形成外科 66巻1号 (2023年1月発行)

選択した文献の文献概要を表示する書誌情報をダウンロードする

すべて選択

特集　頬部皮下腫瘍の鑑別診断と治療

企画にあたって清川　兼輔 66巻1号 , 2023年1月 , pp.3-3

PDF(257KB)

フリーアクセス

総論①　頬部皮下腫瘍を取り扱ううえでのピットホール清川　兼輔 66巻1号 , 2023年1月 , pp.5-7

PDF(411KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　近年，皮膚・皮下腫瘍で特に顔面に生じたものでは，その多くが形成外科に紹介されてくる。したがって，形成外科医は顔面の解剖とその部位に生じる腫瘍について熟知しておくことが必要である。さらに顔面の中でも頬部には，皮膚や脂肪組織だけでなく耳下腺や顔面神経およびリンパ組織などが存在し，それらの組織から多種多様な腫瘍が発生してくる可能性がある。したがって，これらの腫瘍を術前に鑑別診断することは，手術を行う形成外科医にとって非常に重要である。しかし，それらの臨床所見やCTおよびMRIなどの所見は非常に似通ったものが多く，最終的には摘出物の病理診断によって診断が確定されることも多い。本特集では，頬部に生じた皮下腫瘍の診療を行ううえでのピットホールについて述べる。

総論②　頬部に生じる可能性のある皮下腫瘍の局所所見—エコー・CT・MRIによる鑑別診断— 若槻　華子 , 曽束　洋平 , 松田　健 66巻1号 , 2023年1月 , pp.8-20

PDF(3847KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　形成外科の外来診療において，頬に触れる腫瘤性病変を主訴として受診する患者は多い。そしてその病変は多岐にわたり，良性腫瘍や悪性腫瘍だけでなく脈管奇形の場合もある。また，病変の局在もさまざまで，皮下脂肪組織内に留まるものから，より深部に存在する軟部組織病変および耳下腺腫瘍なども鑑別疾患として挙げられる。鑑別診断の流れとしては，詳細な問診から視診と触診を行い，さらに，必要に応じて画像検査を行う。画像検査としては，超音波検査，単純X線検査，computed tomography（CT）検査，magnetic resonance imaging（MRI）検査がよく用いられる。

　本稿では，各画像検査の特徴と頬部に生じた代表的な疾患の画像所見について述べる。

総論③　局在診断に基づいた頬部の腫瘍に対する手術アプローチ法坂田　康裕 , 岩元　竜太 , 村田　晋一 , 朝村　真一 66巻1号 , 2023年1月 , pp.21-26

PDF(3821KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　頬腫瘍に対する手術では，腫瘍の局在と顔面神経やステノン管との位置関係を把握することが重要な鍵となる。今回，われわれは頬部に生じた皮下腫瘍の2例を提示し，頬部の解剖学的特徴および腫瘍の局在に基づいた手術アプローチ法の選択について述べる。

各論①　木村病の診断と治療萬木　聡 , 桑原　理充 , 佐々木　智賀子 , 竹内　三佳 , 原田　雅幸 , 足立　詩織 66巻1号 , 2023年1月 , pp.27-34

PDF(3995KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　木村病（木村氏病）は軟部好酸球肉芽腫とも呼ばれ，皮下軟部組織のリンパ濾胞の増殖を伴う慢性炎症性疾患である。無痛性腫瘤として全身の軟部組織に発生し得る。好発部位は顔面特に耳下腺部であり，頬部皮下腫瘍を主訴として形成外科を受診することもある。本症はアジア地域の若年男性に好発する良性疾患であり，血液検査所見では末梢血好酸球数とIgE値が上昇する。さらに組織中にもIgEの沈着と好酸球浸潤が認められるため，Ⅰ型アレルギーが関与していると考えられているがいまだ不明な点も多い 1）。本稿では，頬部に生じる皮下腫瘍の1つとして，本症の特徴と診断および治療法について述べる。

各論②　頬部皮下に生じた結節性筋膜炎の1例牧口　貴哉 , 正田　晃基 , 中村　英玄 , 横尾　聡 66巻1号 , 2023年1月 , pp.35-40

PDF(2814KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　結節性筋膜炎（nodular fasciitis）は，線維性組織や血管の反応性増殖性病変を主体とする比較的まれな腫瘤である 1）2）。筋膜や筋肉および皮下組織などに生じ，急速に増大することも多い。このため悪性腫瘍との鑑別が問題となる。今回われわれは，頬部皮下に生じた結節性筋膜炎の1例を経験した。頬部皮下腫瘍を診察する機会の多い形成外科医にとって，念頭に置いておくべき疾患の1つと考えられたので報告する。

