形成外科 66巻2号 (2023年2月発行)

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特集　最新の腋窩多汗症・腋臭症治療

企画にあたって百澤　明 66巻2号 , 2023年2月 , pp.137-137

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腋臭症と腋窩多汗症—要因と各種治療法の概略— 細川　亙 , 藤山　浩 , 高木　美奈子 , 村西　佑美 , 沖村　愛 , 白川　裕二 66巻2号 , 2023年2月 , pp.139-144

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はじめに

　腋臭症と腋窩多汗症はいずれも「わき汗」によって生じる疾患である。そして一般人のみならず，医療者であっても両疾患の違いを正しく理解している人は少ない。しかも，特に多汗症に対する各種の治療法については，皮膚科，形成外科，美容外科，胸部外科，麻酔科，精神科など多数の診療科に分散している複雑さがある。本稿では両疾患についての正しい知識を提供したうえで，形成外科・美容外科分野に限定しない各種の治療法について概略を紹介する。

抗コリン外用薬を用いた腋窩多汗症治療藤本　智子 66巻2号 , 2023年2月 , pp.145-151

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はじめに

　日本皮膚科学会から発行されている原発性局所多汗症診療ガイドライン 1）では，患者への侵襲度（費用面，身体面）が低い治療法から段階的に選択することが推奨されている。しかし，患者の望むものであれば，実際の臨床現場ではその段階を経ずに選択されることもしばしばある。このような背景の一因として，保険適用の治療選択肢が少ないことや，まだ汗に関する疾患啓発が十分でないことなどが考えられる。そのような中，2020年にソフピロニウム臭化物（エクロック Ⓡゲル：科研製薬社） 2）3），2022年にグリコピロニウムトシル酸塩水和物（ラピフォート Ⓡワイプ：マルホ社） 4）5）という抗コリン作用をもつ局所外用薬が原発性腋窩多汗症に対して保険適用可能な治療薬として登場した。本稿では，この2剤の腋窩多汗症治療とその治療意義についてエビデンスに基づき述べる。

ボトックスⓇを用いた原発性腋窩多汗症治療藤田　研也 66巻2号 , 2023年2月 , pp.152-158

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はじめに

　原発性腋窩多汗症は著しくQOLを低下させる疾患であるが，従来は疾患として治療対象とされることが少なかった。しかし，2012年に，A型ボツリヌス毒素（以下，BT-A）（ボトックス Ⓡ：グラクソ・スミスクライン社）の局所注射療法が健康保険適用で受けられるようになったことを皮切りに，2018年にはマイクロ波メスによる腋窩多汗症治療器〔miraDry Ⓡシステム（以下，ミラドライ Ⓡ）：ジェイメック社〕が国内薬事承認を取得し，さらに，2021年，2022年に健康保険適用の外用薬が相次いで発売されるなどして，治療の選択肢が大きく広がり，潜在患者が医療機関を受診する機会が急増している。

　本稿では，当院における保険診療を中心とした腋窩多汗症・腋臭症治療の実際について紹介するとともに，特にBT-A局所注射療法の手技や注意点について述べる。

ビューホットⓇを用いた腋窩多汗症・腋臭症治療丸山　直樹 66巻2号 , 2023年2月 , pp.159-169

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はじめに

　腋臭症治療や多汗症治療において剪除法に代表される手術療法の治療効果は高いが，合併症を起こさないように施術するためには術者の高い習熟度が求められる。それを補うために，吸引法 1）や，超音波破砕吸引 2），シェーバー 3）などの特殊手術機器の使用がなされてきた。近年では合併症率が低いうえに治療効果や満足度の高い非手術の治療法のニーズが高まり，マイクロ波やラジオ波を用いた治療機器が開発されるようになった。著者は2014年からラジオ波を用いたビューホット Ⓡによる治療に携わってきた。術者による偏りが少ない機械で特殊な技術がなくても施術可能であるが，いくつかの注意点や治療上のコツがある。本稿ではそれらを解説するとともに，2019～2020年にかけて低侵襲H&O臨床医学研究会によって行われた多施設共同研究の結果も紹介する。

