切除するWarshaw手術(laparoscopic spleen-preserving distal pancreatectomy with Warshaw technique;Lap-SPDP-WT)がある。本稿では,脾動静脈を温存するLap-SPDP-SVPの手術法について解説する。

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膵体尾部の悪性疾患に対する手術は一般に脾臓を含めた膵体尾部切除術が行われている。しかし,良性疾患あるいは低悪性度病変に対しては脾切除による合併症をふまえて脾臓を温存した機能温存術が考慮されている。さらにこれらの疾患は低侵襲性を目的とした腹腔鏡手術の良い適応と考えられる。脾温存膵体尾部切除術は脾動静脈の温存と切除の2通りの手技が存在しているが,本稿では脾動静脈を膵体尾部とともに合併切除する腹腔鏡下脾温存膵体尾部切除術(Warshaw法)の実際について概説する。

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内視鏡外科手術手技の進歩により,腹腔鏡下膵体尾部切除の手技が確立され,低悪性度膵腫瘍に対しては標準手術となってきている。同手術は,嚢胞性膵腫瘍などで比較的若年の女性が手術対象になることも少なくなく,より高い整容性が求められる場合がある。

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腹腔鏡下膵体尾部切除術(laparoscopic distal pancreatectomy;LDP)は,開腹手術では得られない良好な視野での手術操作を可能とし,開腹手術と比較して膵液瘻発生を含む合併症率が低いことを考えると1),膵臓外科手術を行う外科医にとって習得すべき手技と思われる。

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良性あるいは低悪性度病変に対する腹腔鏡下膵体尾部切除は,安全性や有効性が示され,すでに標準術式の1つになっている1-3)。一方,膵癌を対象としたリンパ節郭清を伴う腹腔鏡下膵体尾部切除は,わが国では2016年4月に保険収載されたが,いまだ一般的に普及しているとは言い難い。当院では,開腹下に標準術式として行われているradical antegrade modular pancreatosplenectomy(RAMPS)4-6)を腹腔鏡下に標準化して行っており,ここではその手術手技について述べる。

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腹腔内深部に存在し,複数の重要血管に隣接する膵臓は,ロボット支援手術の良い対象臓器である。とくに膵腫瘍の切除に際しては組織像に関わらず精緻なR0手術が求められることから,手ぶれのない立体拡大視効果の下,動作制限なく鉗子操作が行えるロボット支援手術への期待は大きい。

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直腸癌術後局所再発(locally recurrent rectal cancer;LRRC)は一般に難治性であることが多いが,根治を期待できる治療法の1つとして外科的切除があり,わが国の大腸癌治療ガイドラインでも,R0切除が可能と判断される場合には十分なインフォームド・コンセントのうえで,切除を考慮すると記載されている1)。

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内痔核硬化療法であるaluminum potassium sulfate and tannic acid(ALTA)療法1)が登場し,早13年が経過した。従来痔核治療における標準術式はLEとされているが,合併症としてわずかではあるが術後痔動脈根部の晩期出血や肛門狭窄などが問題となる。現在,当院ではこれらを回避し得る術式として,同一痔核の外痔核部位をexcision(E)し,内痔核部位にALTA(A)を投与するEA法2)を痔核治療の主軸としている。EA法の有用性(図1)は,内痔核根部まで切り込まないため動脈性の晩期出血は発生しないこと,肛門上皮の切除がLEに比し小さくなるため術後肛門狭窄の発生を最小限にできること,さらには外痔核が優位でない部位はALTA単独治療が行えるため外科的侵襲も軽減できることである。

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胸腔鏡下食道切除術は,視野展開やdeviceの使用にさまざまな工夫を要するため,一般に技術習得の難度は高い。近年,その技術の進歩により,アプローチ方法や体位にかかわらず,急速に普及してきている。

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Reduced port surgery(RPS)による胆嚢摘出術(laparoscopic cholecystectomy;LC)ではスコープ,操作用鉗子,エネルギーデバイスが同方向から入るため,鉗子どうしの干渉や鉗子とスコープとの干渉が起こりやすく,術野展開に難渋することがある。このためさまざまな施設から術野展開の方法について報告されている1,2)。当院ではRPSによるLCをマルチチャンネルポート+細径1ポートにて行っており,術野展開に直針付きナイロン糸を用いている。

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横隔膜上憩室は下部食道内圧の上昇や食道壁の先天的な脆弱性に起因し生ずる仮性憩室である1)。合併疾患として食道アカラシアが挙げられるが,横隔膜上憩室を伴った食道アカラシアは比較的まれな疾患であり,腹腔鏡手術の報告例は少ない。腹腔鏡下手術では良好な視野が得られ,かつ低侵襲であり,本疾患の治療法として有用と考える。文献的考察を加え報告する。

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カルチノイド腫瘍とは神経内分泌細胞から発生する腫瘍であり,2010年WHOの神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor;NET)における分類で,NET G1と定義されている。十二指腸カルチノイドは消化管カルチノイドのなかでは直腸,空腸,胃,虫垂に次いで5番目の頻度である1)。治療は腫瘍の完全切除が原則であり,小病変に対してはEMR(endoscopic mucosal resection),ESD(endoscopic submucosal dissection)2)などによる治療も報告されているがEMRには穿孔の危険性のほか切除断端陽性率が高いという問題があり3),ESDは断端陽性率は低いが穿孔率はEMRよりさらに高く手技的にも困難である。腹腔鏡・内視鏡合同手術(laparoscopy-endoscopy cooperative surgery;LECS)は胃,十二指腸腫瘍に対しその切離ラインを術中内視鏡を用いて正確に設定し,腹腔鏡操作にて切除,縫合を行うことができ低侵襲と根治性を両立した術式として近年,注目を集めている4)。

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Follicular dendritic cell sarcoma(FDCS)はMondaら1)によって報告された非常にまれな間質性肉腫である。もともと予後不良な悪性腫瘍と考えられていたが,近年,比較的予後良好なサブタイプinflammatory pseudotumor-variant(IPT-variant)が存在することがわかってきており,症例集積がなされている。

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近年,下部直腸癌に対する機能温存手術としてintersphincteric resection(ISR)が広く行われるようになった。しかし,ISR術後にまれに腸管脱・粘膜脱を合併することがあり,その場合,QOLを著しく損なう。

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手術
72巻12号 (2018年11月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0037-4423 金原出版

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