各論③　副耳下腺腫瘍と診断できずに手術を行った巨大副耳下腺多型腺腫の1例加藤　久和 66巻1号 , 2023年1月 , pp.41-49

PDF(3940KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　副耳下腺は，正常人の約21～56 ％に存在するといわれている 1），ステノン管に沿って耳下腺約6 mm前方で咬筋上に存在する異所性の耳下腺である 2）。副耳下腺腫瘍は頬部腫瘤を主訴とするため，過去の報告では約1/4の症例が形成外科を受診している 3）。一方，形成外科医は頬部の腫瘍を頻繁に扱うが，副耳下腺腫瘍に対する認識がないと粉瘤などのほかの腫瘍と誤診してしまうことになる。そして，綿密な計画なく手術を行うことで，予期せぬ顔面神経損傷などの合併症を起こす危険がある。

　著者は，術前に副耳下腺腫瘍と診断できずに手術を行ったが，十分な準備を整えて手術に臨んだことで，安全に手術を行うことができた巨大副耳下腺多型腺腫の1例を経験した。この症例を振り返って，診断と手術に関して文献的考察を加え報告する。

各論④　頬部の同じ場所に発生した良性と悪性腫瘍の2例沼尻　敏明 , 河原崎　彩子 , 恋水　諄源 , 森田　大貴 , 辻子　祥子 66巻1号 , 2023年1月 , pp.50-57

PDF(4763KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　形成外科の日常診療において，頬部の皮下腫瘤は比較的ありふれたものである。表面の性状や触診で容易に診断に至るものもあれば，エコー・CT・MRIなどの画像検査や，生検による病理検査をしてもなかなか診断に苦慮するものもある。今回われわれは頬部の同部位に比較的大きな腫瘤を呈し，それぞれに診断とそれらに即した治療を行った症例を経験したので報告する。

各論⑤　耳下腺より前方のほぼ同じ場所に発生し，病理診断がすべて異なった頬部皮下腫瘍の4例古賀　文貴 , 右田　尚 , 森久　陽一郎 , 守永　圭吾 , 力丸　英明 , 清川　兼輔 66巻1号 , 2023年1月 , pp.58-65

PDF(7355KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　顔面部の皮下腫瘍は，形成外科の日常診療で多く遭遇する疾患の1つである。そして，顔面の深部には耳下腺や副耳下腺および顔面神経などの臓器が存在し，それらから皮下腫瘍が生じることも多い。今回われわれは，頬部皮下のほぼ同じ部位に発生し，病理診断がすべて異なった4例を経験した。頬部に生じた皮下腫瘤の診療を行ううえで，それらの腫瘤の診断と鑑別は非常に重要と考えられたので報告する。

連載　随想

憧れをもって理想を目指す元村　尚嗣 66巻1号 , 2023年1月 , pp.1-1

PDF(167KB)

有料閲覧

連載　コラム

編集委員長コラム［第41回］美容医療の重大事故細川　亙 66巻1号 , 2023年1月 , pp.67-67

PDF(943KB)

有料閲覧

連載　だれでもわかる手の外科の基本—アンチ丸暗記・虎の巻—

新連載　だれでもわかる手の外科の基本—アンチ丸暗記・虎の巻— 永竿　智久 66巻1号 , 2023年1月 , pp.69-69

PDF(78KB)

フリーアクセス

No.1　母指の「対立」って何？永竿　智久 66巻1号 , 2023年1月 , pp.70-74

PDF(2090KB)

有料閲覧

文献概要を表示

ポイント

1．対立運動とは「親指とほかの指でものを持つ」ことではない。親指の指腹がほかの4指の指腹と向き合って接触する運動」と定義すべきである。

2．母指対立筋の機能は，対立の必要条件であり，十分条件ではない。

3．対立機能には母指対立筋の機能（回内もしくはいわゆる「対立」）以外にも，伸展（母指伸筋）および内旋（短母指外転筋）の機能が必要である。

連載　みんなで考えよう！足病カンファレンス Season2

case 1　血管炎とCLTIの違い，ご存じですか？藤井　美樹 66巻1号 , 2023年1月 , pp.76-80

PDF(510KB)