ミラドライⓇを用いた腋窩多汗症・腋臭症治療（1）—施術時の工夫と治療成績— 藤本　卓也 , 土井　秀明 66巻2号 , 2023年2月 , pp.170-178

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はじめに

　日常診療で腋窩多汗症や腋臭症に悩む患者は多く見られる。腋窩多汗症は薬剤による治療も行われているが，腋臭症は効果的な薬剤はなく，アポクリン汗腺を物理的に除去しなければならない。従来の汗腺摘出手術は，腋窩切開部の瘢痕や拘縮が目立つことがあり問題となっていた。近年，腋窩多汗症治療機であるmiraDry Ⓡシステム（以下，ミラドライ Ⓡ：ジェイメック社）が，切開瘢痕を残さずエクリン汗腺と同時にアポクリン汗腺を熱変性させ除去できるため，腋臭症に対しても用いられるようになってきた 1）。本稿では，ミラドライ Ⓡの原理と，施術方法，著者の施術時の工夫，治療成績について述べる。

ミラドライⓇを用いた腋窩多汗症・腋臭症治療（2）—合併症とその対策— 百澤　明 , 大河内　裕美 66巻2号 , 2023年2月 , pp.179-184

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はじめに

　腋窩部の汗（いわゆる，わき汗）やにおいに悩む人は多い。従来からの外用薬と手術法に加えて，2012年にA型ボツリヌス毒素の局所注射療法が，2021年と2022年には2つの抗コリン外用薬が相次いで発売された。ミラドライ Ⓡはマイクロ波を用いた原発性腋窩多汗症治療機器で，本邦では2018年6月に本邦の薬事承認を取得したが，その使用実績はすでに10年を経過している。現在，腋窩多汗症・腋臭症の治療は選択肢が増え，外用剤，ボトックス注入療法，手術，ミラドライ Ⓡなどから選択が可能である。われわれの施設ではミラドライ Ⓡ導入5年目を迎え，その症例数は350例を超えた。本稿では，より治療効果を高めるためのわれわれの工夫，および合併症とその予防・対策について焦点をしぼり述べる。

連載　随想

思い返すと林　利彦 66巻2号 , 2023年2月 , pp.135-135

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連載　コラム

編集委員長コラム［第42回］フィードバックは進歩上達の基本細川　亙 66巻2号 , 2023年2月 , pp.185-185

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連載　私の心に残る1症例

リモート学会開催におけるネットショップ作成サービスを用いた低コスト省力化の試み安村　恒央 , 古川　洋志 66巻2号 , 2023年2月 , pp.186-191

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連載　みんなで考えよう！足病カンファレンス Season2

遠隔連携「JOIN」の紹介松本　健吾 66巻2号 , 2023年2月 , pp.192-196

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連載　形成外科NEXT—次世代の本音—

形成外科医増殖中—サブスペシャリティとしての手外科— 佐々木　薫 66巻2号 , 2023年2月 , pp.198-199

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連載　教室だより北～南

No.98　佐世保市総合医療センター形成外科安楽　邦明 66巻2号 , 2023年2月 , pp.200-202

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連載　短編小説で綴る論文探訪　たんろんたん

第23回寺尾　保信 , 去川　俊二 66巻2号 , 2023年2月 , pp.204-205

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連載　外国文献抄訳

PRS Vol.149 No.6 66巻2号 , 2023年2月 , pp.236-241

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投稿論文　経験

当施設における脊髄損傷者の褥瘡治療について—後ろ向き調査から— 久米川　真治 , 坂田　康裕 , 和田　仁孝 , 吉川　達也 , 梅本　安則 , 田島　文博 , 朝村　真一 66巻2号 , 2023年2月 , pp.206-214

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はじめに

　脊髄損傷者にとって，褥瘡は尿路感染症と並ぶ代表的な合併症である。車イスを使用している脊髄損傷者の80 ％以上が，一生涯において一度は褥瘡を経験するとされる 1）～4）。また，本邦における脊髄損傷者の在宅復帰後の褥瘡発生率は約50 ％といわれており 5），いまだに褥瘡の発生は後を絶たない。そして，その褥瘡の発生によって生じる入院の長期化や医療費の増大は，社会的にも大きな問題となっている 2）6）。今回われわれは，脊髄損傷者の褥瘡に対して，手術に加え，術前術後を通したリハビリテーション科とのチーム医療を行った。それらの症例について後ろ向きに調査したので，その治療成績と経過について報告する。