有料閲覧

連載　私の心に残る1症例

No.39 副島　一孝 66巻1号 , 2023年1月 , pp.82-87

PDF(2222KB)

有料閲覧

連載　形成外科NEXT—次世代の本音—

Vascular anomalies～未知なる大海石川　耕資 66巻1号 , 2023年1月 , pp.88-89

PDF(573KB)

有料閲覧

連載　教室だより北～南

No.97　兵庫県立尼崎総合医療センター形成外科・小児形成外科山𦚰　吉朗 66巻1号 , 2023年1月 , pp.90-93

PDF(2692KB)

有料閲覧

連載　短編小説で綴る論文探訪　たんろんたん

第21回寺尾　保信 , 去川　俊二 66巻1号 , 2023年1月 , pp.94-95

PDF(1336KB)

有料閲覧

連載　外国文献抄訳

PRS Vol.149 No.5 66巻1号 , 2023年1月 , pp.119-125

PDF(506KB)

フリーアクセス

投稿論文　経験

頬骨前方での用指剥離を併用したディーププレーン・フェイスリフト水野　力 66巻1号 , 2023年1月 , pp.96-101

PDF(2171KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　最近の顔面若返り診療の傾向として，たるみやシワが顕著でまさにフェイスリフトの適応であると考えられる年配者が「切らない治療」を切望する。しかし一方で，20～40歳代の若年者がスレッドリフトで満足せず，「しっかりと切るフェイスリフト」を希望することもある。Baker 1）のlateral SMAS ectomyは顔面表在筋膜（superficial musculo-aponeurotic system：以下，SMAS）の一部を切除する方法で，リスクが少なくフェイスラインのたるみを改善するうえで非常に良い方法であり，これまで著者は好んで用いてきた。しかし，日本人が気にしている法令線や中顔面に対する効果は乏しかった。そのため，フェイスラインよりも法令線や中顔面のたるみを気にする若年者には，SMASより深層に手術操作が及ぶディーププレーン・フェイスリフト 2）や中顔面骨膜下リフト 3）が必要になる。このような症例に対してわれわれは，Astonら 4）が報告した頬骨前方での用指剥離（finger-assisted malar elevation：以下，FAME）を併用したディーププレーン・フェイスリフトを行っている。著者の知る限り，その術式についての本邦での報告はないことから，その治療経験について報告する。

頬骨前方での用指剥離を併用したディーププレーン・フェイスリフト杠　俊介 66巻1号 , 2023年1月 , pp.102-103

PDF(285KB)

有料閲覧

投稿論文　症例

鼠径部の難治性リンパ漏に対して顕微鏡下にリンパ漏開口部のZ縫合とリンパ囊胞被膜弁の被覆にて治癒した1例中川　雅裕 , 吉川　周佐 , 大塚　正樹 , 岡崎　孝朱 , 山田　萌絵 , 清原　祥夫 66巻1号 , 2023年1月 , pp.104-110

PDF(3640KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　リンパ節郭清術後に生じる頻度の高い合併症として，リンパ漏がある。リンパ漏を生じると，リンパ液の皮膚からの流出，皮下へのリンパ液貯留（リンパ囊胞の形成），創の縫合不全，創縁壊死，感染などが生じ，時に長期間これらの症状が持続して難治性となることがある。今回われわれは，外陰部パジェット病の両鼠径部リンパ節転移症例で，リンパ節郭清後に難治性のリンパ漏を生じた1例を経験した。顕微鏡下にリンパ漏開口部のZ縫合を行い，さらにリンパ囊胞の被膜をflap状に挙上してZ縫合した部分を被覆した。これらによりリンパ漏の閉鎖を行うことができたので，文献的考察を加え報告する。

CLIP STUDIO PAINTⓇを用いた伝わる論文のためのイラスト作成術—論文14編の経験— 福永　豊 66巻1号 , 2023年1月 , pp.111-117

PDF(1101KB)

有料閲覧

文献概要を表示

はじめに

　イラストは文字よりわかりやすく，写真にはない表現方法を用いることで直感的に情報を伝達することができるため，手術の細かい手技や全体像について説明する際に非常に有用である。論文においても，読者に情報を正確に伝えるためにイラストが重用されている。近年では，タブレット端末やタッチペンの普及も相まって，デジタルイラストが身近なものとなっており，外科領域でも手術記録などに活用されている 1）2）。しかし，論文のためのイラストは，単純に絵を描くだけではなく内容を伝えるための工夫が必要であり，その点についての参考資料は乏しい。著者は2014～2021年までに，自著・共著含め計14編の英語論文のためにイラストを作成した 3～16）。「伝わる論文」のためのイラスト作成術として，著者の方法や工夫を報告する。