投稿論文　症例

出生直後よりカサバッハ・メリット現象を呈し，緊急手術が奏功したカポジ型血管内皮腫の1例白石　万紀子 , 吉岡　直人 , 竹内　真 66巻2号 , 2023年2月 , pp.215-222

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はじめに

　カポジ型血管内皮腫（Kaposiform hemangioendothelioma：以下，KHE）は局所侵襲性のまれな脈管腫瘍である。大部分は新生児期から乳児期に診断され，約半数でカサバッハ・メリット現象（Kasabach-Merritt phenomenon：以下，KMP）と呼ばれる消費性凝固障害を呈して重篤な経過をたどる 1）～3）。KMPを呈するKHEの治療法としては多様な報告があり 4）～12），標準的治療法は定まっていない。今回われわれは，KMPを呈するKHE新生児例を経験した。経過，画像所見を他診療科とともに検討し，生後2日（日齢2）と超早期に腫瘍切除に踏み切り，良好な経過を得た。幼小児の脈管腫瘍の切除は出血のリスクが高く，KMP急性期の腫瘍切除は通常勧められない。しかし，内科治療が奏功しない症例や治療効果発現前に危機的な病態となった場合などに，腫瘍を切除できれば病態の速やかな改善と根治が期待できる。本疾患の臨床的特徴とその治療法について，文献的考察を加えて報告する。

リピオドールⓇリンパ管造影検査で改善した小児先天性心疾患術後難治性胸水の1例谷　ありさ , 川上　善久 66巻2号 , 2023年2月 , pp.223-228

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はじめに

　先天性心疾患の外科治療の術後合併症として比較的頻度の高いものの1つに乳び胸があり，0.25～9 ％に合併するといわれている 1）。動脈管や下行大動脈周囲にリンパ管は豊富に存在し，手術操作による外傷性リンパ管損傷や，術後に静脈圧が亢進することで，リンパ液が胸腔内に漏出することが原因となる。術後難治性乳び胸水により長期間持続的に大量のリンパ性胸水が漏出することで，感染症や呼吸障害，栄養障害，成長障害につながり，致死的となることがある 2）3）。

　今回，左心低形成症候群に対して，Fontan術後に外傷性リンパ漏を来たし，内科的治療が無効であった症例に対して行った鼠径リンパ節穿刺によるリピオドール Ⓡ（油性ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル：ゲルべ・ジャパン社）リンパ管造影検査が胸水減少に寄与した1例を経験したため報告する。

投稿論文　工夫

鼻翼基部の挙上を目的とした鼻孔縁挙上術の工夫水野　力 66巻2号 , 2023年2月 , pp.230-234

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はじめに

　整った鼻翼は美しい鼻に不可欠である。鼻翼鼻柱関係（alar columellar relationship：以下，ACR）はバランスの取れた鼻を評価する項目となっているが，日本人によく見られる鼻柱後退と鼻翼下垂はACRを悪化させる。

　鼻翼下垂の手術として，Ellenbogenら 1）は鼻孔縁の内側寄りを紡錘形に切除する方法を報告し，本邦でもこの術式に準じた手術方法が報告されている 2）。この術式は鼻孔縁の中央部の挙上効果が主体であり，鼻翼基部での効果は少ない。そこでわれわれは，鼻翼基部での鼻翼切除量を増やすことにより，鼻翼基部での挙上を目的とした工夫をしたので報告する。

鼻翼基部の挙上を目的とした鼻孔縁挙上術の工夫杠　俊介 66巻2号 , 2023年2月 , pp.235-235

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その他

目次 66巻2号 , 2023年2月

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欧文目次 66巻2号 , 2023年2月

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INFORMATION 66巻2号 , 2023年2月 , pp.243-243

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投稿規定 66巻2号 , 2023年2月 , pp.244-247

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次号予告 66巻2号 , 2023年2月 , pp.249-249

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バックナンバー 66巻2号 , 2023年2月

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定期購読ほか　申込みシート 66巻2号 , 2023年2月

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基本情報

形成外科
66巻2号
(2023年2月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0021-5228 克誠堂出版

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