その他

目次 66巻1号 , 2023年1月

PDF(140KB)

フリーアクセス

欧文目次 66巻1号 , 2023年1月

PDF(69KB)

フリーアクセス

投稿規定 66巻1号 , 2023年1月 , pp.128-131

PDF(338KB)

フリーアクセス

次号予告 66巻1号 , 2023年1月 , pp.134-134

PDF(170KB)

フリーアクセス

バックナンバー 66巻1号 , 2023年1月

PDF(143KB)

フリーアクセス

定期購読ほか　申込みシート 66巻1号 , 2023年1月

PDF(95KB)

フリーアクセス

基本情報

形成外科
66巻1号
(2023年1月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0021-5228 克誠堂出版

お気に入り登録(雑誌)
お気に入り登録(号)
最新号をみる

バックナンバー ( 閲覧可 )

文献閲覧数ランキング(
3月24日～3月30日
)

第1位 No.3　「虫様筋」って何をしてるの？永竿智久形成外科 66巻 5号 pp. 604-607 (2023年5月10日) 克誠堂出版
第2位眼瞼下垂症手術の功罪　形成外科医が知っておくべき眼表面への影響渡辺彰英形成外科 63巻 11号 pp. 1351-1362 (2020年11月10日) 克誠堂出版
第3位眼瞼下垂症手術後の角膜屈折力および角膜乱視の変化豊野哲也形成外科 63巻 11号 pp. 1363-1373 (2020年11月10日) 克誠堂出版
第4位眼瞼における脂腺癌の切除縁と治療吉龍澄子形成外科 68巻 3号 pp. 239-247 (2025年3月10日) 克誠堂出版
第5位眼瞼下垂の鑑別　神経眼科医の立場から澤村裕正形成外科 63巻 11号 pp. 1374-1383 (2020年11月10日) 克誠堂出版
第6位外眼角-上下眼瞼に浸潤する基底細胞癌に対し従来法の組み合わせで再建した1例青雅一形成外科 64巻 1号 pp. 5-10 (2021年1月10日) 克誠堂出版
第7位眼瞼下垂症手術後の眼科的トラブル　生じ方、見抜き方、対処の仕方根本裕次形成外科 63巻 11号 pp. 1384-1402 (2020年11月10日) 克誠堂出版
第8位尿膜管遺残症摘出後の臍形成前山徹,前岡尚憲,髙木誠司形成外科 67巻 11号 pp. 1193-1198 (2024年11月10日) 克誠堂出版
第9位頭蓋骨露出に至ったメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)の1例上野真理恵,元村尚嗣形成外科 65巻 6号 pp. 643-650 (2022年6月10日) 克誠堂出版
第10位顔面隆起性皮膚線維肉腫の切除縁と治療元村尚嗣,小島空翔,諸富公昭,藤川平四朗,藤井奈穂,前田周作,出口綾香形成外科 68巻 3号 pp. 248-255 (2025年3月10日) 克誠堂出版

形成外科 66巻1号 (2023年1月発行)

特集 頬部皮下腫瘍の鑑別診断と治療

連載 随想

連載 コラム

連載 だれでもわかる手の外科の基本—アンチ丸暗記・虎の巻—

連載 みんなで考えよう！ 足病カンファレンス Season2

連載 私の心に残る1症例

連載 形成外科NEXT—次世代の本音—

連載 教室だより北～南

連載 短編小説で綴る論文探訪 たんろんたん

連載 外国文献抄訳

投稿論文 経験

投稿論文 症例

その他

基本情報

バックナンバー ( 閲覧可 )

文献閲覧数ランキング( 3月24日～3月30日)

特集　頬部皮下腫瘍の鑑別診断と治療

連載　随想

連載　コラム

連載　だれでもわかる手の外科の基本—アンチ丸暗記・虎の巻—

連載　みんなで考えよう！足病カンファレンス Season2

連載　私の心に残る1症例

連載　形成外科NEXT—次世代の本音—

連載　教室だより北～南

連載　短編小説で綴る論文探訪　たんろんたん

連載　外国文献抄訳

投稿論文　経験

投稿論文　症例

文献閲覧数ランキング(
3月24日～3月30日
)